平成14年12月23日

報道関係各位

日本原燃株式会社

使用済燃料受入れ・貯蔵施設のPWR燃料貯蔵プール水漏えい
原因調査結果並びに今後の対応について

 当社は、PWR燃料貯蔵プールにおける漏えい原因について、プール底部ライニング溶接部において不適切な施工が行われたことを確認し、国等へ報告しておりますが、その後の原子力安全・保安院から出された漏えいに対する調査指示(11月20日付)も踏まえ、調査を実施してまいりました。
 今般、調査結果に基づき、当該溶接部の貫通原因、不適切な施工に係る事実関係、今後の対応などについて別添の通り取りまとめましたので、お知らせします。
 なお、本件につきましては、本日、国、青森県並びに六ヶ所村に対しましても報告しております。


<別添>

再処理事業所 使用済燃料受入れ・貯蔵施設の
PWR燃料貯蔵プール水漏えいに関する調査結果並びに今後の対応について

 PWR燃料貯蔵プール北壁部西側ライニング部からの漏えいにつきましては、床面の溶接部(熱影響部含む)において確認された漏えい欠陥箇所を切り出し後、10月29日に社外研究施設(日本核燃料開発株式会社)に搬出し、漏えい原因調査を進めていましたが、今般、計画していた調査が終了しました。
 また、その調査の過程で貫通欠陥が確認されたライニングプレートの床面溶接部(以下、D4溶接部と呼称 添付−1参照)には、本来、ライニングプレートと埋込金物が直接溶接(以下、本溶接部と呼称)されるべきところの近傍に、表層のみを溶接し、継ぎ足された部材があることが確認され、11月15日に報告しました。
 その後、11月20日付文書で原子力安全・保安院より指示のありました不適切な施工を行うに至った事実関係の詳細な調査、同様の問題の可能性のある箇所に関する点検計画等の4項目について、調査・検討を進めてまいりましたが、その結果を以下のとおり取りまとめましたので報告します。

1.貫通に至った原因究明
 D4溶接部が漏えいに至った原因を究明するため、現地及び社外研究施設で調査を実施しました。

1.1 現地における調査結果
 D4溶接部全体(約3.5m)について、ライニングプレート内部の欠陥の広がりを把握し、切断位置を決めるために、超音波探傷検査を実施しました。
 その結果、D4溶接部のライニングプレート部のほぼ全長にわたり、有意な指示を確認しました。なお、併せて実施したD4溶接部を除くPWR燃料貯蔵プール北壁部西側ライニング部の床面溶接部では、有意な指示は確認されませんでした。
(添付−1参照)

1.2 社外研究施設における調査結果
 社外研究施設においては、走査型電子顕微鏡観察による、漏えい箇所の表面状態の観察及び放射線透過検査による内部状態の観察結果をもとに、原因調査試験片を切断して調査用サンプルを作成し、以下の調査を進めました。

(1)漏えい欠陥部の形態観察
(1) 断面形態観察
 光学顕微鏡により原因調査試験片(A部)の断面観察を行った結果、継ぎ足し部材があることを確認しました。この継ぎ足し部材とライニングプレートとは、表層のみがごくわずかに溶接された状態にあり(以下、継ぎ足し溶接部と呼称)、この部分に貫通欠陥が生じていることが確認されました。
 また、他の原因調査試験片(B、C、D部)の断面観察においても、A部と同様にライニングプレートと本溶接部との間に継ぎ足し部材が確認され、現地で実施した超音波探傷検査結果を総合すると、D4溶接部ライニングプレート全長にわたり、継ぎ足し部材が使用されていることがわかりました。
 なお、B、C、D部で観察された貫通穴は、再浸透探傷検査前の研削時に表層の溶接部を除去してしまった(1〜2mm程度研削)ことから、当該部位に存在した未溶着部が表面に現れたものと推測されました。
(添付−2参照)

(2) 破面形態観察
 A部を強制破断させ、漏えい欠陥部の開口部破面観察を行った結果、ライニングプレートと継ぎ足し部材の溶接部であったと思われる領域(表面から約0.2mm)が観察されました。さらに、表層(約0.02mm)には延性破面の特徴であるディンプル形状*が確認され、その下層には本溶接時に発生した高温割れと考えられる組織が認められました。
(添付−3参照)

*:強い力で引きちぎられた時できる破面で特徴的に観察される微小なくぼみ。

(2)漏えい欠陥部の成分分析及び硬さ測定
 漏えい欠陥部の継ぎ足し部材の成分分析、硬さ測定及び溶接金属の成分分析によって、
(1) 継ぎ足し部材は、JIS規格のステンレス鋼(SUS304)で、ライニングプレートと同じ材質である
(2) 継ぎ足し部材の硬さは、ステンレス鋼と同等である
(3) 継ぎ足し部の溶接金属材質は、JIS規格の溶接金属(Y308L)であり、本溶接部と同じ材質である

