高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターにおける送排風機の一時停止について(原因と対策)
2023年10月4日に発生しました、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター(ガラス固化体受入れ建屋※1、ガラス固化体貯蔵建屋※2、ガラス固化体貯蔵建屋B棟※3)において、送排風機が一時停止した事象について、今般、原因と対策を取りまとめました。※1:以下、EA建屋、※2:以下、EB建屋、※3:以下、EB2建屋
【概要】
高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターにおいて、EA、EB建屋(10月4日午前)およびEB2建屋(10月4日午後)の現場制御盤の更新工事を行っていたところ、EB2建屋の制御盤全体の電源を「切」操作したことで送排風機の起動信号が切れ(別紙1参照)、EB2建屋の収納管排風機および管理区域送排風機が全台停止しました。(別紙2参照)
また、EB2建屋の収納管排風機が停止したことにより、EB2建屋の収納管内の負圧維持のため、建物が繋がっているEA、EB建屋の管理区域・検査室の送排風機も停止しました。(別紙2参照)
なお、EB建屋の収納管排風機は今回の事象で影響を受けず、運転を継続しました。
【原因】
今回発生した事象について調査した結果、以下の直接原因を確認しました。
- EB2建屋の更新工事では、本来、制御盤内のCPUの電源のみを「切」操作するべきところ、
作業実施部署が立案した誤った作業計画に基づき、制御盤全体の電源を「切」操作したことで、I/O基板※4への信号電源が喪失し、EB2建屋の収納管排風機および建屋換気設備の送排風機を起動する信号が途絶えたこと。(別紙1参照) ※4:送排風機の起動について入力・出力を行うもの
誤った作業計画が立案された経緯を調査したところ、制御盤更新の設計を担当する設計実施部署と現場作業を担当する作業実施部署間の業務移管において、次の問題点を確認しました。
問題点:設計実施部署は作業実施部署への業務移管に際し、更新工事に係る作業要領書について、EA、EB建屋およびEB2建屋で更新範囲等に違いがあるなど、設計情報等の説明を行わなかった。
作業実施部署は、作業要領書の設計情報等の確認を行わず、更新範囲等に違いがあることを認識できなかった。
前述の問題点について、それぞれの業務プロセスにおける背後要因を深掘りし、以下の原因を整理しました。
原因:業務移管を担当者へ指示した設計実施部署の課長は、全社の業務移管マニュアルに基づいた業務上の重要事項等(設計情報等)を記載した引継書の作成を認識していたものの、同一部内における業務移管において、当該引継書の作成は不要であると考え、設計部署の担当者から作業実施部署の担当者への業務移管は、設計情報等が記載された作業要領書の引渡しのみで十分と判断した。
作業実施部署は、EA、EB建屋およびEB2建屋の更新範囲等は同じだと思い込んだため、作業要領書の設計情報等について確認を行わなかった。
【再発防止対策】
全社の業務移管マニュアルは、人事異動に伴う後任者への業務引継を中心とした内容であることから、部や課をまたぐ業務移管にも適用するよう改正するとともに、再処理事業部においては、全社の業務移管マニュアルの改正を受けて、工事等の業務移管をより具体化した運用マニュアルを新たに制定し、周知します。
本事象を引き起こした計装保全部内では、新たに制定する再処理事業部のマニュアルに沿って、書面で更新工事の目的、範囲、工事方法、注意事項等を引き継ぐことを徹底するとともに、作業に関する資料を十分に読み込むことを業務上の留意事項としてルール化します。
<添付資料>
2023年10月5日にお知らせした内容
10月4日の12時4分、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター(ガラス固化体受入れ建屋、ガラス固化体貯蔵建屋、ガラス固化体貯蔵建屋B棟)において、ガラス固化体貯蔵建屋の収納管排風機を除き、2系統で構成される全ての送排風機が両系統とも一時停止しました。
その後、13時25分までに停止していた全ての送排風機を復旧いたしました。
送排風機一時停止中においても、ガラス固化体の収納管内の負圧は維持されていたことを確認しています。また、ガラス固化体は自然通風により冷却されていることから、送排風機の一時停止による冷却機能への影響はありません。
本事象による放射性物質の放出及び汚染はなく、環境への影響はありません。
原因は、制御室にある監視制御盤の更新工事において、作業に問題があったと認識しており、今後、詳細に調査を進めていくこととしています。