「日本のエネルギー問題」を考える

  • エネルギー資源の安定確保
  • 電気の安定供給
  • 発電と地球温暖化問題
  • 原子燃料サイクル
  • 放射性廃棄物処理
  • 世界の原子力政策の現状

③発電と地球温暖化問題

温室効果ガス排出削減目標は2012年までに90年比-6%さらに2020年までに-25%削減も視野に

温室効果ガスは、太陽からの日射エネルギーをほぼ完全に通過させる一方、地表から逃げる赤外線を途中で吸収し、宇宙空間に熱が逃げるのを妨げる効果(温室効果)をもっています。温室効果ガスにはCO2、メタン、一酸化二窒素などがありますが、日本では温室効果ガスの9割以上がCO2となっています。

化石燃料などからのCO2排出量と大気中のCO2濃度の変化
グラフ:化石燃料からのCO2排出量と大気中のCO2濃度の変化
出典:電気事業連合会「原子力・エネルギー」図面集2010

世界のCO2排出量の推移
グラフ:世界のCO2排出量の推移
出典:電気事業連合会「原子力・エネルギー」図面集2010

地球上の温室効果ガスの濃度が増加し、地球の気候が変動すると、人間だけではなくすべての生物の生活に影響を与えます。このため、日本は「京都議定書」を批准し、2008年から2012年の温室効果ガスの排出量を1990年と比べて6%削減することを目標にしています。

2008年度の排出量は金融危機などの影響により2007年度に比べて減少しているものの、1990年に比べると1.6%増加しています。目標の達成には2008年度の排出量から7.5%削減する必要があり、これまで以上の温室効果ガス削減対策の強化が求められています。

日本の温室効果ガス排出量
グラフ:日本の温室効果ガス排出量
出典:環境省「2008年度(平成20年度)の温室効果ガス排出量(確定値)<概要>」

政府の地球温暖化対策推進本部は、2005年4月「京都議定書目標達成計画」を作成し、産業部門の自主行動計画の実施や省エネルギー対策、新エネルギー対策の推進などを決定しました。この計画の中で、地球温暖化対策の国民への普及啓発を目的に、経済界と協力して進める国民的運動として立ち上げたのが「チーム・マイナス6%」です。このキャンペーンに取り組んだ企業は数多くあり、クール・ビズや省エネなどの運動が実施されています。

また、化石燃料の燃焼によるCO2排出量の約4割を占める産業部門では、日本経済団体連合会をはじめとして、個別業種による自主行動計画を作成し、温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組んでいます。

一方で、京都議定書で取り決めた2012年までの目標の後をどうするか、すなわち「ポスト京都議定書」に関する議論がすでに始まっています。日本は、ポスト京都議定書に関して、すべての主要排出国が参加する柔軟で公正な枠組みが必要であるとし、2007年5月、2050年までに世界全体の温室効果ガス排出量を1990年比で半減するという長期目標「美しい星50(クールアース50)」を発表しました。2008年7月の洞爺湖サミットでは「2050年までに世界全体の排出の少なくとも50%削減を達成するというビジョンを世界で共有する」と宣言し、さらに鳩山内閣のときには、2020年までに国内で25%削減という目標も提示しました。

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太陽光、風力−
発電時に温室効果ガスを排出しない発電方法への期待

低炭素社会への移行の流れを受け、発電時にCO2を排出しない発電方法として、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーに注目が集まっています。

各種電源別のCO2排出量
グラフ:各種電源別のCO2排出量
出典:電気事業連合会「原子力・エネルギー」図面集2010

非化石エネルギーなどの利用によるCO2排出抑制効果(2008年度)
グラフ:非化石エネルギーなどの利用によるCO2排出抑制効果(2008年度)

すべての発電を石油火力で行った場合に比べて、実際にはLNG火力、原子力、水力などをミックスしていることで、CO2排出量を大幅に抑制しています。

出典:電気事業連合会「原子力・エネルギー」図面集2010

太陽光発電、風力発電については、各電力会社が発電設備の設置を着実に進めています。2003年からは、再生可能エネルギーの普及・拡大を図るため、電気事業者に一定割合以上の再生可能エネルギーの利用(発電または購入)を義務づけるRPS制度(Renewables Portfolio Standard)が始まっています。全国の電力会社で構成する電気事業連合会は2008年9月、メガソーラーの導入計画を発表し、2020年度までに約30地点で14万kWまで発電量を拡大することを目指しています。

