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よくあるご質問

使用済MOX燃料は再処理するのですか。

 2018年7月に閣議決定された第5次エネルギー基本計画では、使用済MOX燃料の処理・処分の方策について、使用済MOX燃料の発生状況とその保管状況、再処理技術の動向、関係自治体の意向などを踏まえながら、引き続き研究開発に取り組みつつ、検討を進めることとされています。

 国は、今後、再処理技術実用化に向けた官民の技術開発を加速し、2030年代後半を目途に、実用段階における使用済MOX燃料の再処理技術の確立を目指すこととしており、2021年5月26日、令和3年度「放射性廃棄物の減容化に向けたガラス固化技術の基盤研究事業(使用済MOX燃料処理技術の基盤整備)」を実施する委託先を募集しました。

 当社は、使用済ウラン燃料再処理の知見・経験が使用済MOX燃料の安全・安定的な処理に向けた技術開発に貢献できると考え、本研究に応募し、国の委託を受けました。

 使用済MOX燃料には、使用済ウラン燃料に比べてプルトニウムが多く含まれることなどから、燃料の溶解性や中性子の遮へい対策等の安全性への影響について、使用済ウラン燃料との違いを検討する必要があると考えられています。
 当社は、日本原子力研究開発機構による実験結果を活用して、使用済ウラン燃料再処理の知見・経験をもとに、使用済MOX燃料の処理に係る各工程への影響評価等の机上での比較検討を行う予定です。

<参考>
 使用済MOX燃料の再処理は国内外の既存施設で実証済みであり、技術的に可能な見通しを得ています。国内では、東海再処理工場でのふげんMOX燃料の再処理実績があります。

放射線には、ベクレル、シーベルトなどいろいろな単位がありますが、放射線による人体への影響を表すには、どの単位を使うのですか。

 放射性物質にはさまざまな種類があり、放射性物質によって、放出される放射線の種類やエネルギーの大きさが異なるため、単に放射性物質の量が多いからといって、それだけで人体に与える影響が大きくなるとは限りません。
 放射性物質による人体への影響は、放射性物質の種類や放射線の種類、エネルギーの大きさを考慮した「シーベルト」という単位で表されます。一方、放射性物質の量を表す単位は「ベクレル」であり、この数値を単純に比較しても、人体への影響度合いを比較したことにはなりません。

ベクレル (Bq):放射性物質が放射線を出す能力(放射性物質の量)を表す単位
シーベルト(Sv):人の体が放射線を受けた時の影響を表す単位 (ミリシーベルトはシーベルトの千分の1)

再処理工場から放出される放射性物質による人体への影響はどれくらいなのですか。
 また、事前に環境アセスメントなどの評価を行っているのですか。

 六ヶ所再処理工場から放出される放射性物質による影響については、年間の最大処理量である使用済燃料800トンを再処理した際の推定年間放出量をもとに計算した結果、年間約0.022ミリシーベルトと評価しており、法令で定められている公衆の線量限度(年間1ミリシーベルト)を大きく下回ることが、国の安全審査において確認されています。
 この計算にあたっては、(1)農畜産物や海産物を摂取することにより受ける放射線、(2)呼吸をすることにより受ける放射線、(3)漁業活動により受ける放射線などの現実的に放射線を受ける経路に基づき、それを一人の人間がすべて受けると仮定して評価しています。

 放射性物質は、私たちの身の回り、つまり自然界にもともと存在しています。私たちは、呼吸や食事などの日常生活を通じて放射性物質による影響を受けており、その影響は、日本平均で年間約2.1ミリシーベルトです。また、自然界の放射性物質から受ける影響は地域によって異なり、日本で一番高い岐阜県と一番低い神奈川県とでは、年間で約0.4ミリシーベルトの差があります。
 六ヶ所再処理工場から放出される放射性物質による人体への影響は、年間約0.022ミリシーベルトと評価しており、自然界の放射性物質から受ける影響に比べて約100分の1です。


出展:一般財団法人 日本原子力文化財団 原子力・エネルギー図面集

 なお、六ヶ所再処理工場は、環境影響評価法(通称:環境アセスメント法)で定める対象事業には該当しませんが、その建設にあたっては、環境保全調査を実施するとともに、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づき、国に対して再処理事業指定申請を行い、事前の安全審査を経て事業指定をいただいた上で進めております。この中で、施設の安全性はもとより、再処理工場から放出される放射性物質による周辺環境への影響についても、工場周辺における気象条件(風向、風速、降水量、気温等)や海象条件(潮流の流向、流速、海水温等)を年間を通して調査し、風洞実験(地形を縮尺した模型を用いた実験)を行い、それらの結果をもとに、放出される排気や排水の拡散・希釈を解析するなど、詳細な調査・評価を行っています。
 こうした結果を踏まえ、再処理工場が操業運転(年間最大処理量:800トン)した場合に放出される放射性物質による人体への影響については、年間約0.022ミリシーベルトと評価しており、評価に用いた条件や計算方法の妥当性、また評価結果の安全性については、国の安全審査において確認がなされています。

再処理工場からはたくさんの放射性物質が放出されて危険ではないですか。
国内にある原子力発電所に比べてどうなのでしょうか。

 放射性物質による影響は、放射性物質の量(ベクレル※1)だけで比較することはできません。
 放射性物質による人体への影響は、放射性物質の種類や放射線の種類、エネルギーの大きさを考慮したシーベルト※2という単位で表されます。
 六ヶ所再処理工場から放出される放射性物質による人体への影響は、年間で約0.022ミリシーベルトと評価しており、原子力発電所の事例(約0.014ミリシーベルト)と同様、法令で定められている公衆の線量限度(年間1ミリシーベルト)より十分低くなっています。

