平成15年3月11日

報道関係各位

日本原燃株式会社

使用済燃料受入れ・貯蔵施設及び再処理施設本体の点検状況について

 当社は、先に報告した「PWR燃料貯蔵プール水漏えいに関する調査結果並びに今後の対応」に基づき、使用済燃料受入れ・貯蔵施設の水路、ピットを含む全てのプールなどについて点検作業を実施しており、2月25日にお知らせしました燃料送出しピット北東壁部の漏えい箇所についても調査を開始しております。
 また、再処理施設本体につきましても、PWR燃料貯蔵プールと同様のライニング構造を持つ貯槽について点検を実施しております。
 今般、これまでの点検ならびに調査の状況について別添の通り取りまとめましたので、お知らせします。

<別 添>

日本原燃株式会社 再処理事業所
使用済燃料受入れ・貯蔵施設及び再処理施設本体の点検状況について

 使用済燃料受入れ・貯蔵施設のPWR燃料貯蔵プール北壁部西側ライニング部からの漏えいは、床面溶接部の不適切な計画外の溶接が原因であることが確認されました。(平成14年12月23日報告済み)
 このため、PWR燃料貯蔵プールと同様のライニング構造をもつ、使用済燃料受入れ・貯蔵施設および再処理施設本体の設備について、点検を行っております。 (添付−1参照)

 以下に、前回報告(2月5日)以降の点検状況について取りまとめましたので報告します。

I.使用済燃料受入れ・貯蔵施設
1.使用済燃料受入れ・貯蔵施設の点検状況

(1)点検状況
(1)詳細表面点検
 引き続きプール・ピット等の詳細表面点検を実施しており、3月1日時点で、全溶接線延長約14kmのうち約8.2km、約57%の詳細表面点検が終了しました。その結果、フェライト量測定が必要なグラインダ痕を753箇所確認しました。(添付−2参照)

(2)フェライト量測定
 上記で確認した753箇所について、2月14日より燃料送出しピットの北東壁部漏えい検知エリア(2月7日に漏えい検知管で出水を確認した箇所)からフェライト量測定を開始し、他の設備についても逐次実施しています。3月1日時点で、44箇所の測定が終了しました。その結果、13箇所において2.5%以上のフェライト量を確認し、他の31箇所については計画外溶接部が無いことを確認しました。(添付−2参照)
 また、喫水部については、そもそも浮遊物等の付着防止を目的に予めグラインダ加工による鏡面仕上げを施してあるため、詳細表面点検を行うことなく対象箇所(1242箇所)全てについてフェライト量測定をすることとしており、3月1日時点で185箇所の測定が終了し、6箇所において2.5%以上のフェライト量を確認し、他の179箇所については計画外の溶接部がないことを確認しました。
 なお、2.5%以上のフェライト量が確認された箇所については、聞取り調査やフェライト量分布測定、超音波探傷検査等による詳細調査を実施し、その結果について専門家の指導も得ながら、不適切な計画外溶接の有無や補修の必要性の有無等について総合的に評価を行います。(添付−3参照)

(2)燃料仮置きピット追加加工溶接部の調査結果
 
12月23日の報告の中で、専門メーカの当時の現場指導員からの聞取り調査により追加加工溶接の情報が得られた燃料仮置きピット(A)壁面の埋込金物部については、追加加工溶接部を研磨したと考えられるグラインダ痕が確認されなかったことを2月5日に報告しました。
 燃料仮置きピット(B)壁面は、当該部と同様な外観構造をもつため、現場指導員の記憶間違いである可能性も考えられたことから、2月27日に(B)壁面の詳細表面点検を実施したところ、グラインダ痕を確認しました。引き続きフェライト量測定を行ったところ、埋込金物の下部に追加加工溶接を行ったと考えられるコの字状の連続した2.5%以上のフェライト量を確認しました。 なお、本件は上記(1)(2)に記載の13箇所に含まれています。(添付−4参照)

 聞取り調査において、燃料仮置きピット(A)で追加加工したとの記憶は必ずしも確実なものではないとの情報や、溶接方法等に関する情報を得ていますが、今後も必要に応じて聞取り調査を実施します。更に、今後実施する超音波探傷検査等の詳細調査結果に関し専門家の指導も得て、健全性を総合的に評価します。

(3)PWR燃料プールの補修状況
 PWR燃料プール水漏えい調査のために切り出した部分の補修については、当該部に係わる設計及び工事の方法の認可を2月14日に得て、2月15日より補修作業を開始しています。
 補修作業については、4月中旬復旧完了を目途に行っています。

