発表•お知らせ
2017年1月30日

記者懇談会挨拶概要

 本日は、当社の保安活動における報告徴収命令に対する原因究明と対策についてご説明させていただきます。

保安活動における報告徴収命令に対する原因究明と対策

 昨年12月、当社の保安活動に対して、原子力規制委員会から報告徴収命令を受けましたことは極めて重大な問題と受け止めております。
 青森県民の皆さまをはじめ広く社会の皆さまに大変なご心配をおかけすることとなり、誠に申し訳なく深くお詫び申し上げます。
 当社は報告徴収命令を受けた後、全社をあげて原因の究明と対策の立案に取り組んでまいりました。そして、このたび原因究明ならびに是正措置計画等を取りまとめ、本日、午前中に原子力規制委員会に報告書を提出するとともに、先ほど、青森県の佐々木副知事、県議会の清水議長、六ヶ所村の戸田村長、村議会の橋本議長に、それぞれご報告いたしました。
 報告に対し、佐々木副知事からは、「品質保証活動は是正措置を定めて終わりではなく、常にそれを見直して継続的にしっかりと実施することが最も重要で、安全文化の醸成を図ることが最重要課題であると改めて心に刻み、真摯に対応すること」、また、戸田村長からは、「説明責任をしっかりと果たし、村民の信頼回復に繋げるとともに、これまで長年にわたって取り組んできた品質保証活動を無駄にすることのないよう迅速かつ的確に対応し、速やかに是正すること。再処理工場の竣工に向け、全社一丸となって再発防止に努めること」などのご指摘をいただきました。

 お手許の資料をご覧ください。まず、「2.経緯および報告徴収事項」ですが、報告徴収命令に至ったこれまでの経緯について示しております。1番上の27年度第3回保安検査の枠にありますように、濃縮事業部の品質保証活動に端を発していますが、今回の命令は、安全・品質本部に対するものであります。
 具体的には、2番目の27年度第4回保安検査の枠にありますように、濃縮事業部の活動を補完すべき当時の品質保証室が補完のための十分な機能を発揮できていませんでした。このため、社長直轄の組織を作って、どこに原因があったのかを分析し、改善のための提言を作成することとしました。一番下の28年度第3回保安検査の枠ですが、組織改正により、品質保証室を受け継いだ安全・品質本部は提言に対し、組織要因を改善するために個別計画を作って、一つ一つ取り組んでいかなければならなかったのに、その対応に明白な違反があり、また、そのことを会社組織として見抜けなかったことに対して報告徴収命令を受けたものです。
 なお、組織要因とはどういった内容かと申しますと、※で記載しておりますように、一つ目として、品質保証室は、社長のスタッフとしての役割を組織として明確化しなかったため、他事業部への関与も含め、必要な業務が適切に実施できていなかったこと。二つ目は、品質保証室長は、社長のスタッフとして各事業部を指導する強い意思が不足していたこと、三つ目は、適切な人材の配分を要求してこなかったことから、マネジメントレビューなどの全社に亘る業務も事務局業務が主体となったこと。四つ目として、品質保証室は濃縮事業部の保安活動を補完することへの要求事項を明確化しなかったため、補完活動のPDCAが機能せず、また、組織として要求事項の理解力が不足していたことです。

 「3.調査・検討体制」にいきます。先ほども申し上げましたが、私をトップとした体制を構築し、まず客観性を期すために、弁護士や品質マネジメントの専門家を中心とした「事実関係調査チーム」を設置しました。
 本チームでは、過去の会議書類や関連メモ、メールなどの関係資料等の収集を行うとともに、33名の関係者への聞き取りなども実施しました。
 また、調査結果を踏まえた是正措置を策定するために、諮問機関といたしまして八戸工業大学の藤田前学長を委員長とする「是正措置委員会」を設置しました。
 本委員会では、「事実関係調査チーム」が取りまとめた調査結果をもとに5回の会合を重ね、是正措置計画の検討を行い、答申をいただきました。

  その結果、「4.得られた事実と導かれた問題点」をご覧ください。最初の○、昨年6月の組織改正で発足した安全・品質本部の本部長に就任した副社長は、安全・品質本部が全社を指導できるようになるために、本部の改善活動は一旦区切りをつけるべきで、前組織から継続している組織課題は、新組織としてのいくつかの取り組みによってほとんど解決していると評価でき、残る課題は新組織の日常の改善活動でやっていけばいいという誤った思いをもち、それを部下に伝え続けていました。
 2番目の○、また、安全・品質本部は、根本原因分析に基づく改善提言に対して個別計画書を策定して実行していかなければならないところ、今申し上げました本部長の思いを受け、安全・品質本部長以下の数人の打ち合わせ等により、提言は改善されたとする評価書をまとめました。
 一番下の○、この評価書は、監査室も確認し、その後の全社対応委員会やマネジメントレビューでもこの誤った対応を見抜けませんでした。
 今申した事実の問題点を整理したものが下の枠で、(1)事実と異なる評価結果を不適切な意思決定プロセスでまとめた、(2)事実と異なる評価結果をまとめたことを見抜けなかった、(3)平成27年以降、品質保証部門が同じような指摘を続けて受けていることです。 

