六ヶ所再処理工場における通水作動試験の概要

 

通水作動試験のとき、発生が予想される故障・不具合

■発生が予想される故障・不具合にもいろいろあります

 再処理工場では、様々な電気機器、機械機器などが使われています。個々の機器は工場出荷段階で試験・検査を実施し、問題ないことを確認していますが、これらをつなげたシステム全体としては通水作動試験で確認していくことが必要です。
 通水作動試験において、これら機器及びシステム全体の故障・不具合(これには視認性、操作性などを含めた使い勝手の悪さも含まれます)を早期に摘出し、是正処置をして、次のステップに進む上で問題のないことを確認します。

 ここで試験中に発生が予想される「故障・不具合」の性格を、よく引き合いに出される「事故」と比べてみます。わたしたちの身近な例で、自動車のライトのランプが切れたとか、ブレーキの調子が悪いとかという場合、修理をして直します。これは「事故」ではなく「故障・不具合」です。しかしながら、この故障により他の車にぶつかってしまうとか、人をはねてしまったということになると、これは「事故」となります。
 このように、ある故障・不具合が原因となって社会的に悪影響を与えたときに「事故」ということが多く、「故障」とはその性格が異なります。わたしたちは「事故」にならないよう、設計上の対策をとっていますが、この故障・不具合をなくすことが安全上のみならず、安定な再処理工場の運転に重要と考えています。

 

■通水作動試験で仮にこのような故障・不具合が起きても環境への安全上の問題はありません

 今回の通水作動試験においては、化学薬品(硝酸など)、放射性物質を使用することはなく、「水、蒸気、空気」を使って各機器を調整し、その性能を確認していく試験のため、これらの機器の故障・不具合による放射能や薬品の影響はありません。
 なお、作業者の人身安全にはきめ細かい配慮を行い、災害発生のないよう作業前の準備条件確認を行い、実施します。

 

故障・不具合内容
原 因
処 置 ・ 対 策

工事施工に係わるもの

配管、弁の詰まり

配管内部等の洗浄不足によるゴミ、コンクリート等の詰まり、付着

ゴミ等の除去、フィルタの交換等

フィルタ類の詰まり

水、蒸気、空気の漏れ

フランジ・パッキング類の取付・締付不良、配管の溶接不良

取付調整、手直し・改良工事

水、蒸気、空気の逆流、移送不良

配管勾配、高さの不良

配管の誤接続

取り付け不良

再取り付け

電気・計測機器に係わるもの

検出器の不良

検出部の損傷等

交換、点検・調整

伝送器等の不良

計測配管の変形等の不良、変換器等の故障

交換、点検

制御系の不良
・プログラムソフト
・制御機器

ヒューズ切れ、ケーブル断線、スイッチ・リレー・基盤の故障等、プログラムソフトの不良等

機械機器に係わるもの
 異音、振動、
 接触、摩耗、
 温度・圧力異常
 など

弁の不良

構成部品の製作不良、取付不良、破損等

交換、点検

ヒータ類の不良

ポンプ類(移送機器) の不良

大型機器の損傷

構成部品の干渉

交換、点検、補修

その他機器に係わるもの

照明の不良

接触不良、ランプ切れ

交換、点検

カメラの不良

構成部品等の不良

グローブ・ボックス*1の不良

付属のグローブの破損

マニピュレータ*2の不良

ワイヤーの破損、駆動機構の不良等

クレーンの不良

構成部品等の不良

操作性、保守性に係わるもの

弁の位置、向きの最適化要

作業動線、スペースの評価不足等

取付調整、手直し・改良工事

作業スペースの確保・最適化要

*1

手袋(グローブ)のついた密閉箱(ボックス)のことで、作業者は手袋を通して箱の中の物質等を取扱う。

*2

遠隔操作で物質等を取扱うための装置で、マジックハンドのようなもの。

 


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