検査の実施状況


 当社では、海外から返還されるガラス固化体を、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターで貯蔵する際に、安全に貯蔵・管理できるものであることを確認するために受入検査を行っています。
 受入検査は、平成23年9月21日より開始し、現在1基目のガラス固化体28本についてガラス固化体の表面汚染検査を実施中です。ガラス固化体の表面汚染検査については、測定結果が目安値を上回った場合には再測定を行い、再度測定結果が目安値を上回った際には、表面汚染を低減する措置を行いながら、表面汚染検査を継続することを社内規定で定めております。なお、ガラス固化体を当社施設で貯蔵・管理するためには、目安値を下回っていることが必要となります。

 10月11日までの表面汚染検査の実施状況として、ガラス固化体28本中3本については、再測定の結果が目安値を上回っていましたが、このうち1本については低減措置により目安値を下回り、残り2本のガラス固化体については、現在、社内規定に従い、低減措置を取りながら表面汚染検査を継続しています。(10月12日掲載済)

 その後の低減措置により、残り2本のうち1本のガラス固化体についても目安値を下回りました。残り1本については、社内規定に従い、低減措置を取りながら表面汚染検査を継続して行きます。(10月18日掲載済)

 低減措置を継続しておりましたガラス固化体1本についても目安値を下回りました。今後、準備作業などを行い、施設に収納するための国による検査を受ける予定です。(11月28日掲載済)

 1基目に収納されていた28本のガラス固化体について、12月20日までに国による検査(事業所外廃棄確認**)が終了し、ガラス固化体の健全性に問題はないことが確認されております。本日より貯蔵ピットへの収納作業を開始しました。
 なお、1基目の28本のガラス固化体の受入検査として実施した表面汚染検査では、上記の通り、そのうち3本について最終的に低減措置により全て目安値を下回ったものの、再測定の結果が社内規定に定めた目安値を上回るということが確認されたことから、原因究明を実施中です。(12月21日掲載済)

 12月21日より貯蔵ピットへの収納作業を行っておりました1基目の28本のガラス固化体については、12月26日に収納作業を完了しました。(12月27日掲載済)

*:ガラス固化体表面の放射性物質の表面密度について、当社施設で貯蔵・管理するための管理値

**:原子炉等規制法第五十八条第二項の規定により廃棄に関する確認を行うもの

 表面汚染検査において、再測定の結果が社内規定に定めた目安値を上回るということが確認されたことに対する原因及び今後の対応は以下の通りです。

○原因

 「英国でガラス固化体製造時、ガラス固化体容器の蓋受側上面に汚染源としてガラス微粉が付着した状態で、その上に蓋を置いて蓋溶接を行い、溶接材よりも軽いガラスが表面に被膜状に広がった状態(金属の表面にガラス質の皮膜を作るホーローのような状態)になっており、当社廃棄物管理施設においてクレーンで取扱った際に、吊具がガラス固化体蓋部の汚染源存在箇所(以下、「特異部」という)に接触し、汚染が顕在化したことによりガラス固化体表面が汚染した。」ものと推定しました。
 英国において、表面汚染検査を行ったが、ガラスが表面に被膜状に広がった状態ではスミヤには付着しないことから、汚染源の存在を確認できず、外観検査を行ったが、検査の目的が異常な損傷等が無いことを確認するためのものであったため当該特異部の存在は確認されなかった。また、英国側の吊具は、当社廃棄物管理施設とは異なり、ガラス固化体蓋部と接触しない構造となっており、輸送容器内に段積し収納された状態においても汚染源は他のガラス固化体と接触しなかったことより、汚染が顕在化することはなかったと考えている。


【推定される要因とガラス固化体製造工程等との関係】


【推定原因概要図】

○今後の対応

 次回以降の返還ガラス固化体に対しては、英国側にて蓋溶接部のこれまで以上に詳細な外観目視確認を行うことにより、蓋溶接部又はその近傍に、今回の表面汚染を発生したガラス固化体と類似の特異部がないか確認し、特異部が確認されたガラス固化体には、表面の汚染を除去するため従来から実施しているビードブラスト(細かいステンレス鋼製の粒子をガラス固化体に吹きつけて表面の汚染を除去する)に加え、追加のビードブラストを実施する。追加ビードブラスト後には、再度蓋溶接部の詳細な外観目視確認及び表面汚染検査を実施し、その効果を確認する。
 なお、繰り返しビードブラストを実施しても蓋部の特異部が残っているガラス固化体については、返還対象としない。
 また、既に受け入れている第14回返還ガラス固化体の2、3基目のガラス固化体に対しては、廃棄物管理施設において、今後、蓋溶接部の詳細な外観確認を行い、今回の表面汚染を発生したガラス固化体と類似の特異部がないかを確認し、汚染源の付着の可能性が疑われる場合には、これまでの汚染低減措置の方法に加え、耐熱性のナイロンたわしを使用して汚染の低減を図る。なお、クレーンで2,3基目のガラス固化体を取り扱う前に汚染拡散防止のため、吊具が蓋部に接触しないよう対応を行う。(3月23日掲載)


【次回以降の返還ガラス固化体に対する今後の対応】