発表•お知らせ
2021年12月22日

定例社長記者懇談会挨拶概要

 本日は、「設工認申請の対応状況」についてご報告させていただき、それと合わせて、今年最後の懇談会となりますので、今年1年の振り返りをさせていただきたいと考えております。

設工認申請の対応状況

 まず「設工認申請の対応状況」です。
 飛来物防護ネットの液状化による冷却塔への影響評価については、今回の対象となる構築物では、予想に反し、液状化による影響が非液状化より厳しいものとなりましたが、結果が出た際に立ち止まることができませんでした。そこで液状化による構築物への影響と、その冷却塔に与える影響を確認することを目的として、合理化した解析モデルを作り、評価を行うこととしました。
 明日の審査会合では、この合理化した解析モデルを冷却塔への影響評価のために使用することを中心にご説明する予定です。その後、年明けの審査会合でこの合理的なモデルが科学的・技術的に妥当であることについて説明したいと考えています。
 また、申請書本文や添付書類の記載内容の整理、申請対象設備の明確化についても、自らルールを設定して資料の精査を続けており、その状況を明日ご説明する予定です。
 今月予定していた補正書の提出は、来月となりますが、できるだけ速やかに提出できるよう努力してまいります。

1年の振り返り

 今年1年を振り返りますと、昨年末、再処理工場とMOX燃料工場の初回の設工認申請を行って以降、当社と協力会社が一丸となって、設工認対応に取り組んでいただいた1年でした。
 再処理工場は施設や設備の数が多く、新規制基準への適合性審査の下で初めての設工認であり、前例がない中で申請書に記載すべき事項や、申請対象設備の選定の考え方について、しっかりロジックを構築して説明する必要がありましたが、過去の設工認の記載に捉われすぎたり、発電炉の設工認への理解が足りず、審査が技術的論点に進むまでに約半年を要してしまいました。
 耐震については、MOX燃料加工建屋の耐震評価に用いる地盤モデルの妥当性、飛来物防護ネットの液状化による冷却塔への影響評価、この2つの技術的な論点について、審査会合で時間がかかってきた部分だと考えています。
 MOX燃料加工建屋の耐震評価に用いる地盤モデルの妥当性については、11月に説明が終了しましたが、飛来物防護ネットの液状化による冷却塔への影響評価については、現在、合理化した解析モデルが科学的・技術的な根拠に基づいていることを説明するべく、総力を挙げて対応しているところです。

 先月この場でも申し上げましたが、再処理とMOXのエンジニアが働く場所は、物理的に離れており、またそれぞれの事業部内でも分散しており、設工認申請書の作成にあたって、部門横断的に調整を行うには労力を要する部分が多かったと反省しております。今月1日からは、設工認対応者のコミュニケーションと作業性の向上のため、執務場所を集約しました。
 お手元の資料をご覧いただきたいと思いますが、現在、上の写真のように、21部門の社員と6社の協力会社の方々、計400名が一堂に会して作業を行っています。また、下の写真のように、設工認総括責任者を中心として、再処理とMOXの幹部が、毎朝集まって設工認全体の進捗状況を確認したり、様々な部門の社員や協力会社の方々が、さっと集まって、情報共有や資料の確認が容易にできるようになりました。
 このように設工認対応者が同じ場所に集まり、同じ認識のもとで、同じ目的に向かって仕事をすることで、事業部にまたがる調整や部門間の連携が速やかに行えるようになったこと、また、設工認に関する責任者を明確にし、常駐させることで、相談・確認しやすい環境とすることができました。
 今後、この1年間経験してきたことを活かし、改善・強化した体制のもとで、一日も早い認可取得を目指して頑張っていきます。

 次に、設工認以外の各事業のこの一年についてですが、今年は、各事業とも現場に軸足を移し、工事を進めた1年となりました。
 再処理工場と高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターの現場では、工事量が増加してきており、1日あたりの作業員数が約4千人となるなど、着実に工事を進めています。
 MOX燃料工場では、冬場でも作業ができるよう、ロードヒーティングや風雪を避ける工夫をし、地下3階エリアの工事を進めてきました。今シーズンも、同様の対策により、工事を進めてまいります。
 ウラン濃縮工場では、7月に、5分割した設工認の第4回分の認可をいただいたことから、新型遠心機を据え付ける設備の耐震補強工事など数多くの工事を始めることができました。また、新型遠心機の製造に関する設工認の認可もいただき、9月より濃縮機器製造工場で遠心機の製造も始めました。
 低レベル放射性廃棄物埋設センターでは、7月に3号埋設施設の許可をいただき、皆さまにもご覧いただいた通り、11月から岩盤コンクリートを打設し、本格工事を開始しました。冬場は降雪により工事を休止しますが、雪解けを待って再開します。
 年頭、軸足が現場に移る今年は、現場を見えるようにすると申し上げてスタートしましたが、それなりに進捗感をお見せできたのではないかと思っております。このように全ての事業において、数多くの工事を多くの方々のご協力により行っている状況ですので、現場から不安全な環境と不安全な行為を徹底的に排除し、引き続き、安全第一で工事を進めてまいります。

 新型コロナウイルス感染症に関しては、当社も青森県の対処方針に従い、様々な対策を講じてきましたが、申し訳ないことに4件のクラスターを発生させてしまいました。地域の皆さまに大変なご心配をおかけしましたことを、あらためてお詫び申し上げます。
 現在は落ち着いていますが、来年も現場では多くの方々に仕事をしていただくことから、当社で働く全ての方々が安心して安全に働いていただくため、これまで実施してきた感染拡大防止対策を継続してまいります。また、今月13日には、3回目の職場接種を実施すべく国への申請も行いました。接種を来年春頃から開始できるように、準備を進めています。引き続き、感染拡大防止対策に取り組んでまいります。

 来年は、原子燃料サイクルの要である再処理工場をしゅん工させる重要な年となります。しゅん工に向けた取り組みとして、JANSIによる外部レビューを通じて我々の振る舞いの弱みを改善する活動や、ラ・アーグ再処理工場での実機による運転員の訓練を行ってまいりました。来年もラ・アーグへ36名の運転員を派遣し、運転員の技術力の維持・向上を図るなど、しゅん工、その後の安全・安定運転に向けてしっかりと進めてまいります。
 引き続き、地域の皆さまにご安心していただけるよう、現状に満足せず、「昨日より今日、今日より明日」と改善を進め、当社と協力会社が一丸となって、来年度上期しゅん工に向けて安全最優先に取り組んでまいります。

 本日、私からは以上です。 

以上