発表•お知らせ
2022年7月29日

定例社長記者懇談会挨拶概要

 はじめに、今月2日に再処理工場の高レベル廃液ガラス固化建屋において、供給液槽の安全冷却機能が一時喪失するトラブルを発生させ、地域の皆さまに大変ご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。

 今回の事象は、2つある安全機能のうち1つが停止している状態で、設備、作業、運転の管理が適切に対応できなかったため、安全機能を一時的とはいえ喪失してしまったというものでした。
 運転中の設備は、本来、運転員しか操作できないように管理すべきですが、作業員が弁を操作することが可能な状態であり、適切な設備管理ができていませんでした。
 工事実施側では、弁の操作に際し、口頭による作業指示のみで行ったため、操作対象の弁が不明確だったこと、加えて現場では、弁番号が確認しにくい作業環境だったといった作業管理上の問題があったと考えています。
 運転側では、2系統ある安全冷却機能のうち1系統が停止中であるにも関わらず、2系統運転時と同じ監視体制であり、運転管理上も問題があったと考えています。

 再発防止として、設備管理に関しては、物理的に操作できないように安全冷却機能に影響を与える弁を施錠するとともに、誤認しないように識別などの対策を講じました。
 作業管理に関しては、作業者に対する指示が明確に伝わるように、指示書を用いることを徹底してまいります。
 運転管理に関しては、施設の安全に関わる異常が発生した場合に、早期に発見し適切に対処できるように、安全系を1系列停止して運転する場合には通常より監視を強化することとしました。

 今回、トラブル発生時の青森県と六ヶ所村への通報連絡上の問題もあったことから、異常が起こったらまず速やかに通報連絡するという意識を再度徹底し、問題がなければ取り下げさせていただくという心構えで、迅速な通報連絡に努めてまいります。

 今回は、比較的早期に異常の兆候を捉えることができましたが、安全上重要な施設に関する設備管理、作業管理、運転管理に多くの教訓がある重要な事象であると考えています。
 今後、このようなことで地域の皆さまにご心配をおかけしないよう、再発防止対策を徹底し、引き続き、安全を最優先に取り組んでまいります。ご心配をおかけしましたことを、重ねてお詫び申し上げます。


 本日は「設工認の対応状況」、「ラ・アーグ再処理工場における運転訓練」、「全社安全大会」の3点についてご報告させていただきます。

設工認の対応状況

 まず「設工認の対応状況」です。
 再処理については、昨日、第1回設工認の補正書を原子力規制委員会に提出しました。
 補正書には、申請書記載事項の整理や申請対象設備の明確化、飛来物防護ネットの耐震評価など、2020年12月の申請以降、審査で議論してきた結果を取りまとめました。
 MOXとの共通事項や再処理特有の事項については、更なる記載の整理・拡充が必要な部分もありますが、引き続きヒアリングを継続し、その結果を反映後、できるだけ速やかに再補正を行ってまいります。
 MOXについては、先月7日に提出した補正書に関するヒアリングを重ねてまいりましたが、現在、その結果を反映しているところであり、来週には再補正を行いたいと考えています。
 引き続き、早期に認可をいただけるよう、しっかりと対応してまいります。

 再処理工場の今年度上期のしゅん工を達成するため、工事、設工認、検査のそれぞれで、様々な検討、工夫を行い、オールジャパン体制で一致団結して、全力を尽くしてまいりました。
 工事については、一部を除いて概ね計画通り進めており、確実に進捗しています。設工認の審査についても、先ほど申し上げた通り、昨日補正を行い、一歩一歩進展しています。
 しかしながら、第1回申請から1年半以上が経過しても審査が続いている状況であり、来週にはしゅん工目標まで2ヶ月を切ることから、審査の状況を踏まえ、今後の見通しについて検討したいと考えています。
 いずれにしましても、1日も早いしゅん工を目指して努力を続けてまいります。

 ウラン濃縮事業については、濃縮工場の生産運転再開時期を、本年9月から来年2月に変更することとしました。これは、工事で不具合があったため、作業を中断し、作業員の安全確保を最優先に、工事のやり方を徹底的に見直したことによるものです。
 増設分の75トンについては、来年9月に生産運転を開始することとしました。
 これらの内容について、本日、原子力規制委員会に使用前確認申請書などを提出します。詳細については、申請書提出後、皆さまにご説明させていただきます。
 ウラン濃縮工場につきましても、工事を安全最優先で進めてまいります。

ラ・アーグ再処理工場における運転訓練

 次に、「ラ・アーグ再処理工場での運転訓練」についてです。お手元の資料をご覧ください。
 当社は、運転員の技術力の維持・向上に向けた取り組みとして、昨年11月から4回に分けて、ラ・アーグ再処理工場で運転員の訓練を実施してまいりましたが、本日、最後となる第4陣の運転員12名が訓練を終えます。
 これまでに延べ47名が前処理・分離・精製の各工程において、実機による運転を行い、起動や停止操作に加え、不具合への対処などを経験してきました。
 今回の訓練の責任者であるラ・アーグ再処理工場のトマ・プロジェクトマネージャーからは、「日本原燃の運転員は意欲的で、運転と保守との役割分担など、訓練の枠を超えた質問が寄せられた。この経験は、彼らの技術力向上において重要なステップであり、再処理工場のしゅん工、操業に向けて、より自信を持って臨むことができると考えている」といったコメントをいただいており、しゅん工、操業に向けて、大変頼もしく、運転員が成長してくれたことを嬉しく思っています。

 グラフは3つの工程に携わる運転員の年齢構成です。これまで20代と30代の多くは運転経験がなく、全体の運転経験者も43%でしたが、今回の訓練により62%まで増加しました。
 訓練を受けた運転員は、帰国後、様々な改善提案を出してくれています。この中には、「オラノのようなプロフェッショナルな運転員を目指すため、担当工程の知識が深掘りできる人材を育成していかなければならない」、「オラノでは手動操作を実施するタイミングの目安値を決めており、当社の手順書も同様とすべき」といった仕組みや手順書に関する提案も出てきています。
 訓練で得られた成果を手順書などに反映するとともに、他の運転員への展開教育も行い、運転員全体のレベルアップを図っていきたいと考えています。
 引き続き、しゅん工、操業に向けて、技術力の維持・向上に努め、地域の皆さまにご安心いただける安全な施設を作り上げてまいります。

全社安全大会

 最後に、「全社安全大会」についてです。
 私たちの職場では、昨年度45件、本年度も昨日までに11件の労働災害を発生させてしまっており、残念ながら、ここ数年、増加傾向が続いています。
 こうした状況を踏まえ、今月6日、当社と協力会社約80社、あわせて約300名が「現場での基本ルールを遵守し、労働災害を撲滅すること」、「業務、通勤、プライベートを問わず、常に交通ルールを遵守し、交通人身災害を決して起こさないこと」をあらためて誓い合いました。
 現場から「不安全な行動」と「不安全な環境」を徹底して取り除き、引き続き、地域の皆さまにご安心していただけるよう、「昨日よりも今日、今日より明日」と安全性を高める努力を怠らず、当社と協力会社が一丸となって取り組んでまいります。

以上