また、一般家庭や企業などの太陽光・風力発電設備から余った電力を購入することで、再生可能エネルギーの普及にも協力しています。

風力・太陽光発電からの電力購入量の推移[国内10電力会社計]
図:風力・太陽光発電からの電力購入量の推移[国内10電力会社計]
出典:電気事業連合会「電気事業の現状2010」

写真:堺第7-3区太陽光発電所(仮称)最終完成予想図
出典:電気事業連合会「電気事業の現状2010」

堺市臨海部での関西電力によるメガソーラー計画、仮称「堺第7-3区太陽光発電所」の完成予想図。一部の発電設備(約3MW)は、2010年10月に営業運転を開始しています。

写真:国内最大級の長島風力発電所(九州電力)
出典:電気事業連合会「電気事業の現状2010」

鹿児島県長島町にある国内最大級の九州電力の長島風力発電所。2008年10月に営業運転を開始し、2,400kW×21基の風車により発電しています。

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太陽光発電、風力発電だけでは高まる電力需要に応えることは困難

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、環境へ与える影響が小さく、化石燃料を利用しない国産エネルギーとして、エネルギーセキュリティの確保や地球環境問題対策に貢献できるというメリットがあります。

一方で、太陽光や風力はエネルギー密度が低い、つまりたくさんのエネルギー(電力)を得るには、太陽光を受ける広い面積や風を受ける大きな空間が必要になるという弱点があります。さらに、天候の影響を受けやすく出力変動が大きいこと、設備設置時のイニシャルコストが高いことなどの課題もあります。太陽光発電や風力発電を広く普及させるために、これらの課題の解決に向けた取り組みを続けていく必要があります。

新エネルギーなどの評価


太陽光発電 風力発電 廃棄物発電
(バイオマス発電含む)
燃料電池




  • 枯渇する心配がない
  • 発電時にCO2などを出さない
  • 枯渇する心配がない
  • 発電時にCO2などを出さない
  • 発電にともなう追加的なCO2の発生がない
  • 新エネルギーの中では連続的に得られる安定電源
  • SOxはまったく発生せず、NOxもほとんど発生しない
  • 発電効率が高い
  • 騒音が少なく、全自動運転が可能




  • エネルギー密度が低く、火力・原子力と同じ電力量を得ようとすると広大な面積が必要
  • 夜間は発電できず、さらに雨、曇りの日は発電出力が低下し不安定
  • 設備にかかるコストが高い
  • エネルギー密度が低く、火力・原子力と同じ電力量を得ようとすると広大な面積が必要
  • 風向き・風速に時間的・季節的変動があり、発電が不安定
  • 風車が回転するときに騒音が発生
  • 設備にかかるコストが高い
  • 発電効率が低い
  • ダイオキシンの排出抑制対策や焼却灰の減量化などのさらなる環境負荷低減が必要
  • 電池の耐久性とシステムとしての信頼性が低い
  • 設備にかかるコストが高い



  • 一般住宅用
  • 工場、業務用ビルなどの産業用など
  • 好風況地域での自家用消費用、売電事業用
  • ごみ発電(スーパーごみ発電、RDF(固形化燃料]発電)
  • 自動車用、一般家庭用、産業用、発電事業用などに幅広く適用
導入実績と目標
()内は原油換算値
実績:2006年度
170.9万kW
(41.8万kl)
目標:2010年度
(118万kl)
実績:2006年度
149.1万kW
(60.7万kl)
目標:2010年度
300万kW
(134万kl)
実績:2006年度
210万kW
(290.5万kl)
目標:2010年度
450万kW
(586万kl)
実績:2006年度
1.3万kW
目標:2010年度
10万kW

図:新エネルギーなどの評価
出典:電気事業連合会「原子力・エネルギー」図面集2010および資源エネルギー庁「原子力を巡る状況 4.新エネルギーの代替可能性」より作成

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