発表•お知らせ
2020年8月21日

臨時会見社長挨拶概要

 県政記者会、エネルギー記者会、規制庁記者控室のみなさま、お忙しい中、急遽お集まりいただきましてありがとうございます。日本原燃の増田でございます。

 当社は、原子力規制委員会より7月29日に再処理工場の新規制基準への適合性に係る事業変更許可をいただきました。これにより、当社が行うべき安全性向上対策が確定しましたので、改めて必要となる各工事の物量・工程について精査しました。その結果、冷却塔の竜巻防護対策の工程等を総合的に判断し、2021年度上期としていた再処理工場のしゅん工時期を2022年度上期へ変更することを本日決定いたしました。

 また、先ほど、このしゅん工時期の変更について、青森県三村知事ならびに森内県議会議長、六ヶ所村戸田村長ならびに髙橋村議会議長にご報告して参りました。

 再処理工場のしゅん工時期の変更についてお手許の資料①でご説明させていただきます。
 まず、左上、今回の「しゅん工時期の変更理由について」です。
 当社では、当初、新規制基準に適合させる「冷却塔の竜巻防護対策」として、2系統ある冷却塔のうち1系統に最大風速、秒速100mの竜巻を想定した鋼鉄製の飛来物防護ネットを設置することにより冷却機能を確保することとしておりました。しかし、2019年8月以降、原子力発電所の設置許可基準に基づき、改めて再処理施設の規則の考え方を整理した結果、一層の安全性の追求のためには、2系統とも同等に防護する必要があると判断し、残り1系統の冷却塔に防護ネットを設置することとしました。
 冷却塔のうち、A4と呼んでいる再処理工場本体の冷却塔の1系統A4Aは前処理建屋の屋上にあり、飛来物防護ネットを設置した場合、重量が増加し建屋の耐震性に与える影響が大きいことから、冷却塔を地上に新設したうえで防護ネットを設置することとしました。
 この対策の設計・製作・工事には相応の時間が必要であり、その後の使用前事業者検査と原子力規制委員会による使用前確認の実施も考慮して、新たなしゅん工時期を2022年度上期とすることとしました。

 次に「2.しゅん工・操業に向けた取り組みについて」ですが、まず、1つ目の「新規制基準に適合させるその他の安全性向上対策工事等の実施」の項をご覧ください。
 火災防護対策、重大事故対策等の工事については、2021年度上期しゅん工に合わせた工事工程を計画していましたが、冷却塔の竜巻防護対策等の工事工程の見直しを踏まえ、2022年度上期しゅん工に合わせた工事工程に見直しを行いました。

 また、再処理工場の完成に伴い、放射性物質を分離処理して発生する廃液の海洋放出管を使用済燃料受入れ・貯蔵施設経由から低レベル廃液処理建屋経由に変更し、環境への放出を一元管理するための工事を行うこととします。
 2つ目の「設計及び工事の計画の認可申請」の項をご覧ください。
 再処理工場は設工認申請対象設備が膨大であることから、設備を類型化して代表的なものを説明するなど審査において効率的に説明できるよう、原子力規制庁とコミュニケーションを取り、申請書の分割方法の検討及び作成を行って参ります。
 3つ目の「使用前事業者検査・使用前確認」の項をご覧ください。
 事業者責任を明確にした新検査制度の下、ガラス溶融炉の運転確認を含め、これまで使用前検査を実施してきた再処理工場について当社が使用前事業者検査として新規制基準への適合を確認したうえで、原子力規制委員会の使用前確認を受けます。
 4つ目の「安全・安定運転に向けた取り組み」の項をご覧ください。
 2008年以降、再処理工場全体の本格的な運転を長期間実施していないことから、しゅん工・操業に向け、運転員の技術力維持・向上、設備・工程の立上げに向けた機器の保全作業等、より一層安全・安定運転を行うための対応についてアクションプランを定め、着実に実施して参ります。
 お手許の資料②に、このアクションプランの骨子を整理しましたので、後程ご覧ください。
 しゅん工後は、地元のご理解が得られ次第、操業を開始します。操業後は、再処理工場内で保有している溶液・廃液の処理運転から実施し、その後、使用済燃料のせん断を含め、再処理工場全体を通した運転を始めて参ります。

 最後になりますが、しゅん工時期を変更することとなり、地域の皆さまにご心配・ご迷惑をおかけすることを大変申し訳なく思っております。
 約6年間の安全審査でお約束した安全性向上対策を確実に現場に反映させることが大切であり、今後の工事に必要な時間の短縮を精査・検討して参りましたが、作業の安全、効率、合理性等を総合的に判断し、どうしても1年間の追加が必要との結論に至りました。

 今後、しゅん工までの2年間で、安全性向上対策ならびに安全な操業に向けた取り組みを確実に実施し、地域の皆さまにご安心いただける高い安全性を有した世界に誇れる再処理工場を作り上げます。長年にわたって当社事業を支えていただいている地域の皆さまへの感謝の気持ちを忘れることなく、地域と共に発展できるよう、引き続き私が先頭に立ち、責任をもって現場の安全を最優先に、当社社員、グループ会社、協力会社が一丸となって、新しい工程の中でしゅん工を成し遂げて参ります。

以 上