 次に、「5.問題を起こした原因」をご覧ください。事実関係等から導かれた問題点に対して、その背景要因を分析した結果、問題を起こした安全・品質本部、監査室、全社対応委員会、マネジメントレビューに関わる原因について、(1)から(14)に記載のとおりです。人材不足や仕組み、意識、コミュニケーションの問題など、多岐に亘りますが、まずは私自身、安全・品質本部の誤った対応に気がつかなかったこと、組織・人材面での手当てが出来ていなかったことを深く反省するものであります。 

 こうした問題点、原因を踏まえた改善活動ですが、まずは、安全・品質本部長、監査室長と両組織のトップ人事を刷新したうえで、新体制で取り組んでまいります。

  「6.安全・品質本部、監査室等の是正措置」です。是正措置と申しますのは、今回の問題を起こした組織や会議体に対する直接的な改善策ということであり、大きく、人材面での強化、組織の役割・機能の明確化、再教育、職場風土の改善というように整理できると思いますが、具体的には、枠の(1)から(10)までの施策に、安全・品質本部、監査室等の是正措置として迅速確実に取り組んでまいります。 

 さらに「7.今回の事案を踏まえた全社的な改善活動」ですが、当社は、今回の問題は全社に関わる重要課題と認識しており、「6」で申し上げた是正措置を進めていくのはもちろんのこと、私の決意とコミットメントを明らかにしたうえで、全社に亘る改善活動を展開してまいります。
 また、活動については、電気事業連合会と原子力安全推進協会の積極的な支援を仰ぐとともに、活動の現場に社外専門家の目を入れていきます。
 具体的には、(1)として、いま申し上げた私の決意を安全・品質宣言として出し、社達として社員に徹底します。
 (2)の教育ですが、社内保安活動に関わる管理職などに品質マネジメントシステムを再徹底するための専門性の高い教育を受講させます。
 また、私をはじめ、役員自身が合宿して集中的な教育を受け、役員自身が保安活動の真のけん引役になれるようなレベルまで、品質マネジメントシステムの力量を向上させます。
 (3)職場風土の改善です。お互いに何でも言い出せる、しっかり耳を傾ける職場風土づくりについては、以前から重視して対話活動等様々な取り組みを実施しておりますが、これをさらに組織全体の取り組みとして、深化させます。
 その中で、課題を見える化する仕組み、幹部のコミュニケーション能力を評価して自らの改善を促す仕組みなどを新たに取り入れていきます。
 (4)社外の知見の導入ですが、社外の専門家に社内の実務専門家を加えた安全・品質保証と職場風土のアドバイザリーグループをそれぞれ設置し、マネジメントレビュー等、品質保証活動の現場に入っていただき、問題点や対策等の助言をいただいてまいります。
 (5)の改善活動の推進と監視ですが、従来の全社対応委員会を発展的に改組し、新たな機能を持たせた「安全・品質保証改革委員会(仮称)」を発足させます。「安全・品質保証改革委員会」は、今回お約束した全社的な取り組みや品質保証活動について、経営としてしっかりとコミットし、その審議を経て、私が必要な指示・命令を出す場といたします。
 また、同委員会の活動状況に対して、確認、評価、助言をいただき、改善活動のレベルをより高めていくために社内外の委員で構成する「安全・品質保証改革検証委員会(仮称)」を設置いたします。
 また、これら改善活動の進捗状況等につきましては、節目節目で公表させていただきます。 

 以上が報告書の概要でありますが、当社といたしまして、今回の事案は全社に関わる重大な問題と重く受け止めております。全社をあげて改善活動の確実、迅速な取り組みに全力を傾注してまいります。
  加えて、最近の保安検査におきましても、核燃料物質の不適切な管理や巡視・点検の記録漏れなどが指摘されている状況を含め、私として強く反省するところであります。
 こうした経緯を踏まえまして、お手許の資料にありますとおり、副社長執行役員の辞任と役位の変更、取締役および執行役員の委嘱事項の変更、執行役員の減給など、私をはじめ、関係する経営陣が、自らを処することといたしました。 

 そもそも当社の品質保証の取り組みにつきましては、過去に発生した使用済燃料貯蔵プールからの水の漏えいをきっかけに本格的な取り組みをはじめました。そして、その後の諸活動やアクティブ試験中のトラブルを含めて一つ一つ課題を克服していく中で、再処理事業部を中心に一定の水準に達することができていたと考えております。
 しかしながら、今回の問題やこのところの保安検査の状況を踏まえますと、東日本大震災以降、新規制基準の施行等で求められる保安活動の厳格化などに対して、これまでも懸命に対応してまいったつもりではありますが、意識や仕組みのあり方が追いついていないなど、私たちの努力がまだ足りなかったのではないかと痛感しております。
 当社として、改めて何よりも優先される安全、その安全を支えているのは品質保証活動であるということを肝に命じ、全社をあげた取り組みを進めることで、大きく傷つけてしまいました県民の皆さまからの信頼の回復に努めてまいる所存です。

 本日、私からは以上です。 

以上