発表•お知らせ
2021年2月25日

定例社長記者懇談会挨拶概要

 本日は「安全性向上対策工事の進捗状況」と「設工認申請の対応状況」、「MOX燃料工場の鉄筋健全性確認の結果」、「原子力安全推進協会(JANSI)による支援の実施」の4点についてご報告させていただきます。

安全性向上対策工事の進捗状況

 まず、「安全性向上対策工事の進捗状況」についてです。今月は再処理工場の「薬品貯槽の地下への移設」の工事状況をご紹介します。お手許の資料をご覧ください。
 当社は施設の更なる安全性向上対策として、航空機が墜落し火災が発生したとしても、地上にある薬品貯槽が航空機の火災による熱の影響を受けて、大きな火災や爆発を引き起こさないように、薬品貯槽を地下に移設する工事を行っています。
 昨年7月に皆さまに現地でご覧いただいた当時は、左上の写真のように、地下15mの深さまで掘削し、薬品貯槽を設置するための躯体工事を行っていました。
 今月上旬にはこの躯体に3つの薬品貯槽の据付を行いました。中段の写真は、薬品貯槽を大型のクレーンを使って、地下約8mにある設置場所へ吊り下ろしている様子です。
 下段の写真は、これら薬品貯槽から各建屋へ薬品を供給するための配管などを設置する洞道の写真です。
 今後、地下タンク貯蔵所の天井部等の工事と配管の据付を行っていきます。
 このように、現場では様々な安全性向上対策工事が進捗しており、今後も現場の状況についてご紹介をさせていただきます。

設工認申請の対応状況について

 次に、「設工認申請の対応状況」についてです。先週15日の審査会合で、申請対象設備の選定や分割申請の考え方などについてご説明しました。
 全体計画について設備の抽出や申請対象範囲等の整理が不十分な点があり、現在整理を進めているところですが、個別の技術的論点については並行して確認いただけることとなり、現在、ヒアリングで説明を始めたところです。
 具体的には、耐震設計に係る要求事項とそれを満足する設計方針や建屋、機器への展開、その妥当性を裏付けるための技術的な論点について、基本ロジックペーパーと呼ばれる資料にまとめ、個別の論点を補足説明資料として整理し確認していただいています。
 引き続き、電力の支援をいただきながら、しっかりと対応してまいります。

MOX燃料工場の鉄筋健全性確認の結果

 次に、「MOX燃料工場の鉄筋健全性確認の結果」についてです。
 太い鉄筋約14,200本の直径を計測し、そのうち「径が細い」鉄筋と「根元部減少率が大きい」鉄筋12本を選んで引張試験を実施した結果、「径の最も細い鉄筋」と「減少率の最も大きい鉄筋」の2本が、JIS規格を一部満足していないことが分かりました。
 全鉄筋の測定結果とこの12本の試験結果から、健全な鉄筋と判断する基準とする閾値を決めました。この閾値に、計測器の精度も加味して厳しめに取替え基準を定め、直径に関する基準を満足しなかった5本についても取替えることとしました。
 取替工事は、4月中旬頃には終える予定です。安全を最優先に工事を進めてまいります。

原子力安全推進協会(JANSI)による支援の実施

 次に、「原子力安全推進協会(JANSI)による支援の実施」についてご説明します。
 JANSIは、事業者が自主的・継続的に実施する安全性向上への取り組みに対し、独立した立場から支援を行うことで世界最高水準の安全性を追求するために2012年に設立された組織です。日本原燃は皆さまもご記憶のことと思いますが、過去に品質保証面や安全面の弱みによると思われる不適合を繰り返し発生させております。これらの不適合から学び、改善する活動として事業者対応方針に基づく改善活動等を数年にわたって行ってまいりました。
 今年は再処理工場のしゅん工に向けて大事な1年であり、安全・安定運転に必要な技術力を有し、組織、品質マネジメント、設備保全、トラブル発生防止、緊急時対応等をしっかりと行うことのできる組織であることの確認が必要であると思っています。

 この観点から、我々の活動を今月からJANSIに確認いただき、更なる改善に向けたご支援、ご指導いただくこととしました。取り組みの状況については、今後、皆さまにお示ししたいと考えています。
 改善を重ねていくことで再処理工場の人と設備の原子力安全向上に繋げてまいります。

 最後になりますが、今年で東日本大震災から10年が経過します。
 福島第一原子力発電所の事故により、今なお、多くの皆さまに、ご迷惑、ご負担をおかけしていることは、同じ原子力事業に携わる者として大変申し訳なく思っており、この場をお借りしてお詫び申し上げます。
 私がやるべきことは、福島での経験を活かし、二度とあのような事故を起こさないという強い決意のもと、地域の皆さまにご安心いただけるように、徹底した安全対策に努めることだと考えております。
 事故の反省をきっかけに作られた新規制基準に施設を適合させることはもとより、様々な事象を想定した訓練を繰り返し行い、万一の際にもしっかりと対応できるよう取り組んでまいります。
 私どもの事業は、地域の皆さまの信頼によってはじめて成り立ち得るということをしっかりと肝に銘じ、現状に満足せず、更なる安全を追求し、「昨日より今日、今日より明日」と改善を進め、社員・グループ会社・協力会社が一丸となって安全最優先に取り組んでまいります。

 本日、私からは以上です。