発表•お知らせ
2023年9月28日

定例社長記者懇談会挨拶概要

 本日は、「ウラン濃縮工場の生産運転再開」、「設工認の対応状況」、「核燃料サイクル協議会」の3点について、ご報告させていただきます。

ウラン濃縮工場の生産運転再開

 まず、「ウラン濃縮工場の生産運転再開」についてです。お手元の資料をご覧ください。 
 先月24日、原子力規制委員会より新規制基準への適合に係る使用前確認証等を受領、翌25日、約6年ぶりに運転を再開し、現在は濃縮ウランの生産に向けた作業を順調に進めています。東日本大震災を踏まえて制定された新規制基準に適合したことで、より一層安全性が向上した施設で生産できるようになりました。 
 青森県ならびに六ヶ所村をはじめ、地域の皆さまに心より感謝申し上げます。 

 左の写真は再開当日の現場の様子です。 
 ウラン貯蔵室に保管している原料シリンダ1基をクレーンで吊り上げ、搬送用台車に載せ、六フッ化ウランを固体から気体にする発生槽という設備まで搬送し、装填しました。 
 当日の様子は、資料にあるQRコードから、動画でもご覧いただくことができます。 
 6年ぶりの運転となるため、一つ一つの作業を慎重に進めており、配管内を六フッ化ウランに置き換える作業などを行った後、11月から遠心分離機へ六フッ化ウランの供給を開始したいと考えています。 

 資料右側は現状と今後の増設計画です。 
 生産規模については、現在の年間75トンSWUから、順次、新型遠心分離機の増設を進め、来年3月に150トンSWU、2027年度を目途に450トンSWUと段階的に拡大していきます。 
 国内で唯一のウラン濃縮工場を、今後安全に運転を続け、日本のエネルギーセキュリティに貢献できるよう、当社と協力会社が一体となって取り組んでまいります。 

 遠心分離技術は、原子力発電所のウラン燃料の濃縮のみに留まらず、医療をはじめ他の業界でも非常に注目されています。 
 当社は、濃縮事業で培った遠心分離技術を一般産業にも活用すべく、国の原子力産業基盤強化事業に応募し、新規事業などの実現可能性調査、いわゆるフィージビリティスタディを実施することとしました。このフィージビリティスタディでは、当社の保有する遠心分離技術を、癌治療に用いる医療用の放射性同位体の原料を分離することを中心に適用性を検討してまいります。 
 引き続き、ウラン濃縮技術の維持・向上に努めるとともに、他分野での遠心分離技術の更なる発展の可能性を探り、我々しか持っていない技術を使って社会に貢献していきたいと考えています。

設工認の対応状況

 次に「再処理の設工認対応状況」です。 
 耐震評価の前提となる「基本地盤モデル」の作成にあたっては、既存データを用いて検討を進め、補完的な位置付けとして追加ボーリング調査を実施することを、7月の記者懇談会でご説明させていただきました。 
 それ以降、減衰定数や表層地盤の物性値について検討してきましたが、新設設備の設置位置と申請地盤モデルで用いたデータ取得位置の関係等を踏まえると、敷地全体の地質特性を、平面と深さにおいて、より一層網羅的に把握するためには、追加ボーリングのデータも加えて、「基本地盤モデル」を作成する方針に見直すべきと判断しました。 
 この見直しを踏まえ、今月4日の審査会合で、原点に立ち返り、追加ボーリング調査を行った上で、一から地盤モデルを作り上げていくという全体計画をご説明し、規制庁にご理解いただきました。 
 追加ボーリングは、8月から開始しており、年内に追加ボーリングも含め、全てのデータをしっかりと揃えて、地盤モデルを作り上げていきます。 
 今後の審査会合では、まず地盤モデルについてご説明し、その後、それを基に策定した入力地震動および建物や機器の耐震評価方針について、順次、説明してまいります。 
 引き続き、一日も早いしゅん工に向けて、オールジャパン体制で審査に取り組んでまいります。

核燃料サイクル協議会

 最後に、先月29日に開催された「核燃料サイクル協議会」についてです。 
 協議会では、宮下知事から「原子力・核燃料サイクル政策の推進」などについて確認・要請が行われ、国から「再処理工場のしゅん工目標実現と操業に向け、政府の総力を挙げて、事業者と一体となって取り組み、安全性の確保を第一に、核燃料サイクル政策を推進する」ことが示されました。出席した池辺電気事業連合会会長からは「再処理工場のしゅん工に向けて、オールジャパン体制で支援していく」という回答をしております。 
 サイクル政策の推進が改めて示されたことは大変ありがたく、心強く思っており、一日も早く再処理工場、MOX燃料工場のしゅん工に向けて全力で取り組んでいかなければならないとの思いを強くしました。 
 引き続き、青森県ならびに六ヶ所村の皆さまが私たちの事業を受け入れ、これまで支えてくださったことを忘れずに、安全を最優先に、原子燃料サイクルの確立に向け、当社と協力会社が一体となって取り組んでまいります。

 本日、私からは以上です。