放射線
放射線とは
放射線とは
「放射線」とは、放射性物質から放出される粒子や電磁波のことです。
すべての物質は原子からできており、大部分は安定したものですが、なかには不安定なものがあり、余分な
エネルギーを外に出しながら安定した性質になろうとします。このとき出るエネルギーが「放射線」です。
放射線・放射能・放射性物質のちがい
似ている言葉ですが、「放射線」を出す能力を「放射能」、放射線を出す物質を「放射性物質」といいます。
たとえば、懐中電灯に置き換えると、懐中電灯から出る光が放射線、懐中電灯が光を出す能力が放射能、そして懐中電灯が放射性物質になります。
出典:一般財団法人 日本原子力文化財団 原子力・エネルギー図面集
放射線の種類
放射線にはさまざまな種類があり、種類によって物を通り抜ける力(透過力)が異なります。アルファ線は放射線の中でも重い粒子で、空気中では数センチメートルしか飛ぶことができず、紙1枚で遮ることができます。
このなかで一番強い中性子線は、鉛や厚い鉄の板を通り抜けますが、水やコンクリートで止めることができます。
出典:一般財団法人 日本原子力文化財団 原子力・エネルギー図面集
私たちのくらしと放射線
日常生活の中の放射線
私たちは日常的に生活の中で、放射線を受けながら暮らしています。
放射線には、自然放射線と人工放射線がありますが、放射線の種類や性質に変わりなく、シーベルトで表された数値が同じであれば、人体への影響は変わりありません。
自然放射線
大地や宇宙、食べ物や呼吸によって放射線を受けています。これらの自然界に存在する放射線を「自然放射線」といいます。1人が1年間に自然放射線を受けている量は、世界平均で2.4ミリシーベルトといわれています。
人工放射線
医療で診断に使われるレントゲン撮影や、CTスキャンなどのX線、また核分裂のエネルギーを取り出す原子力発電所で生まれる放射線を「人工放射線」といいます。
出典:一般財団法人 日本原子力文化財団 原子力・エネルギー図面集
食事による放射性物質の摂取
私たちは食物に含まれる放射性物質からも放射線を受けています。
多くの食品にはもともと放射性物質が含まれているため、私たち人間の身体の中にも常に放射性物質が存在しています。
例えば、カリウムは私たちの健康を保つ上で必要不可欠な成分ですが、そのなかにもカリウム40という放射性物質が含まれています。
しかし、放射性物質は時間と共に減っていく上に、新陳代謝によって体外に出されるため、体内ではほぼ一定に保たれ、身体の中にたまり続けることはありません。
出典:一般財団法人 日本原子力文化財団 原子力・エネルギー図面集
放射線の有効利用
人工放射線は、医療用以外にも工業や農業など、さまざまな分野で幅広く活用されています。
医療分野
レントゲン検診、乳がん検診、がん治療等
工業分野
空港の手荷物検査(透視)、紙や鉄板の厚み測定等
農業分野
じゃがいもの発芽抑制、米・草花の品種改良等
出典:一般財団法人 日本原子力文化財団 原子力・エネルギー図面集
人体への影響
放射線の人体影響
放射線を身体に受けると、染色体内のDNAが傷つきますが、人体には損傷を修復する機能が備わっているため、放射線量が少なければほとんど修復されます。
また、同じ量の被ばくであっても、数回にわたり、あるいは長期間にわたって被ばくする場合には人体への影響は小さくなります。
100ミリシーベルト以下の放射線では、一度に全身に受けた場合の人体への影響は確認されていません。
一方、一度に多量の放射線を受けると、放射線によって傷ついた細胞を十分に修復することができなくなり、人体に影響が出るとされています。
出典:一般財団法人 日本原子力文化財団 原子力・エネルギー図面集
放射線の人体影響
放射線の人体への影響は、放射線を受けた人(被ばくした人)の身体に影響が出る「身体的影響」と、放射線を受けた人の子孫に影響が現れる「遺伝的影響」とに分けられます。
更に、放射線の人体への影響のあり方には「確定的影響 」と「確率的影響」があります。
確定的影響
一定以上の放射線を受けた場合でなければ出ないとされる影響
確率的影響
放射線の量に比例して発生する確率が高くなると考えられている影響
出典:一般財団法人 日本原子力文化財団 原子力・エネルギー図面集
出典:一般財団法人 日本原子力文化財団 原子力・エネルギー図面集