はじめに
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使用済燃料輸送容器の中性子遮蔽材のデータ改ざんという原子力関係者による不祥事の発生後、当社は、すみやかに社内に「輸送容器問題対策会議」を設置して、必要な情報の解析・共有、当社としての対応の検討などを進めるとともに、社長メッセージ「安全最優先の再徹底について」の全社員への示達と、その意味することについて社長から社員への直接の訓示を実施し、あわせて、各職場において、今回のような不祥事が発生した背景、業務運営にあたっての反省点、未然防止策などについて職場対話をすでに実施してきた。加えて、建設会社や機器メーカーはじめ取引先企業に対しても、当社の安全最優先の考え方について理解・協力を得る働きかけを行ってきたところである。
この問題に対する当社の今後の取り組みについては、上記対策会議において検討を続けており、現時点における対策の方向性は以下のとおりであり、現在検討段階にあるものについても、可能な限りすみやかに実施に移す所存である。
なお、当社としては、昨年3月の動燃東海の再処理工場のアスファルト固化処理施設での火災爆発事故の発生に鑑み、社内に保安防災会議、安全文化推進会議を設置し、施設の安全総点検、防災活動の強化・充実、社員の意識改革、広聴・広報体制の充実などハード、ソフトの両面から対応策を検討し、業務運営に順次取り入れ、推進しているところである。
今回の対策は、いうまでもなく、これら諸対策のうえに、さらに今回の不祥事から得た教訓を重ねて、一体として取り組んでいくものである。
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1. 社員全員の意識改革と社員モラルの向上
−日本原燃行動憲章の制定−
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当社の担務する原子燃料サイクルの確立は、エネルギー資源の乏しいわが国において必要不可欠であるが、その前提条件として「安全」を企業文化の中心に据え、社会から信頼される事業として存立していかなければならない。今回のデータ改ざんという不祥事は、原子力に携わる我々の仲間の倫理観の欠如から起こったものであり、前記の社内職場対話においても、問題発生の原因、背景として、技術以前の「モラル(倫理)」に関する論議がきわめて多くなされたところである。
地域社会からの信頼こそ事業推進の基本の鍵である当社において、こうしたことの起こらないよう、企業そのものの振る舞いや、その構成員たる社員一人一人の意識、行動が社会のルールに反しないことは当然のこととして、より高い次元での道徳観、倫理観をもって行動することのできるよう、骨組みをしっかり固めておくことを、広く社会から、また、県民の皆様、地元の皆様から、強く要請されているとの認識の上に立って、「社員全員の意識改革と社員モラルの向上」を今後全社を挙げて進めていく大きな柱とすることとした。
このような主旨に則り、社員一人一人の行動、意識についての、一つのよりどころとして「日本原燃行動憲章」を制定するとともに、あわせて「行動憲章」の考え方が、継続的に維持されていく仕組みについても、あらかじめこれを設定しておくこととした。
「行動憲章」については、内容の概略はほぼ固まりつつあるものの、さらに細部にわたって詰めるべき点もあるので、今月一杯には正式制定することとする。
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2. 品質保証システムの再点検、改善
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当社は、国際原子力機関が定めた「原子力プラントにおける安全のための品質保証の実施基準」等を参考に日本電気協会において制定された「原子力発電所に対する品質保証指針」に準拠した六ヶ所サイクル施設の品質保証システムを構築し、このシステムに沿った活動を行っている。さらにその上にたって、安全担当(副社長)監査を定期的に実施し、品質保証活動が第一線現場において機能しているかどうか、妥当性をもったものであるか等について評価し、その結果を常務会に報告するとともに品質保証会議による議論などを経て改善を図っている。
今回の問題が惹き起こされた原因として、品質管理、品質保証面での不備が指摘されている。この観点から、当社の品質保証システムに検討を加え、必要に応じて改善を実施し、六ヶ所サイクル施設の安全確保に万全を期すこととした。その意味で「品質保証システムの再点検、改善」を第二の柱として、全社を挙げて取り組んでいく。
最近、産業界全般にわたり、国際的な品質保証に係わる管理システム規格ISO9000により、第三者による審査を受けて、品質保証システムの構築、改善を図るという大きな流れがある。当社においても、従来から行っている社内監査に加え、社外の専門家による客観的評価と評価結果に基づく改善が期待できるISO9000を操業施設を対象に取得することとし、品質保証会議における検討を開始した。
受注者に対する発注者としての管理責任のあり方が問われている点については、受注者の品質保証システム(特に、受注者がさらに下請けに出す場合の管理体制)の妥当性を当社が確認する方法について、安全担当(副社長)監査により再チェックし、一層の充実を図る。
また、不都合な情報が、当社・受注者間で迅速に伝達されるよう、「ものの言いやすい」環境づくりについても一層の充実を図っていく所存である。
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3. その他組織・要員配置などの充実
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組織体制については、平成4年当社発足以来、適宜、その見直しを図ってきたところであるが、今後とも、再処理施設における建設と試運転準備などの事業の進捗を踏まえることはもとより、今回のような問題の未然防止をも配慮した、安全を最優先とする効率的かつ合理的な組織・権限のあり方について検討し、その充実・強化を図ることとしたい。加えて、こうした検討とあわせ、若手プロパー社員の育成等を行い、その体制に相応しい要員の配置の充実に向けて検討を行っていく所存である。
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