事業情報

排気筒ガスモニタ・シャフトモニタ・排水モニタのQ&A

再処理工場主排気筒ガスモニタとは?

施設から空気中に放出される気体中の放射性物質(主にクリプトン85)を監視している装置です。

排気筒モニタは、サイクル施設から放出される放射性気体廃棄物を連続的に監視しているものです。再処理工場では主にクリプトン85などを監視しており、国から許可を受けた年間の放出量を超えないように管理しています。クリプトン85は使用済燃料棒の中にガス状で存在しており、再処理工場で使用済燃料のせん断、溶解が行われると主排気筒から放出されます。この時に主排気筒ガスモニタの値が一時的に上昇します。

主排気筒ガスモニタとはどのように変動するの?

せん断、溶解中のクリプトン85の放出量はのこぎりの歯の形のような変動をします。

のこぎりの歯のような変動をするのは、使用済燃料のせん断片を一定量毎に溶解槽の同じバスケット[かご]に供給し、高温の硝酸中で溶解する作業を一定の周期で繰り返すためです。例えていえば発泡入浴剤を一定時間ごとに水の中に入れたときに、溶けて発生する泡の量が周期的に変動するのと同じです。一方せん断、溶解を行わない期間は、変動がない状況が続くことになります。

排水モニタとは?

施設から海洋に放出される排水中の放射性物質を監視している装置です。

シャフトモニタとは?

ガラス固化体を冷却する空気が放射化されてできるアルゴン-41という希ガスを監視しているモニタです。

再処理工場の高レベル廃液ガラス固化建屋及び第1ガラス固化体貯蔵建屋、並びに、高レベル放射性物質貯蔵管理センターでは、高レベル放射性廃棄物をガラス固化してステンレス製のキャニスターという容器に閉じ込めたものを収納管に保管し、自然の通風により冷却しています。キャニスター自体に密封性があり、また収納管自体も密封性を持っており、健全性を確認しているので、ガラス固化体中の放射性物質が放出されることはありません。しかし、ガラス固化体からは中性子という放射線が放出され、冷却している空気に含まれる希ガスのアルゴン-40を放射性のアルゴン-41に変えるため、アルゴン-41を監視しています。

単位:cpm[カウント・パー・ミニッツ]とは?

1分間に検出器が数えた放射線の数を表す単位です。

管理値とは?

想定外の異常な放出がないことを確認するための目標値です。

せん断、溶解中のクリプトン85の放出量は、のこぎりの歯の形のような変動をするため、通常状態で想定されるクリプトン85の放出量の変動を大幅に超えることがないか、主排気筒ガスモニタの指示値を中央安全監視室において当直員が24時間体制で監視しています。
具体的には、想定される放出量の変動に基づき短時間の計数率(cpm)に対して管理値を定め、ガスモニタの指示値がこの値をこえると中央安全監視室に警報が発報します。
万一、この管理値を超えたとしても、年間の放出管理目標値を超えないように管理することにより、クリプトン85からの放射線による影響は問題ないものになります。
なお、クリプトン85以外の放射性物質も含めた再処理施設から放出する全ての放射性物質から施設周辺で受ける線量は、安全審査において年間約0.022ミリシーベルトと評価しており、私たちが自然界から1年間に受けている線量の約100分の1です。

放出される放射性物質は人体に影響はあるの?

再処理工場からの放射線は自然界の放射線よりはるかに少なく健康への影響はありません。

六ヶ所再処理工場では大気中に放出する放射性物質を、フィルターなどを通じて出来る限り取り除き、安全を確認しながら、大気中に十分に広がり薄まることが見込める高さ、150m[約30階建てのビルに相当]の排気筒から放出します。安全審査では放出されたクリプトン85やトリチウムなどの放射性物質については、それぞれの特徴を考慮しながら、環境を経て人々が放射線を受ける道筋[被ばく経路]ごとに線量を評価し、健康に影響のないことを確認しています。大気中へ放出される放射性物質から再処理工場周辺の住民の方々が受ける線量は年間0.019ミリシーベルトと評価しています。これに海洋へ放出する放射性物質から受ける線量を加えても、年間で約0.022ミリシーベルトと評価しています。これは自然放射線により私たちが1年間に受ける線量2.1ミリシーベルト【日本平均】と比べ約100分の1と非常に少ない値です。

施設から放出される放射性物質以外の要因でモニタの指示値が変動することはあるの?

施設からの排気・排水中の放射性物質を監視するモニタの指示値は、該当施設から放出される放射性物質の量の変化に応じて変動する以外に、他の施設から放出された放射性物質の影響やモニタの切替えなどによっても変動することがあります。

例1.再処理工場において使用済燃料のせん断・溶解を行うことにより、放射性のガスであるクリプトン-85が主排気筒から放出されます。この使用済燃料のせん断・溶解作業中に、一時的に風が弱い状態となった場合、主排気筒から放出されたクリプトン-85が施設付近上空に滞留し、大気中で拡散・希釈される過程で、その一部が他の施設(注)の給気口や冷却空気入口シャフトから取り込まれ、当該施設の排気を監視するモニタの指示値が一時的に上昇することがあります。

(注)再処理工場の高レベル廃液ガラス固化建屋及び第1ガラス固化体貯蔵建屋、並びに、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター等

例2.2系統設置されているモニタに関して、ホームページで公開している系統のモニタの点検に伴って、表示されている指示値が変動することがあります。2系統設置されているモニタについては、できるだけ表示を中断させないよう、ホームページで公開している系統のモニタの点検前に、点検対象でない他の系統のモニタに切替えることとしています。この切替えに伴い、自然界の放射線による双方のモニタにおける指示値のわずかな相違や点検による指示値の変動が一時的に表示されることがあります。