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再処理工場の全体工程

全体工程

全国の原子力発電所で使われた燃料は、頑丈な使用済燃料輸送容器(キャスク)に入れて再処理工場に運ばれてきます。使用済燃料受入れ・貯蔵建屋内の輸送容器管理建屋で一時保管した後、貯蔵プールに移します。十分に放射能が弱まった後、約3~4センチの長さに細かくせん断し、燃料の部分を硝酸で溶かした後、ウラン、プルトニウム、核分裂生成物とに分離します。さらにウラン溶液とプルトニウム溶液を精製、脱硝してウラン酸化物とウラン・プルトニウム混合酸化物の2種類の製品を作ります。

再処理工程で生じる核分裂生成物を含む廃液は強い放射能を帯びているため、高レベル放射性廃棄物と呼ばれます。この廃液はガラス原料と混ぜ合わせて溶融し、ステンレス製容器(キャニスター)に流し込み、冷やして固めます。

使用済燃料受入れ・貯蔵

原子力発電所から運ばれてきた使用済燃料は、使用済燃料輸送容器(キャスク)から取り出され、3基の燃料貯蔵プール(BWR専用、PWR専用、BWR/PWR共用)で冷却・貯蔵されます。(原子力発電所のプールでの冷却・貯蔵と合わせて4年以上)冷却・貯蔵により放射能の量は数百分の1に減衰します。冷却期間を終えた使用済燃料は、次のせん断工程に移送されます。


使用済燃料貯蔵プール

せん断・溶解

せん断・溶解工程では、せん断機で使用済燃料を細かく切断した後、硝酸を入れた溶解槽で燃料部分を溶かし、燃料部分と被覆管部分とを分別します。燃料を溶かした硝酸溶液は、清澄機で不溶解残渣(燃料せん断片を溶解槽で溶解した際に溶解せずに残る粒子状のもの)を除去した後、分離工程へ送ります。なお、溶け残った被覆管などの金属片は、固体廃棄物として処理します。


せん断機

溶解槽

清澄機

分離

分離工程では、パルスカラムという装置で、硝酸溶液を溶媒といわれる油性の溶液と接触させ、ウラン・プルトニウムと核分裂生成物を分離します。さらに、化学的性質の違いを利用してこのウランとプルトニウムも分離し、精製工程へ送ります。


パルスカラム

精製

精製工程では、パルスカラムやミキサセトラという装置を用い、ウラン溶液及びプルトニウム溶液中に含まれている微量の核分裂生成物をさらに取り除いて純度を高めた後、脱硝工程へ送ります。


ミキサセトラ

脱硝・製品貯蔵

脱硝工程では、脱硝塔を用いて、精製されたウラン溶液とウラン・プルトニウム混合溶液から硝酸を蒸発及び熱分解させて、ウラン酸化物粉末とウラン・プルトニウム混合酸化物粉末(MOX粉末)にします。それぞれの粉末は、燃料加工施設等に出荷されるまでの期間貯蔵します。


脱硝塔

高レベル廃液ガラス固化

再処理工程で生じる核分裂生成物を高レベル放射性廃棄物といいます。これらは、溶融炉の中で溶かしたガラスと混ぜ合わせ、キャニスターに入れ冷やし固めます(ガラス固化体)。


高レベル廃液ガラス固化建屋内

ガラス溶融炉