発表•お知らせ
2016年3月29日
報道関係各位
日本原燃株式会社

再処理工場 使用済燃料受入れ・貯蔵建屋(管理区域内)における火災の原因と対策について

2015年12月17日にお知らせした内容

 12月16日、再処理工場使用済燃料受入れ・貯蔵建屋の燃料受入れエリア(管理区域内)において、(公財)核物質管理センター職員および当社社員立会いのもと、IAEA査察官が、IAEAの査察機器の部品(ハードディスク・無停電電源装置バッテリー)の交換のため、査察機器が収納されているキャビネットを開けたところ、10時47分、同キャビネット内に黒い粉および黒い異物を確認しました。
 この段階で、IAEA査察官・(公財)核物質管理センター職員・当社社員は、火災の可能性があるという認識はなく、本日、現場の状況を公設消防に説明し、その後、公設消防が現場を確認した結果、14時16分に火災と判断され、同時刻に鎮火が確認されました。
 本事象による周辺環境への影響はなく、負傷者もおりません。

  • ※査察機器:使用済燃料の受入れを監視するカメラなど

1.原子力規制庁保障措置室からの連絡内容

 本事象の発生を受け、査察業務の担当官庁である原子力規制庁保障措置室がIAEAに対して、本事象が発生した原因調査および再発防止対策の実施について要請を行いました。また、当社も同室を通じ、同様に要請しておりましたが、その後、同室より、連絡を受けましたのでお知らせします。

当該査察機器の応急処置

 本事象の発生時、当該キャビネット内の状況を詳細に確認した結果、査察機器のバックアップ用電池(以下、「バッテリー」という。)が破損していることが判明した。そのため、2015年12月18日、IAEAは、応急処置として、火災が発生したバッテリーを装備した査察機器を予備品に交換した。

同型査察機器の健全性確認

 2015年12月22日までに、IAEAは、当社再処理工場および濃縮工場内にある全ての同型査察機器について目視により健全性確認を実施した結果、黒い異物等が発生した類似の事象がないことを確認した。

原因

 IAEAが調査した結果、火災(バッテリーの焼損)の直接原因は、バッテリーの異常発熱によるものであることが判明した。
 また、当該バッテリーを分解したところ、バッテリーの電子回路が正規品と異なり、バッテリーセルの耐熱用スペーサが設置されていないなど、正規の規格品ではなかったことが判明し、バッテリーの設計、構造および製造の品質が粗悪だったため、異常発熱を引き起こしたものであると推定した。

  • ※バッテリーセルの耐熱用スペーサ:
    バッテリーセル(リチウムイオン電池の本体)の保護等を目的としたプラスチック製の部品。

再発防止対策

 IAEAは、納入されたバッテリーの受入検査に破壊検査(抜き取りによる分解検査)を含め品質管理を強化しており、当社に設置されている全てのバッテリーを2016年1月25日までに正規品に交換した。また、今後は次世代の査察機器への更新に伴い、より信頼性の高い軍用規格のバッテリーへ更新される。

2.当社としての対策

 当社は、本事象の対応において、通報連絡に係る不備を2点確認したことから、以下のとおり対策を行うこととしました。

公設消防への未通報

 本事象の対応において、現場で立ち会った当社社員は、キャビネット内で発生した事象を火災ではないと思い込み、直ちに公設消防へ通報しなかった。このことから、再発防止対策として、当社社員および協力会社社員に対し、公設消防への通報を要する事象について、改めて教育を行った。

安全協定に基づく事象判断の解釈違い

 当社の連絡責任者は、当社管理下にない査察機器キャビネット内で発生した火災は、当社ではなく原子力規制庁が通報するものと誤った解釈をしていたことから、安全協定に基づく報告事象について社内ルールを見直し、当社連絡責任者へ周知した。

※3月29日一部記載を修正。

以上