再処理工場 前処理建屋の安全蒸気ボイラAの機能喪失および当社運転員の負傷(管理区域外)の原因と対策について
2021年4月1日(木)に発生した再処理工場 前処理建屋における安全蒸気ボイラAの機能喪失および当社運転員の負傷について、その後、本事象が発生した原因について調査を行ってまいりましたが、本日、原因調査結果および再発防止策を取りまとめましたので、お知らせします。
1.安全蒸気ボイラAの機能喪失の原因と対策(B情報)
【原因】
今回発生した事象の原因について調査した結果、安全蒸気ボイラAへの純水供給系統バイパス弁の蓋押さえナット部に破損箇所(ひび割れ)が確認されました。
蓋押さえナット部の破損の原因は、ハンドルに工具(ハンドル回し)を使用したような塗装の剥離が確認されたため、工具の使用により、当該弁を締めすぎたことで、蓋押さえナット部へ想定外の応力が加わり、時間の経過とともにひび割れが進行し、破損に至ったものと推定しました。
【再発防止策】
- 弁のハンドル回しの取り扱いについて定められた社内ルールを再度周知し、弁の締めすぎ防止の徹底を図ることとしました。
- 今回破損が確認された同形式の弁について、漏れ等の異常がないことを確認しましたが、今後、念のため新品に交換することとしました。
2.当社運転員の負傷の原因と対策(C情報)
【原因】
滴下について運転員から報告を受けた統括当直長および当直長は、運転員に「まずは現場を目視で確認し速やかに報告するよう」指示すべきところ、「漏えい箇所を特定するように」という曖昧な指示をしていました。
指示を受けた運転員は、目視での確認が困難であったことから、漏えい箇所特定のために、自らの判断で停止していた給水ポンプを起動させたことにより、弁部から予期せぬ純水の飛散が発生しました。<「当直における情報伝達」に関する原因>
その際、純水が飛散するリスクを考慮しておらず、不十分な離隔距離で保護メガネも装着していなかったことにより、純水が眼に付着し負傷しました。<「運転員における基本動作」に関する原因>
【再発防止策】
確認した原因に対して、以下の主な再発防止策を実施しました。
<「当直における情報伝達」に関する原因の対策>
- 統括当直長を含む全運転員に対して、今回の事象を受けて、現場における指示の出し方、対策活動状況の正確な伝え方などを理解するための訓練を実施しました。(4/22~5/9実施)
- 以下の事項を「運転部運転員の心得マニュアル」(5/28改正、6/1施行)へ反映するとともに、運転手順書へ反映しました。(6/14改正)
- 統括当直長および当直長から運転員に対して具体的な指示を行うこと。
- 運転員が勝手に現場判断せずに一旦立ち止まって当直長へ現場状況を報告すること。
<「運転員における基本動作」に関する原因の対策>
- 統括当直長から全運転員に対して、以下の2点を指示し、ルール化しました。
【指示】
- 漏えい確認の際は対象物から十分な離隔距離をとること。(4/2指示)
- 巡視点検で現場へ出向く際は保護メガネを常に装着すること。(4/23指示)
保護メガネについては、巡視点検で現場へ出向く運転員全員が装着できるよう追加配備しました。(4/23配備)
【ルール化】(5/28ルール改正、6/1施行)
- 圧力のかかる場所など漏えい箇所からの飛散に対する離隔距離の必要性について常に安全を意識し行動すること。
- 巡視点検で現場に出向く際は、運転員は保護メガネを常に装着すること。
<その他の対策>
- 従来から実施している管理区域を対象とした漏えい対応訓練に、今回の事象を踏まえた管理区域外の漏えい対応訓練を加え、定期的(年2回:管理区域1回、管理区域外1回)に実施することとしました。なお、今年度の管理区域外の漏えい対応訓練は既に実施しました。(5/26~6/18実施)
2021年4月2日にお知らせした内容
2021年4月1日(木)12時44分、前処理建屋の安全蒸気A室※1(管理区域外)における安全蒸気ボイラ※2Aの起動確認試験の実施後、当社運転員が、安全蒸気ボイラAに純水を供給する系統から漏えいしていることを確認しました。
当社運転員が漏えい箇所を詳細に確認したところ、供給系統にある弁が破損していることを確認し、13時31分、統括当直長が安全蒸気ボイラAの機能喪失と判断しました。(B情報)
安全蒸気ボイラBについては、15時34分に健全であることを確認しており、安全上の機能は維持していることを確認しております。
なお、供給系統にある弁が破損した原因については現在調査中です。
また、当社運転員のうち1名が漏えい箇所を詳細に確認した際に、飛散した純水が目に入り痛みを訴えたことから、社外医療機関へ搬送しました。(C情報)
社外医療機関の診断の結果、「右目炎症、角膜びらん(不休傷)」と診断されました。
なお、現場は管理区域ではないため、放射性物質による汚染はありません。
- 安全蒸気A室:
安全蒸気ボイラAを設置している部屋。(管理区域外) - 安全蒸気ボイラ:
セル内で漏えいした液を安全に移送するための回収装置(スチームジェットポンプ:蒸気を利用して送液するポンプ)に蒸気を供給するボイラであり、一般蒸気設備が使用できない場合に用いる設備。(A系/B系の2系列)