JAPAN NUCLEAR FUEL LIMITED

平成10年12月7日

報道関係各位

 

日本原燃株式会社

 

使用済燃料輸送容器デ−タ改ざん問題を踏まえた当社の取り組みについて

 
 

 当社は、このたびの問題の発生以降、社内に「輸送容器問題対策会議」を設置し、これまで検討を重ねてまいりましたが、今般その対応策について、添付のとおり取りまとめましたので、お知らせいたします。

 

以 上

 


<添付>

 

平成10年12月7日

日本原燃株式会社

 

社会の信頼回復を目指して
−使用済燃料輸送容器不祥事問題の反省の上に立って−

 
 

はじめに

  

 使用済燃料輸送容器の中性子遮蔽材のデータ改ざんという原子力関係者による不祥事の発生後、当社は、すみやかに社内に「輸送容器問題対策会議」を設置して、必要な情報の解析・共有、当社としての対応の検討などを進めるとともに、社長メッセージ「安全最優先の再徹底について」の全社員への示達と、その意味することについて社長から社員への直接の訓示を実施し、あわせて、各職場において、今回のような不祥事が発生した背景、業務運営にあたっての反省点、未然防止策などについて職場対話をすでに実施してきた。加えて、建設会社や機器メーカーはじめ取引先企業に対しても、当社の安全最優先の考え方について理解・協力を得る働きかけを行ってきたところである。
 この問題に対する当社の今後の取り組みについては、上記対策会議において検討を続けており、現時点における対策の方向性は以下のとおりであり、現在検討段階にあるものについても、可能な限りすみやかに実施に移す所存である。
 なお、当社としては、昨年3月の動燃東海の再処理工場のアスファルト固化処理施設での火災爆発事故の発生に鑑み、社内に保安防災会議、安全文化推進会議を設置し、施設の安全総点検、防災活動の強化・充実、社員の意識改革、広聴・広報体制の充実などハード、ソフトの両面から対応策を検討し、業務運営に順次取り入れ、推進しているところである。
 今回の対策は、いうまでもなく、これら諸対策のうえに、さらに今回の不祥事から得た教訓を重ねて、一体として取り組んでいくものである。

 

1. 社員全員の意識改革と社員モラルの向上 −日本原燃行動憲章の制定−

 当社の担務する原子燃料サイクルの確立は、エネルギー資源の乏しいわが国において必要不可欠であるが、その前提条件として「安全」を企業文化の中心に据え、社会から信頼される事業として存立していかなければならない。今回のデータ改ざんという不祥事は、原子力に携わる我々の仲間の倫理観の欠如から起こったものであり、前記の社内職場対話においても、問題発生の原因、背景として、技術以前の「モラル(倫理)」に関する論議がきわめて多くなされたところである。
 地域社会からの信頼こそ事業推進の基本の鍵である当社において、こうしたことの起こらないよう、企業そのものの振る舞いや、その構成員たる社員一人一人の意識、行動が社会のルールに反しないことは当然のこととして、より高い次元での道徳観、倫理観をもって行動することのできるよう、骨組みをしっかり固めておくことを、広く社会から、また、県民の皆様、地元の皆様から、強く要請されているとの認識の上に立って、「社員全員の意識改革と社員モラルの向上」を今後全社を挙げて進めていく大きな柱とすることとした。
 このような主旨に則り、社員一人一人の行動、意識についての、一つのよりどころとして「日本原燃行動憲章」を制定するとともに、あわせて「行動憲章」の考え方が、継続的に維持されていく仕組みについても、あらかじめこれを設定しておくこととした。
 「行動憲章」については、内容の概略はほぼ固まりつつあるものの、さらに細部にわたって詰めるべき点もあるので、今月一杯には正式制定することとする。

 

2. 品質保証システムの再点検、改善

 当社は、国際原子力機関が定めた「原子力プラントにおける安全のための品質保証の実施基準」等を参考に日本電気協会において制定された「原子力発電所に対する品質保証指針」に準拠した六ヶ所サイクル施設の品質保証システムを構築し、このシステムに沿った活動を行っている。さらにその上にたって、安全担当(副社長)監査を定期的に実施し、品質保証活動が第一線現場において機能しているかどうか、妥当性をもったものであるか等について評価し、その結果を常務会に報告するとともに品質保証会議による議論などを経て改善を図っている。
 今回の問題が惹き起こされた原因として、品質管理、品質保証面での不備が指摘されている。この観点から、当社の品質保証システムに検討を加え、必要に応じて改善を実施し、六ヶ所サイクル施設の安全確保に万全を期すこととした。その意味で「品質保証システムの再点検、改善」を第二の柱として、全社を挙げて取り組んでいく。
 最近、産業界全般にわたり、国際的な品質保証に係わる管理システム規格ISO9000により、第三者による審査を受けて、品質保証システムの構築、改善を図るという大きな流れがある。当社においても、従来から行っている社内監査に加え、社外の専門家による客観的評価と評価結果に基づく改善が期待できるISO9000を操業施設を対象に取得することとし、品質保証会議における検討を開始した。
 受注者に対する発注者としての管理責任のあり方が問われている点については、受注者の品質保証システム(特に、受注者がさらに下請けに出す場合の管理体制)の妥当性を当社が確認する方法について、安全担当(副社長)監査により再チェックし、一層の充実を図る。
 また、不都合な情報が、当社・受注者間で迅速に伝達されるよう、「ものの言いやすい」環境づくりについても一層の充実を図っていく所存である。

