原子燃料サイクルと日本原燃の事業

事業①ウラン濃縮事業 純国産のウラン濃縮技術で原子力発電の燃料をつくる

「ウラン濃縮」とは ウラン燃料づくりの最も重要な工程

原子力発電の燃料となるのがウランです。ウラン資源は世界中に広く分布しており、カナダ、オーストラリア、カザフスタンなどが埋蔵量、生産量ともに上位を占めています。天然ウランは、「製錬」「転換」「濃縮」「再転換」「成型」「加工」という工程を経て、原子力発電に利用できる燃料集合体になります。

この一連のウラン燃料づくり工程のなかでも重要なのが、「ウラン濃縮」工程です。天然ウランのなかには、核分裂を起こして膨大な熱エネルギーを放出する「ウラン235」と、核分裂を起こさない「ウラン238」が含まれています。しかし、天然ウラン鉱石の「ウラン235」含有率はわずか0.7%しかなく、このままでは原子力発電所(軽水炉)の燃料として使用することはできません。そのため、原子力発電所の燃料として使用するには、「ウラン235」の濃度を3〜5%程度にまで高める必要があります。この「ウラン235」の濃度を高めるために行う同位体分離を「ウラン濃縮」といいます。

日本原燃は、国内唯一の商業用ウラン濃縮事業者として、高い効率性と安全性を備えた純国産のウラン濃縮技術を駆使し、日本の原子力発電所への安定した燃料供給を支えるとともに、供給能力の向上とさらなる効率性、安全性向上に寄与する技術開発を推進しているのです。

燃えるウランと燃えないウラン
図:燃えるウランと燃えないウラン

「ウラン濃縮事業」のあゆみ 国内唯一の商業用ウラン濃縮工場を操業中

国内初の商業用原子力発電所が稼動を開始してからしばらくの間、我が国では、原子力発電の燃料となる濃縮ウランのほとんどをアメリカとフランスからの輸入に依存していました。ところが、1980年代ころから日本の原子力政策の将来を見据え、「ウラン濃縮」技術の確立により国内で濃縮ウランを生産し安定供給を図ることが必要不可欠と考えられるようになりました。

こうしたなか、旧:動力炉・核燃料開発事業団(現:日本原子力研究開発機構)の人形峠事業所のパイロットプラントの実績をベースに、商業利用を目的とした大型プラントの操業主体として電力会社などからの出資により、1985年に日本原燃産業(株)が設立されました(その後、1992年に日本原燃サービス(株)と合併し、現社名へ)。設立以来、日本原燃はウラン濃縮プラントの実用化をめざして技術研鑽に努め、1992年3月、青森県六ヶ所村において日本初の商業用ウラン濃縮工場の操業を開始しました。

ウラン濃縮の方法としては「ガス拡散法」や「レーザー法」などいくつかの方法がありますが、日本原燃では「遠心分離法」を採用しています。この濃縮方法は、アメリカやフランスなどで採用されている「ガス拡散法」に比べて、濃縮効率が高く、電力消費量は約1/10、工場の規模は約1/3程度ですむという大きなメリットがあります。この技術は、旧:動力炉・核燃料開発事業団(現:日本原子力研究開発機構)で開発された“純国産技術”で、高い濃縮効率と安全性を誇っています。

写真:複数の遠心分離機が連結して置かれているカスケード※2室
複数の遠心分離機が連結して置かれているカスケード※2

別ウィンドウで開きます各種ウラン濃縮技術

※2
カスケード:
1台の遠心分離機によって「ウラン235」の濃縮される度合いはごくわずかで、必要な濃縮度を得るためには何回も処理を繰り返さなければなりません。このために複数の遠心分離機を連結して効率よく運転を行う設備をつくり、これをカスケードと呼びます。
※1
遠心分離法:
高速で回転する遠心分離機の回転胴のなかに気体状のウラン化合物(六フッ化ウランガス)を投入すると、比重の重い「ウラン238」を多く含んだガスは回転胴の外側に押しやられ、回転胴の中心部には比重の軽い「ウラン235」を多く含むガスが集まります。これを取り出してまた繰り返すことで、濃度を高めたウランをつくり出すことができます。
世界のウラン濃縮工場
(2015年11月現在)
国名 事業者 所在地 濃縮法 規模
(tSWU/年)
創業開始年
アメリカ 合衆国濃縮公社
(USEC)
パデューカ ガス拡散法 11,300 1954
Louisiana Energy Services(LES) ニューメキシコ 遠心分離法 3,000 2010
フランス COGEMA トリカスタン 遠心分離法 7,500 2011
オランダ URENCO アルメロ 遠心分離法 4,500 1973
ドイツ URENCO グロナウ 遠心分離法 4,500 1985
ロシア Shiberia Chemical Complex(JSC SCC) トムスク 遠心分離法 4,000 1950
Angarsk Electrolysis & Chemical Combine (JSC AECC) アンガルスク 遠心分離法 1,000 1954
イギリス URENCO カーペンハースト 遠心分離法 4,000 1972
中国 中国核工業集団公司(CNNC) 陜西省漢中 遠心分離法 1,000 1997
甘粛省蘭州 遠心分離法 500 2005
日本 日本原燃株式会社(JNFL) 青森県六ヶ所村 遠心分離法 最終的には1,500 1992
パキスタン パキスタン原子力委員会(PAEC) カフタ 遠心分離法 5 1984
SWU:天然ウランから濃縮ウランを分離する際に必要な仕事量を表す単位

