「日本のエネルギー問題」を考える

  • ①エネルギー資源の安定確保
  • ②電力の安定供給
  • ③発電と地球温暖化問題
  • ④原子燃料サイクル
  • ⑤放射性廃棄物処理
  • ⑥世界の原子力政策の現状

⑥世界の原子力政策の現状

エネルギー消費の拡大と、地球温暖化問題を背景に全世界的に高まる原子力発電への評価

エネルギーセキュリティを確保し、エネルギーの安定供給に対応するために注目されている発電方式の一つが原子力発電です。 新興国や発展途上国を中心としたエネルギー消費量の増加などにともない、化石燃料の価格高騰が懸念されており、化石燃料に比べて供給安定性が高いウランを燃料とする原子力発電への期待が高まっています。

また、原子力発電は、発電時にCO2を出さないため地球温暖化への対策になること、原子力発電所1基で大規模な発電ができ経済的なこと、原子燃料サイクルを確立すれば長期にわたって電気を安定供給できること、といったメリットがあります。

このため世界各国で、原子力発電の開発計画を見直そうという動きがみられます。国際原子力機関(IAEA)は、2008年9月に発表した報告書で、2030年までの世界の原子力発電所の設備容量は約30〜100%増加すると予測しており、特に東アジア、東欧、中東・南アジアで大きな伸びが見込まれるとしています。

さらに詳しく知りたい方は以下のページをご参照ください。

2030年の世界の原子力発電容量予測
図:2030年の世界の原子力発電容量予測
出典:資源エネルギー庁「エネルギー白書2009」

世界の原子力発電の開発状況
図:世界の原子力発電の開発状況
出典:資源エネルギー庁「エネルギー白書2010」

世界各国の原子力発電の動向は、つぎの表のようになっています。

現状
アメリカ
  • 運転中の原子力発電所は104基で、合計出力1億524万kW、発電電力量の約20%相当
  • 2002年発表の「原子力2010プログラム」に基づき原子力発電所の新規建設の動きが活発化、2009年10月までに16件(25基)の建設・運転一体認可申請があり、うち4件が政府の融資保証枠の最終候補
  • 「2005年エネルギー政策法」に基づき、建設遅延に対する政府保険、減税、政府による債務保証制度を整備
  • 2006年2月発表の「国際原子力エネルギー・パートナーシップ」により、政索を転換して核燃料サイクル開発も追求
イギリス
  • 運転中の原子力発電所は19基で、発電電力量の約16%相当
  • 2007年7月発表のエネルギー白書で、原子力発電所の新規建設に向けた政策面での支援方針を表明
  • 2008年1月発表の原子力白書で、原子力発電所新規建設に向けた体制整備やスケジュールなどを掲載
フランス
  • 運転中の原子力発電所は59基で、合計出力6,588万kW、発電電力量の約74%相当
  • 2005年7月制定の「エネルギー政策指針法」で、2015年頃までに既存原子力発電所の代替となる新規原子力発電所を利用可能とするための原子力発電オプションの維持を明記
  • フランス電力公社は、2007年12月、新規原子力発電所の建設に着工、2012年に営業運転開始の予定
ドイツ
  • ・運転中の原子力発電所は17基で、合計出力2,152万kW、発電電力量の約28%相当
  • 2009年9月樹立された連立政権は脱原子力政索を見直し、与党は既存原子力発電所の運転延長に向けて原子力法の改正を目指す
  • 2011年6月、連邦政府は脱原発を規定する原子力基本法の改正及び再生可能エネルギーの促進を規定する改正再生可能エネルギー法等の法案について閣議決定
スウェーデン
  • 運転中の原子力発電所は10基、合計出力939万kW
  • 2010年までは、原子炉の閉鎖も新設も行わない方針
  • 2009年2月発表の長期エネルギー見通しで、将来の新規原子力発電所建設も検討する方向性を提示
フィンランド
  • 運転中の原子力発電所は4基、合計出力282万kW
  • 2005年12月に着工した新原子炉が、2012年頃に営業運転を開始予定
中国
  • 運転中の原子力発電所は13基で、合計出力1,085万kW、発電電力量の約2%相当
  • さらに、13基が建設中、13基が計画中
  • 2006年3月発表の第11次5カ年計画で、原子力発電新規建設積極推進の姿勢を維持
  • 2020年には合計出力4,000万kW、発電電力量の約4%にする予定
台湾
  • 運転中の原子力発電所は6基で、発電電力量の約19%相当
  • 2005年の「全国エネルギー会議」で、既存の3つの原子力発電所サイトでの運転と、建設プロジェクトの継続を確認
インド
  • 運転中の原子力発電所は19基で、発電電力量の約3%相当
  • さらに、6基が建設中、8基が計画中
  • 2007年7月、民生用原子力協力協定にアメリカとインドが合意、2008年10月に発効
ロシア
  • 運転中の原子力発電所は32基で、さらに11基を建設中
  • 発電電力量に対する原子力発電の割合を2030年までに25%に拡大することを目指し、2006年7月発表の「2007年から2010年までのロシア原子力産業コンプレックスの発展及び2015年までの展望」では2013年から毎年200万kW以上の原子力発電所を運転開始する計画を発表
  • 2006年1月、核燃料サイクルサービスを提供する「国際センター」設立構想を発表、IAEA理事会に対して「国際ウラン濃縮センター」に貯蔵する低濃縮ウランをIAEA経由で所定の条件を満たした国に引き渡す提案を行い、2010年2月に協定署名

出典:資源エネルギー庁「エネルギー白書2011」より作成

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日本は世界第三位の原子力発電施設保有国

日本では、1966年7月に初の商業用原子力発電所が茨城県東海村で運転を開始し、以降、各地で原子力発電所の建設が進められてきました。

2010年3月末時点で、54基4,884.7万kWが稼動しており、日本はアメリカ、フランスに次いで、世界第三位の原子力発電施設保有国になっています。40年以上の実績を積み重ねてきた原子力発電は、今日では日本の発電全体の約3割を担うベースの部分となっており、低炭素エネルギーの中核として地球温暖化対策を進める上でも重要な位置を占めています。

2009年度末現在、電気事業各社は2019年度までに計9基、約1,294万kWの原子力発電所の運転を計画しています。一方、今後は古くなった既存の原子力発電所の代替建設が必要になると見込まれています。そのため、安全の確保を大前提として、原子力発電の設備利用率の向上や原子力発電所の新・増設を推進するとともに、原子燃料サイクルの確立、高速増殖炉の実用化などの着実な実施が必要になっています。

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