新型遠心分離機の開発
開発までの道のり
オールジャパン体制で開発!
ウラン濃縮技術開発センター
2000年11月に、当社、核燃料サイクル開発機構(当時)およびメーカーなどの技術者を結集し、六ヶ所村に「ウラン濃縮技術開発センター」を設立しました。
これまでの遠心分離機開発の成果、知見を集約し、我が国の濃縮技術開発の拠点として、新型遠心分離機に関する材料評価技術、ガス流動解析技術、回転体構造解析技術、濃縮システム運用技術などの最先端技術を研究すると共に、濃縮開発技術に係わる人材の養成を行っています。
世界最高水準となる従来機比4~5倍の分離性能を達成!
2000年度から開発を開始した新型遠心分離機は、「概念仕様」、「基本仕様」、「最終仕様」を決定し、2007年11月からはUF6ガスを使用したホット試験により、カスケードでの運転特性や分離性能の確認を行い、回転胴を金属から複合材料に変更するなど、従来の金属胴遠心分離機から4~5倍となる世界最高水準の分離性能を達成しました。
(従来機)金属胴遠心分離機カスケード
新型遠心分離機カスケード
開発と製造を一本化!自社で新型遠心分離機を製造!
濃縮機器製造工場
ウラン濃縮技術開発センターにて開発した新型遠心分離機の量産化に向けて、濃縮機器製造工場において開発段階で確立した製造に関わる品質確保体制の実効性や量産体制の有効性の確認後、2010年4月から新型遠心分離機の製造を開始しました。
当社は、我が国唯一の商業プラントに遠心分離機を供給する、機器メーカとしての一面も有しています。
これまで培った基礎技術を基に、量産品質を追求し、ウラン濃縮工場に設置するすべての新型遠心分離機を作り上げました。
遠心分離機の研究開発から設計・製造および操業にいたるまでを、一貫して自社で取り組める高い技術力を有しています。
現在そして未来へ
開発試験での確認結果を踏まえ、まず、初期導入として、RE-2(450トンSWU※)のうち75トンSWU/年を37.5トンSWU/年ずつ2回に分けて、新型遠心分離機へ更新することとし、前半分は2012年3月、後半分は2013年5月に生産運転を開始しました。
今後、順次新型遠心分離機への更新を行い、将来的には年間1,500トンSWUの生産規模達成を目指していく計画です。
当社の濃縮技術は、既に世界最高水準にありますが、今後も、国際市場で確固たる地位を確立するため、日々、研究開発に取り組んでまいります。
※ SWU: Separative Work Unitの略。ウラン濃縮する際に必要となる仕事量の単位(分離作業単位)を表します。
ウラン濃縮工場全景
ウラン濃縮工場の中央制御室
ウラン濃縮工場のこれまで
- 2016
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- 2013年5月
- 新型遠心分離機初期導入後半分生産運転開始(37.5トンSWU/年)
- 2013
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- 2012年3月
- 新型遠心分離機による生産運転開始(37.5トンSWU/年)
- 2012
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- 2010年12月
- 金属胴遠心分離機による生産運転を全停止
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- 2010年4月
- 濃縮機器製造工場で新型遠心分離機の製造組立を開始
- 2010
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- 2009年10月
- 濃縮機器製造工場が完成
- 2009
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<研究開発の10年>
金属胴遠心分離機の更新に際し、最新の技術を利用し、高い分離性能でより寿命の長い遠心分離機の開発に着手。
実証試験等の研究開発成果により、新型遠心分離機のプラント導入が見通せたことから、全ての金属胴遠心分離機の停止を判断。 -
- 2000年11月
- ウラン濃縮技術開発センター発足(新型遠心分離機の開発を開始)
- 世界最高水準の遠心分離機の開発を目指し、最先端技術の研究開発と人材育成を実施
- 2000
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- 1998年10月
- 第2期導入分450トンSWU/年の運転達成
操業開始以降、順調に生産規模を拡大し、1,050トンSWU/年規模を達成。
- 1998
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- 1994年9月
- 第1期導入分600トンSWU/年の運転達成
- 1994
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- 1993年11月
- ウラン濃縮工場から製品ウラン初出荷
- 1993
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- 1992年3月
- ウラン濃縮工場の操業開始(150トンSWU/年)
動力炉・核燃料開発事業団(現:日本原子力研究開発機構)の研究開発の実績をベースに日本初の商業用ウラン濃縮工場として操業を開始
- 1992
生産運転の変遷
第1期分(RE-1:600トンSWU/年)
年 月 | 変 遷 |
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1992年4月 | 操業開始 RE-1A(150トンSWU/年)生産運転開始 |
1992年12月 | RE-1B(150トンSWU/年)生産運転開始 |
1993年5月 | RE-1D(150トンtSWU/年)生産運転開始 |
1994年9月 | RE-1C(150トンSWU/年)生産運転開始 |
2000年4月 | RE-1A(150トンtSWU/年)生産運転停止 |
2002年12月 | RE-1B(150トンSWU/年)生産運転停止 |
2003年6月 | RE-1C(150トンSWU/年)生産運転停止 |
2005年11月 | RE-1D(150トンSWU/年)生産運転停止 |
第2期分(RE-2:450トンSWU/年)
年 月 | 変 遷 |
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1997年10月 | RE-2A(150トンSWU/年)生産運転開始 |
1998年4月 | RE-2B(150トンSWU/年)生産運転開始 |
1998年10月 | RE-2C(150トンSWU/年)生産運転開始 |
2006年11月 | RE-2A(150トンSWU/年)生産運転停止 |
2010年12月 | RE-2B(150トンSWU/年)生産運転停止 |
2008年2月 | RE-2C(150トンSWU/年)生産運転停止 |
2012年3月 | RE-2A(37.5トンSWU/年)生産運転開始(新型遠心分離機) |
2013年5月 | RE-2A(37.5トンSWU/年)生産運転開始(新型遠心分離機) |