出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集2016年版」

【第1期分】(RE-1:600トンSWU/年)の経緯
月 日 主要事項
1985
(昭和60年)
3月1日 日本原燃産業株式会社発足
1987
(昭和62年)
5月26日 核燃料物質加工事業許可申請
(第1期分600トンSWU/年)
1988
(昭和63年)
8月10日 核燃料物質加工事業許可
10月14日 ウラン濃縮工場着工
1991
(平成3年)
7月25日 安全協定締結(青森県・六ヶ所村・日本原燃産業(株))
9月10日 安全協定締結(隣接6市町村、日本原燃産業(株))
1992
(平成4年)
3月27日 ウラン濃縮工場操業開始(平成3年度運転開始分<RE-1A>運転開始)※2
7月1日 日本原燃サービス(株)と日本原燃産業(株)が合併し、日本原燃(株)が発足
12月18日 平成4年度運転開始分<RE-1B>運転開始※3
1993
(平成5年)
5月27日 平成5年度運転開始分<RE-1D>運転開始※4
1994
(平成6年)
9月21日 平成6年度運転開始分<RE-1C>運転開始※5
※2
2000年(平成12年)4月3日より計画停止中
※3
2002年(平成14年)12月19日より計画停止中
※4
2005年(平成17年)11月30日より計画停止中
※5
2003年(平成15年)6月30日より計画停止中
【第2期分】(RE-2:900トンSWU/年)の内、前半分450トンSWU/年の経緯
月 日 主要事項
1992
(平成4年)
7月3日 ウラン濃縮工場の第二期分増設(900トンSWU/年の内、前半分450トンSWU/年)にかかわる加工事業変更許可を申請
1993
(平成5年)
7月12日 核燃料物質加工事業変更許可
9月9日 ウラン濃縮工場着工
1997
(平成9年)
10月17日 平成9年度運転開始分<RE-2A>運転開始※6
1998
(平成10年)
4月1日 平成10年度4月運転開始分<RE-2B>運転開始※7
10月6日 平成10年度10月運転開始分<RE-2C>運転開始※8
2008
(平成20年)
12月16日 ウラン濃縮工場の第二期分の一部更新(RE-2Aの150トンSWU/年のうち、75トンSWU/年)に係わる加工事業変更許可を申請
2010
(平成22年)
1月21日 核燃料物質加工事業変更許可(75トンSWU/年)
3月1日 ウラン濃縮工場着工(75トンSWU/年)
2012
(平成24年)
3月9日 RE-2A(37.5トンSWU/年)生産運転開始
2013
(平成25年)
5月21日 RE-2A(37.5トンSWU/年)生産運転開始
※6
2006年(平成18年)11月30日より計画停止中
※7
2010年(平成22年)12月15日より計画停止中
※8
2008年(平成20年)2月12日より計画停止中

「ウラン濃縮事業」の現在、そしてこれから 日本の技術力を結集して、世界最高水準のウラン濃縮へ

日本原燃では現在、年間1,500トンSWUという濃縮ウランの生産規模目標の達成をめざし、濃縮性能と経済性の両面で世界をリードする“世界最高水準の遠心分離機”の開発プロジェクトを推進しています。より高性能化した次世代遠心分離機の開発は、ウラン濃縮工場の安全性、操業性をさらに高め、生産規模の拡大と、濃縮ウラン供給の国際競争力の向上に寄与します。

写真:ウラン濃縮技術開発センター
ウラン濃縮技術開発センター

2000年に始まったこのプロジェクトは、日本原燃を中心に、日本原子力研究開発機構や国内原子力関連機器メーカーから、遠心分離法ウラン濃縮技術分野における国内最高水準のエンジニアが結集し、鋭意取り組んでいるところです。2008年には実用化の目処がついたことから、ウラン濃縮工場に設置されている既設遠心分離機を新型遠心分離機に取り替えて、導入することにしました。

新型遠心分離機の導入に当たっては、開発段階で確立した製造に関わる品質確保体制の実効性を確認して着実に導入を進めることが重要であるため、初めは小規模で更新し、その後、10年程度かけて1,500トンSWU/年規模を達成する計画であり、現在、濃縮機器製造工場での新型遠心分離機の製造・組立ならびにウラン濃縮工場への導入・運転を進めております。

SWU
Separative Work Unitの略。ウラン濃縮する際に必要となる仕事量の単位(分離作業単位)を表します。たとえば、100万kWの原子力発電所での1年間に必要となるウラン濃縮の仕事量は約120トンSWUになります。

写真:濃縮機器製造工場
濃縮機器製造工場

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