発表•お知らせ
2024年1月31日

定例社長記者懇談会挨拶概要

 はじめに、このたびの能登半島地震により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。また、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
 本日は、はじめに「今年の抱負」を述べさせていただき、「IAEAへの社員の派遣」についてご報告させていただきます。

今年の抱負

 私の今年のミッションは、再処理工場とMOX燃料工場をしゅん工させること、ウラン濃縮工場と低レベル放射性廃棄物埋設センターの操業を安全かつ安定的に継続することです。
 今年は、いよいよ各事業とも本格的な操業を迎え、設備が活きた状態へと移行し、「現場中心の年」となることから、安全かつ安定的に操業していくためにも、「現場の安全」を何よりも大切にしていきたいと思っています。
 その中で、年明け早々の能登半島地震と、羽田空港での航空機衝突事故、そして23日の新幹線の架線事故と相次いで発生した大きな災害や事故は、当社としても、「現場での日頃の備え」や「速やかに安全な状態に移行できるように日頃から実践しておくこと」がいかに重要であるかを改めて認識させられる出来事でした。
 これらの事象を、今年全ての事業で新たな段階へ踏み出そうとする我々への重要な教訓として捉え、当社の活動へ反映すべき事項として位置付け、全ての社員が常に高い安全意識を持って事業を進めていかなければならないと考えています。
 安全と品質がしっかり確保され、当社で働く全ての人が安心して作業ができるよう、社員が現場に密着することで、現場力を向上させ、より良い現場を実現してまいります。
 再処理工場では、引き続き、「2024年度上期のできるだけ早期」のしゅん工に向けて、設工認の審査対応と検査を着実に進めてまいります。来週5日の審査会合では、入力地震動の算定に用いる地盤モデルの検討として、「敷地地盤の特徴を捉えた地下構造」をご説明し、次々回の審査会合で、「基本地盤モデル」と「入力地震動」をお示ししたいと考えています。
 MOX燃料工場でも、「2024年度上期」のしゅん工に向けて、引き続き、設工認の審査対応と建屋の建築工事を着実に進めてまいります。冬場の降雪や強風、冷温によって、作業の安全性や効率が低下しないよう、大型の屋根や融雪ヒータを設置したところです。
 ウラン濃縮工場の既設75トンの設備については、29日から遠心分離機への六フッ化ウランの供給を開始しました。この設備を安全に運転するとともに、昨日、生産運転開始時期を変更させていただいた増設75トンについても、新たな目標である7月の稼働に向けて、安全最優先に工事を行ってまいります。
 低レベル放射性廃棄物埋設センターでは、引き続き、安定的な受け入れを継続するとともに、3号埋設施設の工事や1号埋設施設の覆土を安全最優先で進めてまいります。
 当社の事業は、地域の皆さまのご信頼と支えがあって成り立っているということを忘れることなく、安全を最優先に、一日も早い原子燃料サイクルの確立に向けて全力で取り組んでまいります。

IAEAへの社員の派遣

 次に、「IAEAへの社員の派遣」についてです。お手元の資料をご覧ください。
 当社は、原子燃料サイクル事業を進めさせていただく上で、原子力安全・核セキュリティ・保障措置のいわゆる3Sを、一つとして欠くことのできないものと考え、日頃から業務に取り組んでおります。
 このうち保障措置は、当社が保有する核燃料物質が軍事転用されていないことをIAEAが確認するものであり、当社は原子力を平和目的のみに利用していることを世界に示すためにも、IAEAの活動に積極的に協力してまいります。
 この協力の一環として、今月9日から燃料製造事業部の社員1名をウィーンにあるIAEA本部へ派遣し、国連機関の一員として、MOX燃料工場への査察機器設置に向けた業務に携わってもらっています。機器を効率的に設置するには、設置場所や工事時期に関して、IAEAと施設を建設している当社が一緒に検討する必要があり、その調整役として社員を派遣することとしました。
 写真は派遣した社員とIAEA職員が査察機器の設置について打合せを行っている様子です。
 派遣者からは、「当社施設の検討には、異なる国や分野の専門家が携わっており、自分も専門家の一人として他の専門家と一緒になって、世界から信頼されるMOX燃料工場を作っていきたい」との意気込みを聞いており、大変頼もしく感じています。
 この派遣者が、査察活動に直接関わることはありませんが、IAEA本部での保障措置活動に携わることで、保障措置の意義や重要性について、さらに理解を深めてほしいと考えています。
 こうした取り組みがIAEAとの信頼関係の構築に繋がると考えており、引き続き、IAEAが行う厳格な保障措置活動に積極的に協力することで、当社事業が原子力の平和利用に徹していることを世界に示してまいります。

 最後になりますが、今月19日に「使用済燃料対策推進協議会」が開催され、協議会の場で、私から再処理工場のしゅん工・操業に向けた取組みとして、審査や検査の体制強化を図っていることなどをご説明させていただきました。
 齋藤経済産業大臣からは、サイクルの早期確立に向けて、安全確保を大前提に再処理工場のしゅん工に向けた取組みを全力で進めるようにとのご要請をいただくとともに、国も前面に立って主体的に対応していくという心強いお言葉をいただきました。
 池辺電気事業連合会会長からは、要請に対し、業界全体で支援していくとのお話もありました。
 私からも、電力、メーカ、ゼネコンの各社に更なるご支援をいただきながら、再処理工場のしゅん工目標を達成すべく、全力で取り組んでいくことをお約束しました。
 引き続き、原子燃料サイクルの一日も早い確立に向けて、私が先頭に立って、オールジャパン体制で総力を挙げて取り組んでまいります。

 本日、私からは以上です。