(4)その他
 バーナブルポイズン取扱いピット及び補給水槽については3月中旬より、チャンネルボックス取扱いピットについては3月下旬より、低レベル廃液収集槽については4月上旬より詳細表面観察を開始する予定としています。(添付−1参照)
 燃料貯蔵ラック下部床面ライニングプレートの施工に係る品質記録の確認のために行っている、PWR燃料貯蔵プール床面ライニングプレート及び埋込金物の抜取り寸法測定については、1月24日より開始し、3月末終了を目途に行っています。3月1日時点で約52%(120箇所/233箇所)の測定が終了しており、その範囲内では問題のないこと確認しています。

2.燃料送出しピット漏えい箇所の調査状況と今後の対応
(1)調査状況
 燃料送出しピット北東壁部からの出水調査状況については、2月25日に漏えい箇所を特定したことを報告しましたが、現在、当該箇所について、(1)フェライト量分布測定、(2)レプリカの採取による表面状態の観察、(3)超音波探傷検査による漏えい部の内部状況調査、(4)当該部の施工に係わった工事関係者からの聞取り調査を進めています。(添付−5参照)

(1)フェライト量分布測定
 漏えい箇所及びその周辺のフェライト量を測定した結果、フェライト量8%以上の領域が10〜15mm幅で帯状に連続していることがわかりました。(添付−5参照)

(2)レプリカによる表面観察
 レプリカの採取による観察の結果、漏えい箇所は長さ約2.7mm、幅約0.4mmであることがわかりました。(添付−6参照)

(3)超音波探傷検査
 超音波探傷検査の結果、漏えい箇所のライニングプレート内部に欠陥によると考えられるエコーが確認されました。

(4)聞取り調査
 燃料送出しピットの当該エリアの施工に係わった工事関係者から聞取り調査を実施しています。 なお、今のところ漏えいに繋がるような不適切な施工を行ったとの情報は得られていません。今後も当該部の詳細な施工方法等について引き続き聞取り調査を進めます。

(2)今後の対応
 今後、現地における漏えい箇所の調査(レプリカ、フェライト量測定、超音波探傷検査)を踏まえ、当該エリアの施工に係わった工事関係者からの聞取り調査を進めるとともに、燃料送出しピットから水を抜き、当該箇所を切出して、原因究明を行います。

II.再処理施設本体
 再処理施設本体においては、使用済燃料受入れ・貯蔵施設PWR燃料貯蔵プールと同様のライニング構造を持つ貯槽(25基)において、詳細表面点検、フェライト量測定(聞取り調査を含む)を3月末終了目途で実施しています。
 これまでの調査から、低レベル廃液処理建屋のライニング構造をもつ貯槽において計画外の溶接の行われた可能性がある箇所が16箇所あることを2月5日に報告しておりますが、その後調査実施範囲に新たに2箇所確認しました。このため、これまでの調査を実施した箇所についても3月5日より再度点検を実施しています。
 3月7日時点で、フェライト量測定が必要なグラインダ痕を1412箇所確認しており、そのうち520箇所の測定が終了し、41箇所において2.5%以上のフェライト量を確認しました。(添付−7参照)
 今後、2.5%以上のフェライト量が確認された箇所については、聞取り調査やフェライト量分布測定、超音波探傷検査等による詳細調査を実施し、その結果について専門家の指導も得ながら、不適切な計画外溶接の有無や補修の必要性の有無等について総合的に評価を行います。(添付−3参照)
 なお、低レベル廃液処理建屋第1放出前貯槽Bの1箇所については、聞取り調査で
 (1)ライニングプレートの欠陥を補修するために裏面まで至る栓溶接を行った
 (2)据付時に当該箇所のライニングプレート裏側にある位置決め部材を開先寸法調整のために取外した
との情報が得られています。
 今後、栓溶接に至った経緯・原因などを確認するために、当該部を含むライニングプレートの一部を切り出して、位置決め部材の取外しとライニングプレートの補修の関連性を含めて調査を実施します。(添付−8参照)

 


添付−1
再処理施設の点検工程
平成15年3月7日現在


(上の図をクリックすると大きい画像をご覧になれます)

添付−2(1/2)



(上の図をクリックすると大きい画像をご覧になれます)

添付−2(2/2)



(上の図をクリックすると大きい画像をご覧になれます)

添付−3



添付−4



添付−5



(上の図をクリックすると大きい画像をご覧になれます)

添付−6


添付−7



(上の図をクリックすると大きい画像をご覧になれます)

添付−8

以  上


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