発表•お知らせ
2017年12月22日

記者懇談会挨拶概要

 本日は、「事業者対応方針に基づく改善活動の取り組み状況」、「組織としての対応力強化のための取組み」、「新規制基準対応を踏まえた再処理工場およびMOX燃料工場のしゅん工時期の変更」の3点について、ご説明させていただきます。

事業者対応方針に基づく改善活動の取り組み状況

 まず、「事業者対応方針に基づく改善活動の取り組み状況」ですが、雨水の浸入やダクトの損傷など一連の問題に対して、二度とこのようなことを繰り返さないという強い決意のもと、全社をあげて改善活動に取り組んでおります。
 先月1日から設備を管理下に置くための全数把握および状態確認を協力会社や電力各社などのご協力をいただきながら、総勢約600人体制で取り組んでおります。
 安全上重要な設備を含む部屋などについては、今月上旬に確認を終えるなど、着実に進捗しております。引き続き、全数把握を確実に進めてまいります。
 この取り組みを通じ、社員自らが現場に足を運び、設備を一つ一つ確認、把握することにより“マイプラント意識”がより醸成されつつあります。
 さらに、“こういう視点で設備を確認してはどうか”、“確認結果をもとにこのように点検を改善してはどうか”など、自らが気づき速やかに改善するという対応力も向上させていきたいと考えております。
 このような現場の気づきをひとつひとつ確実に汲み取り、次の行動にどのように結び付けていくかということが、この活動をより良いものにしていくための重要なポイントであると認識しております。

組織としての対応力強化のための取組み

 次に、「組織としての対応力強化のための取組み」ですが、お手許の資料をご覧ください。
 改善活動の取り組みに加えて、そのベースとなる組織としての対応力を強化し、事業運営を磐石なものとするために、まずは、再処理事業部についてですが、工場の運転部門と保全部門をそれぞれ集約するとともに、全社共通部門および新増設設計等の部門を再処理事業部から分離する見直しを行うことで、保全体制を抜本的に強化します。
 これは、現行の再処理工場においては、一部の保全要員が各施設部に分散しており、「体系的な教育訓練が不足し、保全の考え方が一貫していない」などの課題があることから、保全部門を集約し、これに特化した組織を新設することで保全機能の強化を図ります。その上で、技術の維持・伝承・展開についても確実に実施してまいります。

 次に、再処理事業部長の担当業務の変更を行います。
 再処理工場の運転、保全、安全・品質、戦略、新増設設計、防災・核物質管理等の保安活動の責任者である再処理事業部長の担当業務は、建屋・設備数が多いこともあり、運転・保全活動の統括に十分注力できるように改善を図ります。
 具体的には、保安活動のうち防災・核物質管理等の全社共通部門および新増設設計等の部門を再処理事業部から分離することにより、再処理事業部長が運転・保全活動の統括により注力できる体制となるよう、来年夏頃を目処に準備を進めてまいります。
 このような組織強化により、将来の安全・安定な操業運転の実現に繋げていきたいと考えております。
 加えて、人材面についても、保全に関する知見・経験等の強化が重要であり、この支援として電力各社から部長・課長クラスの人員13名を、年明け以降、順次支援いただくこととしております。
 これらの取組みにより、当社の保全に関する能力や人材育成の強化を一層加速させ、社員が常に現場に対する責任感を持ち、現場の問題点を見つけ、見つけた問題点は早期に解決する、そうした組織づくりの実現に向けて取り組んでまいります。
 また、青森総合本部について、今後の再処理工場およびMOX燃料工場のしゅん工に向けて、関係機関との一層の連携ならびに地域の皆さまへの理解活動を強化するために、本社と青森総合本部の新たな体制の構築に向けて、来年春頃を目処に準備を進めてまいります。

