再処理施設の建設工事における不具合・災害等への対応について

当社では、不具合・災害等が発生した場合、適切な処置や原因究明による再発防止に努めています。ここでは、最近、発生した主な不適合への対応についてご紹介します。

平成14年10月16日以降の不具合については、こちら

<主な不具合等>

件名/発生年月日 事象内容 処置内容
安全冷却水系の不具合(配管の接続間違い)
/H14.1.28
分離建屋の冷却水・冷水設備の通水作動試験において、補助的なタンクの予定外の液位変動があり、調査したところ、配管の接続間違いを発見した。 誤って接続された配管は、正しい接続に繋ぎかえを行い、再度通水作動試験などにより確認を行った。また、他の同様の設備についても図面等を確認し誤接続の無いことを確認した。
なお、問題の無いことは最終的に通水作動試験において確認される。
機器ノズル溶接検査未受検
/H14.3.27
精製建屋に設置されているプルトニウム濃縮缶で、当該機器のノズルの溶接部について溶接検査を受検すべきところ、未受検であることが判明した。 当該機器ノズルの溶接部を切断し、再製作した部品を再溶接し溶接検査後、使用前検査を再度受検した。
同様事象の再発を防止するために、製作図のチェックシートに溶接検査の受検漏れがないように新たなチェック項目を追加し、溶接検査が確実に実施されるように徹底した。
グローブボックス・セル排風機の電動機巻線の損傷
/H14.4.11
精製建屋のグローブボックス・セル排風機の単体試験において、電動機の遮断器が作動する事象が発生し、調査したところ、原因は配線の接続間違いであることがわかった。その後、工場での詳細調査を進めたところ、電動機巻線(コイル)が損傷していることが判明した。(4月30日) 当該電動機については、工場にて電動機巻線の取替・性能確認を実施した後、再度現地に搬入・据付けし、改めて単体試験を行った。(正常に動作することを確認した。)なお、同様事象の再発を防止するために、ケーブル接続作業における作業手順の再教育・指導を行った。
計装配管の損傷
/H14.6.10
精製建屋に設置している計装配管(使用前検査受検済み)の一部において、グラインダー作業者が誤って損傷(キズ)を与えたことが判明した。 当該計装配管の取替工事を終了し、健全性を確認した後、当初施工時同様、適切に施工されていることを確認するため再度使用前検査を受検した。
再発防止策として工事関係者に当該事象を周知し、類似作業による配管の損傷防止を徹底した。
ホイストの落下
/H14.6.17
低レベル廃棄物処理建屋において、荷重試験を実施していたところ、ホイスト(小型クレーン)がレールから外れ試験用の重り(約5t)と共に落下し、付近にいた作業員2名が負傷した。 今回の事象は、当該ホイストと試験用重りの重さによりレールが一時的に変形したこと、また、ホイストの車輪を取り付けているフレームに、ボルトの締め付け不足による緩みが生じたことなどが原因で発生したと考えられる。
この為、今後製作するものついては、レールがたわまないように補強材を用いること、ならびにボルトの締め付けが適切であることを確認するよう要領書に記載することとした。なお、損傷したホイスト等は再製作を行った。
溶解槽硝酸供給用の流量計測機能付移送機器(ゲデオン)の流量変動
/H14.3.29
前処理建屋の溶解槽硝酸供給用のゲデオンについて通水作動試験を行ったところ、必要流量は確保されているものの、工場で測定された流量を上回り、流量が安定しない現象が確認された。 当該ゲデオンは内部の絞り(オリフィス)が階段状であり、流量変動を起こしやすいことが調査の結果わかった。このため、オリフィス部を流量安定性が確保できる単段状のオリフィスに加工を行った。また、今回の不具合とは直接関係ないが、既に据付後の外観に関する使用前検査を受検済みの部分について工事を行うため、使用前検査を再受検する予定である。
なお、当該機器以外に階段状のオリフィスは採用されておらず、また、他設備に採用されている単段状のオリフィスについてはこれまでの通水作動試験にて問題が発生していないことをあわせて確認している。
廃ガス洗浄塔出口配管の廃ガス流量変動
/H14.6.18
前処理建屋において通水作動試験を行ったところ、廃ガス洗浄塔出口配管に設置されている廃ガス流量計〔絞り(オリフィス)を設け、オリフィス通過前後の差圧を測定することにより流量を計測しているもの〕の計測配管に凝縮水がたまり指示値が変動する現象が確認された。 廃ガス流量計は垂直配管に設置され、オリフィスに凝縮水が溜まり流量計測配管を塞ぎやすい状態にあった。廃ガス流量計が設置されている配管に勾配をつけることにより、凝縮水が流量計測配管を塞がなくなることがモックアップ試験で判明したため、垂直配管を傾けるよう改造を行った。また、今回の不具合とは直接関係ないが、既に据付後の外観に関する使用前検査を受検済みの部分について工事を行うため、使用前検査を再受検する予定である。
なお、当該部以外には垂直配管にガス系のオリフィスが設置されているところがないことを確認している。
蒸気供給系の流量変動について
/H14.6.5
低レベル廃液処理建屋の通水作動試験において、酸・アルカリ除染調整槽へ加温用蒸気の供給を開始した時に、蒸気流量が変動する現象が確認された。
原因を調査したところ、蒸気供給ラインの曲がり部に凝縮水の液溜まりがあり、蒸気流量が変動することが確認された。
液溜まりが発生しないように曲がり部の改造を行うことを検討中である。また、今回の不具合とは直接関係ないが、既に据付後の外観に関する使用前検査を受検済みの部分について工事を行うため、使用前検査を再受検する予定である。
水平展開等については現在検討中。
エアリフトの流量不連続について
/H14.6.20
精製建屋の通水作動試験において、エアリフトの流量が不連続で安定しない事象が確認された。
原因調査を行ったところ、エアリフトの駆動用圧縮空気の供給用配管に試薬供給用の長い細管が接続されており、圧縮空気の流動に影響を与えていることが確認された。
駆動用圧縮空気の供給配管から試薬供給用の細管を切り離し、別ルートで確保する。また、今回の不具合とは直接関係ないが、既に据付後の外観に関する使用前検査を受検済みの部分について工事を行うため、使用前検査を再受検する予定である。
なお、他のエアリフトポンプについて、通水作動試験の中で確認を行っており、現在通水作動試験を実施しているものでは、同事象は発生していないことを確認した。
貯蔵ホール遮へい蓋の変形について
/H14.7.16
ウラン・プルトニウム混合酸化物貯蔵建屋において、貯蔵ホール遮へい蓋の吊上げや移動が正しく操作できること等、設備の取扱いに関する確認を行ったところ、貯蔵ホール遮へい蓋の変形が確認された。
原因は以前に行った内部清掃作業において貯蔵ホール遮へい蓋閉止時に遮へい蓋を誤って落下させたためと考えられる。
今回の事象は、遮へい蓋を吊り上げる際に使用したハンドリング用仮設治具のロック金具が確実に固定されていることを確認せず作業した結果発生したと考えられる。今後の遮へい蓋の昇降は、自動ロック機構を持った本設設備にて作業を行う。
なお、当該品は再製作を行い、所定の使用前検査を受検する。

なお、調整運転段階の機器、バルブの調整などのごく軽微な事象を含めた不具合等の総件数は以下のとおりです。

通水作動試験中(平成13年4月~平成14年9月): 813件

<主な災害>

件名/発生年月日 事象内容 処置内容
当該事象なし