2025年7月30日
日本原燃株式会社
再処理工場 精製建屋内(管理区域内)における希釈剤(非放射性の危険物)の漏えいについて(原因と対策)
2025年5月18日に発生した、再処理工場 精製建屋内(管理区域内)における希釈剤(非放射性の危険物)の漏えいについて、今般、その原因と対策について取りまとめました。
1. 漏えいの原因
希釈剤貯槽のベント配管内の析出物(硝酸アンモニウム)によって、ベント配管が閉塞し、貯槽へ供給している計装用圧縮空気が排気されにくい状況となったことから、供給される圧縮空気と排気のバランスが通常状態から変わり、貯槽内の圧力が徐々に高くなったことで、貯槽内の希釈剤が試料採取用ノズルを介して室内へ漏えいした。
2. 析出物発生のメカニズム(別紙参照)
- ①ベントホール(孔)から極微量のアンモニアを含む空気が流入。
- ②空気中のアンモニアと気体となった硝酸が反応して、廃ガス中に硝酸アンモニウムが生成。
- ③水分が含まれていない希釈剤貯槽からの空気で満たされた配管に、硝酸アンモニウムを含む廃ガスが流入したことにより、その滞留部分で水分が蒸発して硝酸アンモニウムが析出。
計算上では配管の空気流量から20年程度で今回確認された析出物が形成される評価が得られており、当該貯槽を使用開始した再処理工場の化学試験時(2002年開始)から長期間かけて析出したものと推定した。
3. 再発防止対策
- 漏えい発生防止措置として、試料採取時以外は、栓をすることで試料採取用ノズルを閉止する。
- 当該貯槽に圧力計を設置し、巡視点検時に貯槽内の圧力を監視することにより、閉塞の兆候が確認された場合には当該ラインの清掃を実施する。
4. 水平展開
硝酸アンモニウムの析出に至る主な環境条件は①硝酸が存在する環境、②アンモニアを含んだ空気が流入する環境、③水分を含まない環境、④滞留が生じやすい環境であり、再処理工場内において、これらの条件をすべて満たす同様の閉塞発生リスクを有する箇所の水平展開調査を実施した。
その結果、今回の希釈剤貯槽の他に、当該貯槽と同部屋に設置されているTBP貯槽で発生する可能性があることを確認した。そのため、このTBP貯槽についても、希釈剤貯槽と同様の再発防止対策を講じる。
- ※TBP(リン酸トリブチル):
再処理工場において、使用済燃料を硝酸に溶解した液からウランおよびプルトニウムを抽出するために用いる抽出剤。
今後、再発防止対策をしっかりと実施し、同様の漏えいを発生させないよう取り組んでまいります。
<お知らせ済み>
以上