発表•お知らせ
2022年1月27日

定例社長記者懇談会挨拶概要

 まず始めに、コロナについてです。当社はこれまでも新型コロナウイルスに対して、様々な感染防止対策を講じ、10月中旬以降、陽性者は出ていませんでしたが、今月中旬から陽性者が増加、構内の協力会社の事務所でクラスターを発生させてしまいました。地域の皆さまには大変ご心配をおかけしており、お詫び申し上げます。
 陽性者と同じ事務所を利用していた方には、速やかに自宅待機、PCR検査を受検していただいています。このクラスター以外にも陽性者が連日発生している状況であり、引き続き、国や青森県の方針に従い、感染拡大防止対策の徹底、強化を図ってまいります。

 本日は「設工認申請の対応状況」、今月12日に行われた「原子力規制委員会との意見交換」について報告させていただきます。また、今年最初の懇談会となりますので、「今年の抱負」も触れさせていただきます。

設工認申請の対応状況

 まず「設工認申請の対応状況」です。
 申請書本文や添付書類の記載内容の整理、申請対象設備の明確化については、ヒアリングを効率的に進めるため、設備がコンパクトなMOXを代表例として説明を行い、その論点を再処理に反映することで進めております。MOXについては、大きな論点は残っていないと考えており、現在、補正書の取り纏めを行っているところです。再処理についても順次ヒアリングでご説明しています。
 来週31日の審査会合では、再処理の飛来物防護ネットの地盤液状化による冷却塔への波及的影響評価について、飛来物防護ネットの架構の設計に用いる解析モデルの妥当性をお示しした上で、基準地震動全13波に対する影響評価結果をご説明したいと考えています。
 審査会合での議論も申請書に反映させ、できたものから順次補正を行うこととし、 MOXは来月上旬、再処理はMOXでの内容を反映した後、できるだけ速やかに提出することで進めたいと考えています。引き続き、目標通りのしゅん工に向けて全力で取り組んでまいります。
 来週31日の審査会合では、ウラン濃縮工場の新規制基準対応に関する設工認についても取り上げていただく予定であり、当社からは、今月18日に提出した第5回設工認の補正内容をご説明します。
 設工認対応の遅れや、それに伴う工事工程の調整により、今年度中を目指していた生産運転の再開については、来年度に延びる見込みです。現在、新たな工程を精査しており、詳細は設工認の認可後にお示ししたいと考えています。

原子力規制委員会との意見交換

 次に、今月12日に行われた「原子力規制委員会との意見交換」についてです。
 当日は、再処理工場のしゅん工・操業および安全・安定操業に向けた取り組みについて、私の決意を述べさせていただきました。委員の方々からは、設工認審査が膠着状態であること、停滞が続くようなら打開策を検討するべき、などの厳しいご意見がありました。
 私からは、設工認総括責任者の任命や技術的知見の豊富なプロパー幹部の関与による体制強化、設計管理として適切な時期に、適切に意思決定できるようにする業務プロセスの改善、電力による設工認、工事監理の支援の更なる強化など、コミュニケーションの向上を主眼とした体制の強化により、しっかりと進めることができるとお伝えしました。2ヶ月経過しましたが、この体制の下で期待する成果が出てきていると感じており、引き続き、設工認審査に全力で取り組んでまいります。
 意見交換では、他にも、福島第一原子力発電所の事故収束への技術的協力、東海再処理施設のガラス固化トラブルの原因究明に対する協力、プロパー社員の育成、自然災害への備えなどのご意見をいただいており、今後の活動にしっかりと反映させ、日本の原子力の安全性の向上に貢献するとともに、地域の皆さまにご安心いただける施設を作り上げてまいります。

今年の抱負

 次に、今年の抱負を述べさせていただきたいと思います。
 エネルギー基本計画で明記された「原子燃料サイクル政策の推進」の実現に向け、今年は、我々全員の知恵と力を結集して、「原子燃料サイクルの確立という当社の使命を成し遂げる年」にしたいと年頭のメッセージで社員に伝えました。
 各事業とも、今年は昨年以上に現場が中心となる年となります。再処理事業では、設工認対応から、工事、検査、試験運転、しゅん工と進めます。燃料製造事業では、2024年度上期しゅん工に向けて、設工認対応、建屋建設だけでなく、機器の製作・据付や、使用前事業者検査が中心となっていきます。濃縮事業も生産運転を再開します。埋設事業では、従来通りの低レベル廃棄物の埋設管理に加え、1号埋設7・8群と3号埋設の工事が本格化します。
 これら各事業を安全に計画的に進めるためにも、社員、協力会社が心を一つにして、労働災害を絶対に起こさず、安全最優先に工事を進めていきたいと思っています。

 次に、11月にこの場で申し上げましたラ・アーグ再処理工場での運転員の訓練についてです。昨年末に第1陣が1ヶ月の訓練を終えて帰国し、先週、訓練成果報告会を行いました。報告会では、前処理・分離・精製といった工程ごとに、実際の運転を通じて学んだ運転ノウハウや当社設備との違い、トラブルへの対処などを報告してもらいました。
 運転員からは、「運転操作に自信が持てた」、「生産運転の実感が湧いた」などの感想があり、大変頼もしく思っています。今後、彼らがリーダーになり、訓練で学んだことを他の運転員へ展開してほしいと考えています。
 今後、国内外の新型コロナウイルス感染状況も勘案しながら、第2陣以降の派遣を計画していきます。

 最後になりますが、再処理工場を安全に安定した操業を継続していくには、地元企業の方々と一体となった工場運営が不可欠です。
 お手元の資料をご覧ください。当社は、運転・保全業務に関して、必要な技術力を提示し、技術習得の場を提供することで、地元企業の方々と一体となった工場運営ができる環境を整えていきたいと考えています。
 上の写真のように、再処理工場では、現在も多くの地元企業の方々にご協力をいただきながら、機械、電気、計装などの設備の健全性を維持しています。しゅん工後も、定期点検の中で数多くの設備を点検、保全していく必要があり、より多くの地元企業の方々に支えていただきたいと考えています。
 その一環として、来月2日、六ヶ所村において、青森県が主催する「原子力メンテナンス業務参入促進セミナー」が開催されますので、ご紹介します。このセミナーはオンライン形式で開催されますが、当社とグループ企業から、しゅん工後に地元企業の方々に担っていただきたい保全業務、当社が求める技術・技能、技術習得のための教育・訓練などについてご説明しようと考えています。
 左下の写真のように、当社やグループ企業の訓練施設では、日々、地元企業の方々がより良い保全を行うための訓練を行っています。参入意欲のある地元企業の方々にもこういった施設をご活用いただき、必要な技術・技能を習得していただきたいと考えており、今回のセミナーを活用してご説明する予定です。また、右下の写真のように、現場で行っている実際の保全作業をご覧いただく機会も作ろうと考えており、現場の実態を的確に把握していただくことも行ってまいります。
 引き続き、地元企業の方々と一緒になって安全・安定操業に向けて取り組み、地域とともに発展する再処理工場を目指してまいります。

以上