原子燃料サイクルと日本原燃の事業

事業③MOX燃料加工事業 ウラン資源の利用効率を格段にアップする切り札

「MOX燃料加工」とは 使用済燃料内に新たに生成されたプルトニウムを、ウランと混ぜて再燃料化

原子力発電所(軽水炉=サーマルリアクタ)で使用した燃料(使用済燃料)中には、まだ燃料として再利用できるウランやプルトニウムが残っています。このウランとプルトニウムを使用済燃料から再処理して取り出し、現在運転中の軽水炉の燃料として再利用することで活かせれば、ウラン資源の利用効率はさらに高まり、エネルギー自給率の向上に大きく貢献します。これが我が国の重要なエネルギー政策の一つ、「プルサーマル計画」です。プルサーマルとは、使用済燃料を再処理して取り出したプルトニウムをウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)として原子力発電所で使用することであり、用語はプルトニウムをサーマルリアクタで使用することに由来しています。

「MOX燃料加工」では、再処理工場で使用済燃料を再処理して回収したウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX粉末)とウラン粉末を混ぜ、プルトニウム濃度を調整したうえで成型などの加工を行い、ウラン燃料と同サイズの燃料集合体をつくります。

プルサーマルは、国外では既に相当数の実績があります。フランス、ドイツ、スイス、インド、アメリカなど海外8カ国でMOX燃料の使用実績があり、1970年代から2014年12月までの間に使用されたMOX燃料の装荷体数は合計6,406体(53基)になります。日本国内では現在、電力会社の総意のもと、不退転の決意でプルサーマル計画に取り組んでいます。

世界の軽水炉におけるMOX燃料の使用実績
グラフ:世界の軽水炉におけるMOX燃料の使用実績

「MOX燃料加工事業」のあゆみ 国内初の商業ベースMOX燃料工場のしゅん工を目指して

エネルギー資源の94%を海外からの輸入に依存する資源少国、日本における重要エネルギー政策である「プルサーマル計画」。その政策を推進していくうえで、使用済燃料から取り出したプルトニウムとウランからMOX燃料を製造するMOX燃料工場は重要な役割を担います。

経済産業省 資源エネルギー庁 「日本のエネルギー 2016年度版(発行:2016年12月)」

日本原燃は、1998年から国内MOX燃料加工事業に関する事業化調査を実施し、2000年に電気事業連合会からMOX燃料加工事業の事業主体となるよう要請を受け、これを受諾しました。その後、工場の基本設計などの諸準備を進め、2001年8月、青森県および六ヶ所村に対し立地協力要請を行い、2005年に青森県ならびに六ヶ所村と立地基本協定を締結するとともに国へ加工事業許可申請書を提出。2010年に国から加工事業の許可を受け、同年10月にMOX燃料工場の建設工事に着工しました。

世界の主なMOX燃料工場
(2015年11月現在)
国名 事業者 所在地 年間製造能力
(トン・HM/年)
フランス AREVA NC マルクール 195
日本 独立行政法人日本原子力研究開発機構(JAEA) 茨城県東海村 10
日本原燃株式会社(JNFL) 青森県六ヶ所村 130
ベルギー FBFC デッセル 100
ロシア VI Lenin Research Institute of NuclearReactors (Niiar) ディミトログラード 1
Mayak Production Association チェリアビンスク 0.5

*HM: MOX中のプルトニウムとウランの金属成分の質量
出典:一般財団法人日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集2016年版」

MOX事業のあゆみ
内容
1998年
(平成10年)
電気事業連合会より国内MOX燃料加工事業に関する事業化調査への協力要請を受け、事業化調査開始
2000年
(平成12年)
電気事業連合会より六ヶ所立地を前提に事業主体になるよう要請を受け、MOX燃料加工事業に関する事業主体表明
核燃料サイクル機構(現:日本原子力研究開発機構)と建設・運転等に関する技術開発協力協定を締結
2001年
(平成13年)
青森県ならびに六ヶ所村に立地協力要請
2005年
(平成17年)
青森県ならびに六ヶ所村と「MOX燃料施設の立地への協力に関する基本協定」を締結
経済産業省へ核燃料物質加工事業許可申請書を提出
2010年
(平成22年)
経済産業大臣から核燃料物質加工事業許可
MOX燃料工場着工
2013年
(平成25年)
加工施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則施行
2014年
(平成26年)
原子力規制委員会へ核燃料物質加工事業変更許可申請書を提出
2019年度上期
(平成31年度上期)
MOX燃料工場しゅん工(予定)

「MOX燃料加工事業」の現在、そしてこれから プルサーマル計画と歩調を合わせながらMOX燃料工場の建設を推進

現在、建設工事に取り掛かっているMOX燃料工場では、国内外で実績のある技術を採用してMOX燃料を製造する予定です。当社再処理工場で使用済燃料を再処理して回収されるMOX粉末を全量MOX燃料に加工するために、最大加工能力130トンHM/年を計画しています。当社は、プルサーマル計画と歩調を合わせて我が国で初めての商業用MOX燃料工場の建設を進めていく予定です。

MOX燃料工場では、プルトニウムを取り扱いますが、プルトニウムは、ウランに比べて放射能が高いという特徴があり、プルトニウムを限られた空間内に閉じ込め、安全に作業するための「閉じ込め対策」や、放射線の影響を防止するための「遮蔽対策」を講じます。たとえば、閉じ込め対策として、グローブボックスと呼ばれる気密性のある箱の中に設備・機器を設置することで、MOX粉末の漏えいを防止したり、遮蔽対策に加え、設備の遠隔操作・自動化により、従事者の被ばく低減を図っています。また、核燃料物質の取扱量を制限(質量管理)し、核分裂の連鎖反応が持続する臨界が起こらないような対策を取るなど、安全確保を第一に考えた設計をしています。

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