発表•お知らせ
2024年4月26日
日本原燃株式会社

ウラン濃縮工場の遠心分離機への六フッ化ウランの供給停止について(原因と対策)

 当社は、2024年2月5日にウラン濃縮工場において、濃縮度測定装置が異常を示したことにより、遠心分離機への六フッ化ウランの供給を停止した事象について、今般、原因と対策を取りまとめました。
 今回の事象の主な原因は、安全性向上対策工事により追加・改造した設備の管理が十分にできていなかったことであると考えております。
 原因と背景要因に対する全ての再発防止対策は完了し、今後も継続して改善してまいります。
 なお、遠心分離機への六フッ化ウランの供給については、濃縮度測定装置等、現場確認を実施したうえで、4月30日に再開する予定です。

【濃縮度測定装置が示した異常の発生理由】

 調査の結果、以下の4つの理由により、濃縮度測定装置が異常を示し、複数回実施した濃縮度測定が全てできなかったものと判断しました。

  1. 濃縮度測定に係るタイマーの設定値が正常値でなかったこと。
  2. 当該装置の測定精度の確認や調整がされていなかったため、測定精度が低かったこと。
  3. 当該装置に繋がる配管の弁が「閉」となっていたため、六フッ化ウランが当該装置まで流れなかったこと。
  4. 当該装置に繋がる配管内の水分等を事前に除去していなかったため、不純物が発生し、測定に必要な量の六フッ化ウランが当該装置に供給されなかったこと。

【直接原因】

 4つの異常の発生理由について、以下の直接原因を確認しました。

  1. 保全部は、配線工事により取外したタイマーを取付けた後にタイマーの設定値を確認していなかったこと、およびタイマーの設定ダイヤルは、触れると簡単に設定が変わる構造だったこと。
    また、運転部は、六フッ化ウランの供給前に行う系統確認の手順に、当該タイマーの設定値を確認することを記載していなかったこと。
  2. 運転部は、六フッ化ウランの供給を開始する前に、濃縮度測定装置の測定精度を確認、調整することを定めていなかったこと。
  3. 運転部は、配管改造工事後に最新の図面の確認および現場確認を実施していなかったことから、改造・追加した配管や弁を運転操作手順書に反映していなかったこと。
  4. 運転部は、3と同様に、改造・追加した配管や弁を運転操作手順書に反映していなかったため、六フッ化ウランを供給する前に、濃縮度測定装置に繋がる配管内の水分等を除去する必要性を認識できなかったこと。

【直接原因に対する再発防止対策】

 直接原因に対して、以下の再発防止対策を4月15日までに実施しました。

  1. 保全部は、配線工事により取外したタイマーを取付けた後にタイマーの設定値を確認することを工事管理手順書に記載した。また、当該タイマーについて正しい設定値であることを確認し、合いマークを付けた上でダイヤルが動かないよう固定した。
    運転部は、六フッ化ウランの供給前に当該タイマーの状態や系統構成の確認を行うことを新しく運転操作手順書に記載した。
  2. 運転部は、六フッ化ウランの供給前に濃縮度測定装置の測定精度の確認、調整を実施することを運転操作手順書に記載した。
  3. 保全部は、最新の図面と変更点リストを運転部へ引継ぎ、運転部とともに現場確認を行う仕組みを工事管理手順書に記載した。
    運転部は、最新の図面と変更点リストを用いて現場確認を実施したうえで、保全部等の関係部署によるレビューを受け、工事により改造・追加した濃縮度測定装置に繋がる配管と弁を反映した運転操作手順書に見直した。
  4. 運転部は、3と同様に、改造・追加した配管と弁を反映した運転操作手順書に見直したうえで、配管内の水分等を除去する計画を改正し、配管内の水分等を除去した。

【背景要因と再発防止対策】

 今回の事象の直接原因を深掘りした結果、組織の弱みがあると考えられたため、背景要因を分析し、マネジメント、変更管理、リスクマネジメントに関する弱みを確認しました。
 これらに対する対策は、本日までに講じており、業務のプロセスに落とし込み、今後も継続して実施することとしております。

<マネジメントに関する弱み>

(再発防止対策)

ウラン濃縮工場長は、各部署の設備の責任所掌を明確化した。運転部は、濃縮度測定装置に係る管理体制や人材育成計画を構築するとともに、作業を行う際の目的や期待事項を運転部員に示すこととした。

<変更管理に関する弱み>

(再発防止対策)

運転部は、手順書を修正する際のレビュー内容や体制を明確にした。
保全部は、工事による変更が確実に伝わるよう、引継ぎ方法の見直しを行った。

<リスクマネジメントに関する弱み>

(再発防止対策)

運転部および保全部は、六フッ化ウランの供給等を実施するにあたり、事前に現場でリスク評価をし、回避策を施した上で業務を進めるよう、リスクマネジメントを取り入れ、実践することとした。
また、運転部は、予定通り操作ができない緊急時等の場合は、確実に立ち止まり、リスク評価を行い、操作手順を定めてから操作を行う旨を、運転総括要領に記載した。

<本件に関するお知らせ済み内容>

以上