発表•お知らせ
2023年4月26日

定例社長記者懇談会挨拶概要

 本日は、「原子力規制委員との意見交換」、「設工認の対応状況」、「MOX燃料工場の建設状況」の3点について、ご報告させていただきます。

原子力規制委員との意見交換

 まず、今月14日に行われた「原子力規制委員との意見交換」についてです。
 今回は、再処理の第2回設工認申請書の不備とIAEAの監視を一時中断させてしまったことについて、意見交換を行いました。
 申請書の不備に関しては、二度と同じ不備を起こさないために、原因の深掘りを進め、実効的な対策を講じることをお約束しました。
 委員の皆さまから、「スケジュールありきではなく、審査に足る資料を提出してほしい」といったご意見をいただきました。
 しっかりと審査いただける品質の高い資料を提出することが、我々の基本であると考えており、今回の不備ではルールの整備や浸透に不足があったことから、原因の深掘りを行い、その結果を踏まえてルールを見直し、ルールに従って、全ての人が同様に申請書を作成できるようにしてまいります。
 また、「経営層、事務局へ状況を伝えても申請目標は見直されないと考えた」といった声が挙げられたことを踏まえ、社員が率直な意見を発信でき、その意見が経営層、私まで確実に伝わる環境を整えるとともに、現場の実態を踏まえた経営資源の投入や、必要があれば計画を見直すという判断も行っていきます。
 IAEAの監視を一時中断させてしまったことについては、IAEAからの信頼を失いかねず、当社事業を始めとした日本の原子力利用が継続できなくなる重大な問題であるという認識の下、対応させていただきました。
 当社はこれまでも、核燃料物質を扱う事業者として、保障措置を重要なものと位置付け、保障措置の責任部署を置き、活動してまいりました。
 しかし、この責任部署と各部署の保障措置上の連携が不十分だったことや保障措置に対する意識も各部署でばらつきがあったことで、今回の事象を発生させてしまいました。
 IAEAによる保障措置活動がしっかりと維持できるように、保障措置に必要な設備の管理基準を明確にするとともに、責任部署と各部署の連携をとり、さらに保障措置の重要性に関する社員教育の内容を充実していきます。
 このような活動を、継続的に実施することで、原子力安全や核セキュリティと同様に、保障措置についても文化として当社に根付かせたいと思っています。

設工認の対応状況

 次に、「設工認の対応状況」です。
 今月24日の審査会合では、先月に引き続き、再処理の建屋と設備の耐震評価の前提となる地盤モデルについてご説明しました。
 具体的には、平均地盤モデルを用いることの妥当性を説明するにあたり、敷地内の近接建屋を12グループに分けてお示しし、先月の審査会合で4グループ、残りの8グループについて、耐震評価の前提となる入力地震動に与える岩盤部分の減衰定数の設定の違いなど、4つの因子の影響を解析し、今回、結果をお示ししました。
 引き続き、平均地盤モデルと直下地盤モデルとの差異について、技術的知見から分析・考察を行ってまいります。
 設工認の審査対応についてですが、これまで設工認事務局が作成担当課の横串を通すなど、設工認審査の改善を図ってきましたが、申請書の不備もありましたので、審査をより着実に前進させるため、技術的論点の説明方針と実行可能なスケジュールを作成し、進捗管理を行い、リーダーシップをもって実務部隊をけん引する「ステアリングチーム」を新たに設置したことをご説明しました。
 これにより、技術的な議論も効率的に進むことを期待しています。
 引き続き、一日も早いしゅん工に向けて、オールジャパン体制で審査に取り組んでまいります。

MOX燃料工場の建設状況

 次に、「MOX燃料工場の建設状況」です。お手元の資料をご覧ください。
 MOX燃料工場は、昨年9月、建屋を対象とした第1回設工認の認可をいただき、工事を本格化させました。
 建屋は、地上2階、地下3階建てで、下の階から順に工事を進めています。左上の写真は、昨年9月の地下2階床のコンクリート打設時の状況です。
 その後、冬季でも作業できるよう、屋根や防雪シートの設置、融雪用のヒータなど、安全性と作業性を確保しながら工事を進め、現在は、右側の写真のように地下2階壁のコンクリート打設工事を行っているところです。
 下の4枚の写真は現在の地下3階の様子です。地下3階には、再処理工場から移送されたMOX粉末をウラン粉末と混合し、燃料ペレットに成形・加工する部屋があり、写真のように壁や天井などが仕上がっています。配管やケーブルを据付けるための埋込金物や耐火扉も施工されており、工事が着実に進んでいます。
 引き続き、安全を最優先に工事を進め、一日も早いしゅん工に向けて取り組んでまいります。 

 最後になりますが、明日、明後日の2日間にわたって、原子力規制委員会の田中委員に当社施設をご視察いただきます。
 今回は主に、昨年7月に発生した高レベル放射性廃液ガラス固化建屋の安全冷却機能の一時喪失事象に関する再発防止対策の実施状況をご視察されると伺っており、当社としては、しっかりと対策を講じていることをご説明したいと考えています。
 田中委員に現場をご覧いただくのは2018年以来となりますので、現在の再処理・濃縮・埋設の安全対策の状況についてもご確認いただきたいと考えています。
 本日、私からは以上です。