日本原燃
2009年4月30日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は、「ガラス溶融炉の一連の事象への対応状況」と、「低レベル放射性廃棄物2号埋設ピットの増設工事」について申し上げます。

 まず、「ガラス溶融炉の一連の事象への対応状況」について、一言申し上げます。
 当社は、固化セル内で発生した高レベル廃液の漏えいに対応する過程において、5項目の保安規定違反があったとして、さる4月2日、原子力安全・保安院より指示文書を頂戴しました。また、同日開催された国の「六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会」でも、委員の方からこの漏えい事象および保安規定違反について、「危機感をもっと持った方が良い」等、厳しいご意見をいただきました。
 改めて、青森県民の皆様にご心配をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。
 今回の件を厳粛に受け止め、原因の究明と再発防止策について検討を重ねた結果を取りまとめた「保安規定違反についての報告書」を、本日、この懇談会に先立って国に提出いたしました。あわせて、当社の品質保証活動を統括する「品質・保安会議」の下に新たに設置した「全社再発防止対策検討委員会」で取りまとめた「高レベル廃液漏えいの組織要因に関する分析の報告書」も同時に国へ提出いたしました。
 両報告書とも、青森県ならびに六ヶ所村に説明し、提出いたしましたが、今後、青森県議会、六ヶ所村議会の議員の先生方等に鋭意ご説明してまいる所存であります。
 両報告書のポイントについて一言申し上げますと、前者の「保安規定違反に関する報告書」では、出来事流れ図から問題点を抽出し、その時々の判断に至った直接の要因を徹底分析した点であります。
 また、「高レベル廃液漏えいの組織要因に関する分析の報告書」では、組織的要因を含む「根本原因」まで深堀りした結果、トラブルが多発する中で、仕事量が増大し、また時間的制約もある状況において、適時・適切な人的資源の投入が遅れた、あるいは、組織間の連携が不足していた、といったマネジメント面での問題点が浮き彫りになりました。
 加えて、両報告書でまとめた再発防止策を中心に、全社として今後どのようにして再発防止に取り組むかについて、「安全基盤強化に向けた全社アクションプラン」を取りまとめました。そして、高レベル廃液漏えいと一連の保守作業に関しての原因調査ならびに再発防止策がまとまりましたことを機に、経営管理責任を明確にする観点から、私自身も含めまして人事措置を講じました。
 こうした諸問題に対する反省と、そして、しゅん工へのスケジュールを巡る議論が結果として現場へのプレッシャーになっていたのではないかという自らの反省に立ち、今一度、「安全の確保が”全て”に優先する」ことを、全社に宣言・徹底いたしました。
 同時に、事業部トップと中間管理職とのコミットメントとコミュニケーション、特に意見の吸い上げの充実を図ることとともに、運転部門における当直員と日勤社員との間の連携を密にし、「業務の見える化」、すなわち、「業務のプロセスと役割、リスクを具体的に把握できるようにする活動」を通じて、組織間の連携を有機的に強化すること、更には、現場中間管理職を上からも下からも頼りにされる”指示待ち”ではない安全確保の「現場指揮官」として育成していくことに私ども経営層が率先して取り組むことにより、安全管理面でひと皮、ふた皮剥けた組織を目指してまいる所存であります。
 また、現在実施している小集団活動等を活用して、全社員が安全に対しより一層敏感になること、すなわち、トラブルの予兆については一切見逃さないといった「気づきの文化」を徹底して定着させていきたいと考えています。
 そのためにも、ガラス固化につきましては、東海再処理施設等の先行事例を更に深堀りし、トラブル事例集の拡充を図るとともに、その事例集を使って現場担当者に徹底した研修を実施してまいります。そして、そうした活動をしっかりとチェック・アンド・レビューしてまいりたいと考えております。
 一方、ガラス溶融炉の復旧に向けた取り組み状況について触れさせていただきます。
 廃液が付着した固化セル内のガラス溶融炉関係機器ならびに配管等の洗浄作業は、その作業に用いるクレ−ンが先月一旦復旧したものの再度の動作不良が発生したことから、現在、中断しており、その原因調査を行っております。
 また、4月10日の追加報告においてご報告した通り、クレーンのガイドレ−ルの不具合は、廃液から蒸発した硝酸成分の影響と判明したことから、現在、硝酸成分による影響が懸念される約220箇所について点検を実施しております。そして、同点検は、固化セル内の洗浄作業や溶融炉の試験を再開する時に影響が出ないように優先順位をつけて進めております。
 なお、今後、洗浄作業を再開するにあたっては、念のため、洗浄水の汚染拡大を防止するために、固化セルの壁にある貫通プラグのシ−ル部のパテをより信頼性の高いチタニウムパテに塗り替える工事を実施する予定であります。
 今後は、洗浄作業を実施後、攪拌棒の曲がりやレンガ落下の原因究明を進め、溶融炉を加熱し、炉底に落下したレンガを回収した上で炉内復旧・試験再開を図ってまいる所存であります。

 次に、「低レベル放射性廃棄物2号埋設ピットの増設工事」について申し上げます。
 当社はこのたび、2号埋設ピットの増設工事を来月のゴ−ルデンウィ−ク明けから本格的に開始することといたしました。
 これは、2号埋設が昨年度末までに、既に約7万本のドラム缶を埋設し、年間の受入れ量も最近では1万本程を数え、埋設事業が順調に進展していることを踏まえてのことであります。
 具体的には、平成12年10月から現在まで埋設を進めている8基の埋設ピットに続くものとして、その南側に、新たに4基の埋設ピットを設置する工事に着手する予定です。
 まずは、来年5月までの約1年をかけて、埋設地の掘削工事を行った上で、来年6月から順次、埋設ピットの構築工事に移行し、本体工事としては平成24年10月にこの4基の埋設ピットを完成する計画であります。
 今後、埋設につきましても、安全を第一に事業運営をすすめてまいる所存であります。

 
以上

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