発表•お知らせ
2025年1月6日

2025年 社長年頭挨拶(要旨)

 昨年を振り返りますと、国内外でエネルギーを取り巻く情勢の変化とその対応が具体的に顕れた年でした。
 世界的には、カーボンニュートラルへの取組みと、デジタル技術の進展とAIの活用に伴う半導体工場やデータセンターの建設といった電力需要増加への対応から、原子力発電への期待が高まりました。2050年には原子力を3倍に増やす必要があると言われています。
 国内では、第7次エネルギー基本計画の策定が進んでいます。昨年末に示された原案には、原子力発電の重要性がうたわれ、「原子力を可能な限り減らしていく」という表現が削除され、「最大限活用していく」という方針に変わりました。また、六ヶ所再処理工場とMOX燃料工場のしゅん工を必ず成し遂げるべき重要課題に位置づけ、官民一体で責任を持って取り組むという方針に加え、戦略的にウランの濃縮に関する技術を維持することが明記されました。
 昨年末に開催された、第14回核燃料サイクル協議会においても、「原子力発電と核燃料サイクルの推進は、一貫した国の基本方針であり、六ヶ所再処理工場のしゅん工に官民一体で取り組む」と示され、当社事業の重要性が国や自治体を交えた関係者の間で改めて認識されました。
 日本原燃という我々の会社の活動自体が、国の方針、国の重要課題となっているということを、改めて認識しなければなりません。私たちが取り組んでいる仕事や技術は、日本が将来にわたって、豊かな暮らしを維持するのに必要となるエネルギーの確保そのものです。是非、誇りと責任をもって取り組んでいきましょう。

 当社に目を向けますと、各事業ともしゅん工、運転再開、安全・安定操業に向けて着実に前に進んだ1年でした。
 再処理工場では、設工認審査について、しゅん工目標変更時に定めた全体計画に則り、順調に進めてきました。そして、MOX燃料工場では、第2回設工認に係る全ての項目の説明を完了させ、あとは補正を残すだけの段階まで進めてきました。
 また、工事についても、工事設計の質の向上と、方針決定から仕様確定までの期間短縮に取り組みつつ、計画どおりに進めてきました。
 昨年の8月29日、当社は新たなしゅん工目標を、再処理工場と高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターは「2026年度中」、MOX燃料工場は「2027年度中」と定め、社会や地域の皆さんと約束しました。
 今年、再処理工場では、設工認の審査もさることながら、審査から検査へとシフトする年になります。また、MOX燃料工場では、第2回設工認の認可取得と、第3回以降の設工認の審査対応に加え、建設工事を着実に進めていく年になります。
 各工程を確実かつ遅滞なく完遂するためには、ここにいる皆さんの力を結集することが必要です。新たな目標に向け、「絶対にしゅん工させる」という意識をもって業務を着実に進めていきますので、引き続きよろしくお願いします。
 ウラン濃縮工場では、生産運転を再開させることができ、順調に生産を続けるとともに、増設75トンの設備についても使用前確認証を受領し、増設作業を進めています。
 今年は、ウラン濃縮技術の分野において、国内外のエネルギーセキュリティに貢献する年にしてください。濃縮ウランの供給や活用は、国際的な重要度を増しています。
 低レベル放射性廃棄物埋設センターでは、安全・安定操業を着実に進め、3号埋設施設について、今年度中の操業開始に向けて工事に取り組むとともに、1号埋設施設の覆土材料や施工方法を確認するための、モックアップ試験にも取り組んでいます。
 今年も、埋設事業の長期的な発展に向けて取り組んでいく必要があります。重要な仕事をやっているということを誇りと責任を感じながら仕事に取り組んでほしいと思います。
 そのような状況の中で、皆さんへお願いが3つあります。
 1つ目は、現場に密着し現場に精通した社員になって欲しいということです。プラントの安全や品質を確保するためには、現場の機器の役割、状態をきちんと把握し、本当にその作業を行ってよいのか、どういう状態に設備を保つべきなのかを的確に判断することが必要です。そういった力を養うために、現場に足を運んでください。ただ現場に足を運ぶだけではなく、現場は安全な状態に保たれているか、何か昨日と違うところはないか、今から自分がやろうとしていることは本当に必要なのか、正しいのか、を自らに問いかけてください。
 2つ目は、作業の安全を確保する、すなわち労働災害の根絶のお願いです。残念ながら、昨年12月末の段階で、全社で14件の労働災害が発生しています。現場から「不安全な行動」と「不安全な環境」を徹底して取り除くことが労働災害の撲滅につながります。職場や大切な仲間を守るため、そして、自らも安心して安全に作業ができるよう、一緒に考え、今年こそは労働災害を根絶しましょう。
 3つ目は、我々の事業を行うにあたって、協力会社や関係会社の皆さんと一体となって、「明るく、楽しく、元気よく」仕事に取り組める働きやすい職場とすることです。皆さんには、何事も現状に満足することなく、昨日より今日、今日より明日とより高みを目指して進めていただきたいと思います。
 働きづらい環境、やりづらい仕事があれば改善します。皆さんの思いを声に出し、行動に移してください。こういったことをみんなで実践することが、明るく、楽しく、働きがいのある職場、強い会社につながるものと信じています。
 そして、これが、皆さんの心身の健康と安全につながり、ひいては、ご家族の幸せ、地域の皆さまの安心、当社への信頼へとつながります。仕事や環境を見直し、明るく、楽しく、元気よく働ける職場を作っていきましょう。

 皆さん、今年も安全第一で、ともに頑張りましょう。ご安全に!

以上