 

3. その他組織・要員配置などの充実

 組織体制については、平成4年当社発足以来、適宜、その見直しを図ってきたところであるが、今後とも、再処理施設における建設と試運転準備などの事業の進捗を踏まえることはもとより、今回のような問題の未然防止をも配慮した、安全を最優先とする効率的かつ合理的な組織・権限のあり方について検討し、その充実・強化を図ることとしたい。加えて、こうした検討とあわせ、若手プロパー社員の育成等を行い、その体制に相応しい要員の配置の充実に向けて検討を行っていく所存である。

 

以 上 

 


 

既に実施中、実施済みの主要な対応策
今回の具体的施策
実施時期

◆ 社内に設置した保安防災会議、安全文化推進会議、品質保証会議において検討し、取り入れたテ−マ

 

(1) 危機管理の観点からみた基礎体力の充実、社内活性化に関する事項

  • 地域とのふれあい、共生意識の一層の充実
  • 若手社員の育成に資する出向者研修の充実

<実施に向け検討中のもの>

  • 年功から業績中心への人事、賃金制度への改変
  • 組織、権限関係事項として縦割り組織の弊害排除、機能的業務分担組織への改編
  • 社会安全、危機管理についての研修の充実

(2) 社会性の向上、トラブル対応に関する事項 

  • 故障・トラブル時における通報ル−トの整備・運用と社外対応時における社内情報連絡体制の充実
  • 日常接触機会を捉えた広聴広報活動の充実と技術系社員による社外との接触機会の拡大
  • 当社ホ−ムペ−ジの活用

(3) 防災活動、事故対応策の強化・充実に関する事項

  • 一斉通報設備の設置
  • 防災活動計画の策定と火災を想定した防災訓練の実施
  • 社外トラブル事例に即した当社施設の点検

(4) 品質保証関連規定類の整備、点検

(5) 社員の技術、技能の向上に関する事項

  • 安全技術文書デ−タベ−スシステムの構築

 

◆ 今回の問題発生後直ちに実施した事項

(1) 社長メッセ−ジ「安全最優先の再徹底について」を全社員に示達(10/14)
 あわせて社長より本社(青森・東京)、六ヶ所本部で直接訓示(10/20,21,23)

(2) 「職場対話」の実施(10/19〜23)

(3) 建設会社、機器メ−カ等に対する当社の安全最優先の考え方の説明と協力依頼
(原燃サイクル工事連絡協議会、安全推進協議会)(10/9,28,30)

1.社員全員の意識改革と社員モラルの向上

年内制定・実施

 

(1) 日本原燃行動憲章の制定

 安全確保、環境保全第一主義の徹底、当社事業の社会的使命、企業モラル・社員モラルの確立、企業の社会貢献、信頼関係の確立をはじめ企業存立の基盤となる重要項目等を定める。

(2) 行動憲章定着化のための措置

  • 社員各層への理解を継続的に深めるための機会の設定
  • 自らが自分の行動をいつも評価できるチェックシ−ト等の作成・運用
  • 異業種企業等との交流を行う等、常に新鮮な視点から会社や自分を見詰め得る機会(研修)の実施

 

2.品質保証システムの再点検、改善

今年度の安全担当監査で実

(1) ISO9000の取得に向けた取り組み
客観的第三者審査により、当社の品質保証システムの一層の改善を図るため、操業施設を対象に取得に取り組む。

(2) 取引先に対する当社の品質保証体制の点検及び充実

  • 発注に当たっての取引先の選定(技術能力評価)、取引先が行う品質保証活動、取引先が更に下請に出す場合の品質保証システム、取引先に対する監査等について取引先として行うべき事項の妥当性を安全担当副社長の監査により点検し、充実・改善を図る。
  • 安全上重要な特殊材料または新技術を採用する場合は、必要に応じ取引先に対し直接監査が行えるよう検討する。

(3) 情報の流れの円滑化

不具合な情報が、当社・取引先間で迅速に伝達されるよう「ものの言いやすい」環境づくりについて、より一層の充実を図る。

 

3. その他組織・要員配置などの充実

来年度から順次実施予定

(1) 六ヶ所本部を中心として、青森と東京の役割分担、職務権限のあり方など組織的課題への対応。

(2) 若手社員の試運転準備業務への重点的投入をはじめ、将来を見据えた要員育成と配置について充実・強化を図る。


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