※1ベクレル (Bq):放射性物質が放射線を出す能力(放射性物質の量)を表す単位
※2シーベルト(Sv):人の体が放射線を受けた時の影響を表す単位 (ミリシーベルトはシーベルトの千分の1)

原子力発電所との放出量及び線量の比較
  放出による影響
(ミリシーベルト/年)
放出される放射性物質の量
(ベクレル/年)
再処理工場*1 約0.022 約350×1015
原子力発電所*2 約0.014 約1.9×1015
*1  再処理事業指定申請書にて示す評価値。なお、「放出される放射性物質の量」は線量評価に用いた放射性物質の放出量(推定年間放出量)
*2  「発電用軽水型原子炉施設の安全審査における一般公衆の線量評価について(原子力安全委員会了承)」に示されている値
なお、原子力発電所(軽水炉)からの放出による線量目標値は年間0.05ミリシーベルト(「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に関する指針(原子力委員会決定)」より)

再処理工場で発生する放射性物質はすべて海洋や大気に放出されるのですか。

 六ヶ所再処理工場内では、

  • 液体については、蒸発装置(蒸留する)、ろ過装置等により廃液中の放射性物質をできる限り除去します。
  • 気体については、高性能粒子フィルタやよう素フィルタを用いたろ過等により放射性物質をできる限り除去します。

 このように、国内外の最良の技術を用いて、できる限り放射性物質を除去しますが、一部の除去できないものが放出されることになります。放出に際しては、沖合い約3km、深さ約44mの海洋放出管や高さ約150mの排気筒から放出し、大気や海水で十分に拡散・希釈することにより、一般公衆の受ける線量を低減することとしています。

再処理工場から放出される放射性物質で環境が汚染されると、人体や食べ物などへの影響が心配です。

 六ヶ所再処理工場では、国内外の最良の技術を用いて、できる限り放射性物質を除去しますが、一部の除去できないものが大気や海洋へ放出されます。
 除去できない主な放射性物質は、クリプトン85、炭素14、トリチウムという極めて人体への影響が弱い種類の放射性物質です。これらは、もともと自然界にも存在しており、体内に取り込んでも新陳代謝などにより排出されます。
 なお、米をはじめ食品の中には、自然界にもともと存在するポロニウム210、カリウム40や炭素14などの放射性物質が含まれており、私たちはこれらを食品を通じて摂取することにより、年間約0.99ミリシーベルト(日本平均)の放射線を受けます。

 六ヶ所再処理工場からの放出により、精米や魚類等に含まれる放射性物質の測定結果等に影響が見られることが予想されていますが、六ヶ所再処理工場から放出される放射性物質による影響は、これらを含めて年間約0.022ミリシーベルトと評価しており、法令で定められている公衆の線量限度(年間1ミリシーベルト)を下回ることが、国の安全審査において確認されています。

再処理工場から放出される放射性物質による海洋や大気、農作物への影響はどうなのですか。

 当社では、原子燃料サイクル施設の周辺環境における放射線の影響を確認するため、施設が建設されるより以前の平成元年から、モニタリングステーション等による空間放射線量率の監視を連続的に行うとともに、牛乳や米、水産物や農産物などのさまざまな試料を定期的に採取し、分析・測定を行ってきました。その結果は、青森県の調査結果と合わせて、放射線の専門家や、農協や漁協など地元関係団体の代表の方々で構成される「青森県原子力施設環境放射線等監視評価会議」(四半期ごとに開催)において審議・評価され、その結果は青森県発行の「モニタリングつうしんあおもり」にて公表されています。

再処理工場の操業により周辺で小児白血病が増えるのではないか心配です。

 六ヶ所再処理工場から放出される放射性物質による影響は、年間約0.022ミリシーベルトと評価しており、法令で定められている公衆の線量限度(年間1ミリシーベルト)を大きく下回ることが、国の安全審査において確認されています。
 私達は日常生活の中で自然界からの放射性物質による影響を年間約2.1ミリシーベルト(日本平均)受けています。さらに自然界の放射性物質から受ける影響は地域によって異なり、日本で一番高い岐阜県と一番低い神奈川県とでは、年間約0.4ミリシーベルトの差があります。
 六ヶ所再処理工場からの影響年間約0.022ミリシーベルトは、自然界の放射性物質から受ける影響の地域差などと比べても小さいものです。

<参考>
●イギリスやフランスの再処理工場周辺で小児白血病の発生率が統計的に高く、再処理工場からの放射性物質の放出との関連性を主張する調査報告がありましたが、両国の政府はそれぞれ専門家による委員会を設置し調査しています。その結果、いずれも再処理工場からの放射性物質の放出による線量は極めて小さく、白血病が多く発生している原因として説明できないとしており、人口が集中したことによるウィルス感染(人口混合)の可能性が有力視されています。
●カナダのピッカリング原子力発電所(トリチウムの放出が多い重水炉)から放出されたトリチウムと周辺地域の小児白血病や先天性異常の関連性を主張する研究が発表されましたが、カナダ原子力管理委員会が調査をしています。その結果、ピッカリング原子力発電所周辺の死産、新生児・幼児の死亡率および小児白血病の死亡率、発生率に有意な増加は認められなかったとしています。