JAPANNUCLEARFUEL LIMITED

平成12年3月27日 

報道関係者各位

 

日本原燃株式会社

 

液垂れ跡が発見された廃棄体に関する原因調査結果
及び再発防止対策について

 
 

 当社は、昨年9月及び10月に六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターにおいて発見された液垂れ跡のある廃棄体(計5本)について、東京電力株式会社及び中部電力株式会社の各発電所に返送し、両社と共に発生原因の調査と再発防止対策の検討を行ってまいりましたが、別紙のとおりその結果を取りまとめ、本日、科学技術庁に報告しましたのでお知らせいたします。

 

以 上

 


<別紙>

 

1.はじめに

 

 平成11年9月及び10月に六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターにおいて、東京電力株式会社福島第一原子力発電所及び中部電力株式会社浜岡原子力発電所より搬入した廃棄体 (計2,560本) のうち、補修を施した廃棄体計5本に液垂れ跡が発見され、当社は科学技術庁より、当該廃棄体について原因等を調査し再発防止対策を検討するよう指示を受けました。これに伴い、当該廃棄体を搬出元に返送し、11月より原因調査及び再発防止対策の検討を行ってまいりましたが、その結果について以下のとおり報告するものです。

 

2.調査概要

補修作業時の状況調査、外観調査、放射能及び成分分析、再現性等の確認試験などの結果は以下のとおり。

(1)

ドラム缶を切り取って廃棄体の内部を確認したところ、5本とも内部は完全に固化しており、固化されていない内容物が直接漏洩したものではなかった。

(2)

補修箇所から液垂れが生じた東京電力分2本と中部電力分2本のうちの1本には、補修板とドラム缶の間に微量の水分があった。

(3)

東京電力分2本の液垂れ跡については、鉄錆、硫酸イオンが確認され、接着剤成分は認められなかった。また、放射能分析の結果、 セシウム137を確認した。

(4)

中部電力分3本の液垂れ跡については、鉄錆が確認され、接着剤成分、放射能は検出されなかった。

 

3.液垂れ跡発生の原因

(1)東京電力の廃棄体

 多湿環境の下で補修作業を行ったため、ドラム缶の表面に発生した結露水により接着部の一部が接着不良となり、外部に通じる水みちが生じた。また、保管中の温度変化によりドラム缶の内側にも結露水が発生し、これがドラム缶の鉄錆や固化体の硫酸成分、セシウム137を含んで、夏場の高温等の温度変化に伴うドラム缶内外の圧力差により水みちを伝わって外部へと漏れ、液垂れに至ったものと判断している。

 

(2)中部電力の廃棄体

 補修時に濡れウエス(拭き取り用の布類)で表面の汚れを拭き取った際の水分及び結露水により接着不良部が生じた。また、接着剤の偏りにより接着不良部が発生し、これらの接着不良部に結露水が供給され錆が生じ、液垂れに至ったものと判断している。
 また、補修箇所以外の箇所の液垂れ跡については、補修箇所確認時にドラム缶内部より表面に達していた錆がドラム缶の地金と識別しにくい銀黒色であったため発見に至らず、その錆を起因とした塗膜の膨れから液垂れに至ったものと判断している。

 

4.再発防止対策

(1)

接着不良及び水みちの原因となった水分の付着を防止するための対策

(1)作業場所の温度、湿度監視を行い、結露が発生するときは作業をしない。
(2)接着面の拭取りは、乾燥したウエス等で行う。
(3)補修対象箇所に水分が残留していないことを確認する。

(2)

接着不良の原因となった接着剤の偏在を防止するための対策

・接着時の補修板の押さえに、圧着用の補助板を用いる。

(3)

確実に補修が実施されたことの確認

・補修対象の廃棄体について、補修対象箇所の確認時及び補修板接着後にバキュームテストを行い、漏洩のないことを確認する。

(4)

発電所搬出直前に不具合が発生していないことを確認するための対策

・発電所からの輸送直前に補修を施した廃棄体の外観確認を行う。

 


<参考>

 

東京電力と中部電力の当該廃棄体の違い

 

 

 

東京電力
中部電力






 

1本目
2本目
1本目
2本目
3本目

廃棄体の内容物

濃縮廃液をセメントで固めた廃棄体

フィルタスラッジをセメントで固めた廃棄体

固型化日

S60.4.19

S50.11.18

S52.9.27

S52.7.5

S52.9.19

補修日

H11.6.28

H11.7.6

H11.6.3

H11.4.26

H11.6.8

発電所における
最終確認日

H11.7.22

H11.7.23

H11.7.6

H11.7.5

H11.7.6

液垂れ跡発見日

H11.9.28

H11.10.7

H11.10.14

H11.10.15

H11.10.19







作業環境

多湿環境下
(結露水の発生)
(水による水みちの形成)

保管場所より温度が低い
(結露水の発生)
(水による接着剤の白色化)

 

接着面の拭取り

乾燥ウエス

濡れたウエス
(補修箇所における水の残留)

接着剤の使い方

主剤を補修板側
硬化剤をドラム缶側

主剤をドラム缶側
硬化剤を補修板側
(水による接着剤の白色化)

補修板押え時の
補助板

有り

無し
(接着剤の偏り)

調



廃棄体内部

完全に固化されていた。

補修板とドラム
缶の間

微量の水分があった。

接着剤に白色化した部分があった。
接着剤の偏りによる接着不良部があった。

 

 

濡れがあった。

液垂れ跡の成分

鉄錆、硫酸イオンおよび137Csが検出された。

鉄錆が検出され、放射能は検出されなかった。

接着剤成分は検出されなかった。

 


<関連画像>

・東京電力の1本目の廃棄体のドラム缶スケッチ

・東京電力の廃棄体内部の固化状態

・中部電力の1本目の廃棄体のドラム缶スケッチ

・中部電力の廃棄体内部の固化状態

・東京電力の廃棄体の液垂れ発生の推定原因

・中部電力の廃棄体の液垂れ発生の推定原因

 


「ホームページ」へ戻る