新規制基準対応を踏まえた再処理工場およびMOX燃料工場のしゅん工時期の変更

 次に、「再処理工場およびMOX燃料工場のしゅん工時期の変更」について、ご説明させていただきます。
 当社は、新規制基準への対応を始めとする一層の安全性向上のため、再処理工場のしゅん工時期とMOX燃料工場のしゅん工時期を変更することを本日決定し、その内容について、午前中に使用済燃料再処理機構にご説明するとともに、先ほど青森県の佐々木副知事ならびに熊谷県議会議長、六ヶ所村の戸田村長ならびに橋本村議会議長にそれぞれご報告いたしました。
 あわせて、今回のしゅん工時期の変更に伴う、再処理工場とMOX燃料工場それぞれの事業変更許可申請書の一部補正および再処理工場の使用計画の変更について、本日、原子力規制委員会に提出いたしました。
 お手許の資料をご覧下さい。まず、再処理工場についてご説明させていただきます。
 新規制基準への対応に伴う安全審査について、技術的内容の審査は終盤を迎えていると認識しております。
 そうした進捗状況や電力各社の検討状況を踏まえ、一層の安全性向上を図るため、これからご説明する主な安全性向上工事に係る必要な設計および工事の工程等について検討し、かなり確度が高い見通しが得られたことから総合的に判断した結果、しゅん工時期を変更することとしました。
 具体的には、「(1)の主な工事案件」をご覧下さい。
 まず、1つ目の「重大事故対処設備である凝縮器の設置」ですが、重大事故時における対策について検討した結果、蒸発乾固事故発生時の放出量低減対策として、放射性物質を含んだ蒸気を回収するため、沸騰蒸気の放出経路上に蒸気を冷却して液体に戻す凝縮器の設置を行うこととしました。
 この凝縮器の設置に加え、可搬型フィルタの設置等の対策を施すことにより、万が一の際の周辺への放射性物質の放出量を、平常運転時程度に低減することができます。
 2つ目の「蒸気漏えいによる制御機器等の影響評価および対策」ですが、今後の設工認申請に向けて検討した結果、再処理工場において廃液の移送や濃縮缶などの加熱に使用している蒸気が漏えいした場合の制御機器等に対する影響評価を追加実施します。
 この評価結果を踏まえた蒸気暴露試験および必要な対策を行うことにより、万が一、蒸気が漏えいした場合においても、設備への影響を防止します。
 なお、3つ目の「緊急時対策所の建設工事」については、これまでご説明しているとおり現在工事を進めているところですが、耐震評価を見直した結果、建屋主要工事における鉄筋物量等を増加させます。
 これにより、さらに緊急時対策所の耐震性を向上させます。
 「(2)のしゅん工時期」に示しておりますように、凝縮器の設置は、既設の設備との干渉調整や構造設計の検証等に相応の時間が必要となるため、工事完了までに3年程度の期間を要する見通しです。
 また、蒸気漏えい対策や緊急時対策所の建設工事についても、同程度の期間を要する見通しです。
 このような状況を踏まえ、新たなしゅん工時期を2021年度上期としました。

 次に、MOX燃料工場についてご説明いたします。
 MOX燃料工場につきましても、これまでの安全審査の状況等を踏まえ、一層の安全性向上を図るため、これからご説明する主な設計変更案件について検討しました。
 これらについて、かなり確度が高い見通しが得られたことから総合的に判断した結果、しゅん工時期を変更することとしました。
 具体的には、「(1)の主な設計変更案件」をご覧下さい。
 まず、1つ目の「火災対処設備の追加」ですが、火災発生時における遠隔消火のための装置や消火配管等の設備を追加設置します。
 これにより、消火対応策をさらに充実させます。
 2つ目の「建屋の耐震強化」ですが、安全審査の状況を踏まえ、燃料加工建屋内の工程室について、より耐震性の高い耐震Sクラス化を行います。
 これにより、放射性物質の閉じ込め機能を更に向上させます。
 3つ目の「設備の配置場所確保のための建屋容積の増加」は、設備の耐震設計強化および換気排気ダクトへの延焼を防止する装置を設置する等の安全対策に加え、先ほど申し上げました追加の安全対策である「火災対処設備の追加」、「建屋の耐震強化」の安全対策のため、建屋の容積を増加して設備の配置を変更します。
 「(2)のしゅん工時期」に示しておりますように、MOX燃料工場は、今後実施していく建屋建築工事および設備工事にあわせて、安全性向上対策のための設計変更や、工事等を実施していく必要があります。
 これらの期間を精査したところ、2019年度上期からさらに3年程度の期間を要する見通しとなり、新たなしゅん工時期を2022年度上期としました。

 なお、今回の工程変更に伴う総事業費への影響については、工事方法の最適化や作業効率化など、これまで取り組んできた活動の反映によって、大部分は吸収できる見込みであり、全体に大きな影響を与えないものと考えております。

  最後になりますが、当社は、福島第一原子力発電所の教訓や海外の知見等を踏まえ施行された新規制基準に適合するため、これまで取り組んでまいりましたが、更なる安全性の向上を図るとはいえ、大幅にしゅん工時期を変更することとなり、県民の皆さまには大変ご心配をおかけすることを申し訳なく思っております。
 今回お示しした期間の中で、何としてもしゅん工を成し遂げる強い覚悟のもと、全社一丸となって取り組んでまいります。
 「当社の事業は地域の皆さまの信頼によってはじめて成り立つものである」との思いを改めて強くし、安全を最優先に取り組んでまいります。

 本日、私からは以上です。 

以上