1.はじめに
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平成11年9月及び10月に六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターにおいて、東京電力株式会社福島第一原子力発電所及び中部電力株式会社浜岡原子力発電所より搬入した廃棄体
(計2,560本)
のうち、補修を施した廃棄体計5本に液垂れ跡が発見され、当社は科学技術庁より、当該廃棄体について原因等を調査し再発防止対策を検討するよう指示を受けました。これに伴い、当該廃棄体を搬出元に返送し、11月より原因調査及び再発防止対策の検討を行ってまいりましたが、その結果について以下のとおり報告するものです。
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2.調査概要
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補修作業時の状況調査、外観調査、放射能及び成分分析、再現性等の確認試験などの結果は以下のとおり。
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(1)
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ドラム缶を切り取って廃棄体の内部を確認したところ、5本とも内部は完全に固化しており、固化されていない内容物が直接漏洩したものではなかった。
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(2)
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補修箇所から液垂れが生じた東京電力分2本と中部電力分2本のうちの1本には、補修板とドラム缶の間に微量の水分があった。
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(3)
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東京電力分2本の液垂れ跡については、鉄錆、硫酸イオンが確認され、接着剤成分は認められなかった。また、放射能分析の結果、
セシウム137を確認した。
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(4)
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中部電力分3本の液垂れ跡については、鉄錆が確認され、接着剤成分、放射能は検出されなかった。
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3.液垂れ跡発生の原因
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(1)東京電力の廃棄体
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多湿環境の下で補修作業を行ったため、ドラム缶の表面に発生した結露水により接着部の一部が接着不良となり、外部に通じる水みちが生じた。また、保管中の温度変化によりドラム缶の内側にも結露水が発生し、これがドラム缶の鉄錆や固化体の硫酸成分、セシウム137を含んで、夏場の高温等の温度変化に伴うドラム缶内外の圧力差により水みちを伝わって外部へと漏れ、液垂れに至ったものと判断している。
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(2)中部電力の廃棄体
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補修時に濡れウエス(拭き取り用の布類)で表面の汚れを拭き取った際の水分及び結露水により接着不良部が生じた。また、接着剤の偏りにより接着不良部が発生し、これらの接着不良部に結露水が供給され錆が生じ、液垂れに至ったものと判断している。
また、補修箇所以外の箇所の液垂れ跡については、補修箇所確認時にドラム缶内部より表面に達していた錆がドラム缶の地金と識別しにくい銀黒色であったため発見に至らず、その錆を起因とした塗膜の膨れから液垂れに至ったものと判断している。
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4.再発防止対策
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(1)
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接着不良及び水みちの原因となった水分の付着を防止するための対策
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(1)作業場所の温度、湿度監視を行い、結露が発生するときは作業をしない。
(2)接着面の拭取りは、乾燥したウエス等で行う。
(3)補修対象箇所に水分が残留していないことを確認する。
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(2)
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接着不良の原因となった接着剤の偏在を防止するための対策
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・接着時の補修板の押さえに、圧着用の補助板を用いる。
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(3)
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確実に補修が実施されたことの確認
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・補修対象の廃棄体について、補修対象箇所の確認時及び補修板接着後にバキュームテストを行い、漏洩のないことを確認する。
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(4)
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発電所搬出直前に不具合が発生していないことを確認するための対策
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・発電所からの輸送直前に補修を施した廃棄体の外観確認を行う。
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