発表•お知らせ
2023年12月20日

定例社長記者懇談会挨拶概要

 本日は、「設工認の対応状況」、「JAEAでの実機による運転員の技術力の維持・向上」についてご報告させていただきます。また、今年最後の懇談会となりますので、この1年を振り返らせていただきます。

設工認の対応状況

 まず、「設工認の対応状況」です。
 今月18日の審査会合では、入力地震動の算定に用いる地盤モデルの検討として、まず追加ボーリング調査も含め、敷地において得られているデータの信頼性の確認結果と整理結果についてお示ししました。
 その上で、敷地内の近接する建屋グループごとに12個に分けたうちの1つである「前処理建屋周辺グループ」に対し、岩盤部分の減衰定数や表層地盤の物性値など4つの因子を分析した結果と、それを踏まえた地下構造をご説明しました。
 1月以降の審査会合で、全グループのデータに基づく「敷地の地盤の特徴を捉えた地下構造」をご説明したうえで、その後、「基本地盤モデル」を作成し、入力地震動をお示しするというステップでご説明していきます。
 引き続き、一日も早いしゅん工に向けて、オールジャパン体制で審査に取り組んでまいります。

JAEAでの実機による運転員の技術力の維持・向上

 次に、「JAEAでの実機による運転員の技術力の維持・向上」です。お手元の資料をご覧ください。
 右上の図のように、当社は、再処理工場のしゅん工・操業を見据え、フランスのラ・アーグ再処理工場と東海村のJAEA再処理施設で、運転員の技術力の維持・向上に取り組んでいます。
 当社の脱硝工程は、JAEAの再処理施設と同様、旧動燃で開発された国産技術を採用しており、現在、廃止措置作業としてウラン溶液の脱硝を行っている同施設で、今月4日から来年1月末まで、運転未経験者を中心に運転員7名を派遣し、経験を積んでもらっています。
 写真のように、当社の運転員は、JAEA職員の指導のもと、ウラン溶液の流量調整や設備の温度調整といった運転操作を行ったり、設備の保守・点検などを実施しています。
 運転員からは、「自分の操作一つで、他のパラメータにも影響が出るため、全体を気にしながら運転操作を行う必要性を実感した」、「実際に動いている設備でしかできない経験を積み、このメンバーでしっかり運転できるようになって帰りたい」といった頼もしい報告を受けています。
 JAEAのセンター長からは、「実機での運転を通して、設備が動いている状態を肌で感じてほしい」、「東海での経験を自信に変えて持ち帰り、六ヶ所での立ち上げや稼働に向けた準備に活かしてほしい」といった期待事項を示していただいており、当社運転員にとって非常に良い経験になるものと考えています。
 引き続き、運転員の技術力の維持・向上に継続的に取り組み、地域の皆さまにご安心いただける人と施設を作り上げてまいります。

 今年1年を振り返りますと、各事業とも目標に向かって、「一歩一歩、着実に進めてきた1年」となったと感じています。
 ウラン濃縮工場では、8月に約6年ぶりに生産運転を再開することができました。遠心分離機への六フッ化ウランの供給については、作業工程中に設備の不具合が発生したため、当初計画より現時点で1ヶ月程度遅れていますが、原因究明後、適切な対応を行い、作業を再開する予定です。
 低レベル放射性廃棄物埋設センターでは、1号埋設施設7群・8群のピット構築工事を進めておりますが、3月に7群のピットが完成、5月に1号埋設地で初めてとなる充填固化体を定置することができました。引き続き、8群の工事と7群への定置作業を進めていきます。3号埋設についても、来年度の操業開始に向けて、ピット構築工事を計画通りに進めていきます。
 再処理工場と高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターでは、新規制基準に適合させるため、竜巻防護対策や火災防護などの工事を行っており、延べ数百万人が携わり、安全を最優先に作業を進めてきました。労働災害では「ゼロ」があるべき姿ですが、残念ながら達成できませんでした。「不安全な環境」と「不安全な行為」を徹底的に排除し、安心して働ける現場にしてまいります。
 1月にはIAEAの監視を一時喪失させるという問題を発生させてしまいました。いよいよしゅん工、再処理を開始する上で、皆さまに大変ご心配をお掛けし、申し訳ありませんでした。しっかりと再発防止対策を講じるとともに、作業を行うにあたり、原子力安全、保障措置、核セキュリティ、この3つの観点で、安全が確保されていることの確認を徹底してまいります。
 7月にはIAEAのグロッシー事務局長にお忙しい中お越しいただき、ご視察を通して、当社の核セキュリティ、保障措置に関する姿勢も確認いただくことができ、大変ありがたく思っています。IAEAの信頼を失うことのないよう、しっかり事業を運営してまいります。
 11月に開催された共創会議でも触れさせていただきましたが、しゅん工後を見据え、地元企業と一体となった再処理工場の運営ができるよう、地元企業に参入いただくための保全業務見学会を昨年に引き続き、今年も実施しました。多くの地元企業の方々に関心を示していただいており、大変ありがたく思っております。
 MOX燃料工場では、認可をいただいた建屋の建築工事を地上1階部分まで進めてくることができました。冬の作業への備えも、一冬ごとに充実させてきました。引き続き、働きやすい環境の整備を行ってまいります。
 来年は、再処理工場とMOX燃料工場をしゅん工させ、濃縮・埋設とともに、当社の使命である原子燃料サイクルを確立させる重要な年になります。再処理とMOXはしゅん工・操業を見据え、濃縮と埋設は安全かつ安定した操業に向けて、設備の異常の兆候を決して見逃すことがないよう緊張感を持って、現場の備えを確実にしていきます。
 当社事業は地域の皆さまの支えがあって成り立っているということを忘れることなく、引き続き、当社と協力会社が一体となって、安全を最優先に事業を進めてまいります。

 本日、私からは以上です。