との結果が得られ、材料面では問題のないことが確認できました。

1.3 貫通に至った原因
 現地及び社外研究施設での調査結果を総合すると、貫通に至った原因は、以下のとおりであることがわかりました。

(1)寸法不足となった当該ライニングプレートを現場寸法に合わせるために、継ぎ足し部材を表層のみ溶接した。

(2)当該ライニングプレートは厚み約6mmであるため、床面埋込金物の開先部厚み約4mmと合わせるために、継ぎ足し部(表層のみの溶接部含む)をグラインダ加工により削り込みを行った。

(3)削り込みの結果、継ぎ足し溶接部分は、ごく表面(約0.2mm)のみ溶接された状態となった。

(4)その後、継ぎ足しを行ったライニングプレートと埋込金物の本溶接施工の過程で、約0.2mm残った継ぎ足し溶接部に割れが生じ、約0.05mmまで溶接部の厚みが減少*した。

(5)プールへの水張り後、継ぎ足し溶接部にプール水深さ(約11.5m)による水圧によって引張応力が作用し、徐々にひずみ(粘塑性ひずみ)が増し、約0.02mmの厚みになった時点(水張り後約5年)で破断・貫通に至った。
(添付−4参照)

*:延性破面の特徴であるディンプルが確認された表層約0.02mm(1.2(1)に記載)は、破断・貫通時の厚さと推定され、水圧による歪が生ずる前の厚さは、破断までの絞りを考慮すると、約0.05mmと評価されます。

 

2.不適切な施工に係る事実関係の調査結果
 当該箇所の施工に係った元請会社((株)日立製作所)、その一次下請会社(専門メーカ:大江工業(株))及び二次下請会社の工事関係者に対し、事実関係の聞取りを行うとともに、当時の工事体制や工事記録等の調査を行い、当該作業がどのように行われたか調査しました。
 専門メーカに対しては、特に使用済燃料受入れ・貯蔵施設の施工に関与した監督責任者(現地作業所長、現場指導員を含む)から、このような施工を行うに至った要因等について、また、溶接士全員から、通常と異なる溶接を実施したことはないかについて聞取り調査を行いました。

2.1 不適切な施工を行った事実関係
 聞取り調査、工事記録等の調査及び現地でのライニングプレートの寸法測定等に基づき、当該作業がどのように行われたかに関し、事実関係を調査した結果は次のとおりです。

(1)当該箇所施工の事実関係に係る調査結果
 当時の二次下請会社作業員1名から「深夜残業で研磨作業を実施し、作業終了後、現地作業所長を加えた4名で帰宅した」との情報が得られ、これに基づき作業日報、残業記録等を調査した結果、平成7年12月14日の残業時間帯に当該作業が実施されたものと推測されました。
 当時の現地作業所長を含む4名に対する聞取り調査の結果から、D4溶接部の継ぎ足し溶接は、当該プールの建設当時(平成7年当時)、専門メーカの現地の作業所長が作業員3名(専門メーカ作業員2名、二次下請会社作業員1名)に対して残業を指示し、これら3名により、継ぎ足し溶接(約3.5m)が行われ、溶接後に当該部の研磨及び浸透探傷検査が行われたことと推測されました。
 これらの聞取り調査から得られた情報をもとに当時の関係記録を調査した結果、今回の不適切な施工は、"専門メーカにより行われた開先合せの結果、D4溶接部の開先の寸法が基準を満足していないことがわかりましたが、専門メーカの品質管理部門や元請会社に報告されることなく、専門メーカの現地作業所長の判断により、12月14日(推測)に継ぎ足し溶接が行われました。その後、12月17日、専門メーカの品質管理部門の検査員が開先検査を行った後、12月18日に元請会社による立会い確認が行われ、12月22日に当該部の本溶接が実施された"ものとわかりました。
(添付−5参照)

 当社は当該部に対して浸透探傷検査の結果から表面欠陥のないことを確認していますが、この検査では、表層のみを溶接した不適切な施工が行われていたことを把握できませんでした。

(2)背景要因に係る聞取り調査結果
 専門メーカの当時の現地作業所長に対し、このような施工をするに至った背景要因について聞取り調査を行いました。
 その結果、専門メーカの現地作業所長は、当時の状況に関して、

(1) 作業指示を出した記憶はないが、溶接士等に対し作業指示を出せるのは自分以外にはいないため、自分が指示したはずである。当時の対応を推し量るに、自分の責任範囲の工程に影響しないよう、継ぎ足し溶接を実施したと考える

(2) ライニングプレートの寸法不足は品質管理上の不適合であると考えるが、元請会社へ申し出て対応をとらなければならない認識はなかったと思う

(3) 当該部の継ぎ足し溶接方法については、レ型開先*をとったやり方を指示するはずである。なぜ、このような開先を取らない溶接になったのかは、分からない。このように不十分な溶接方法を故意に実施するような要素はなかった

*:レ型開先 : 片側開先の一つで、開先断面が「レ」の形状となっているもの。

 と述べています。

 本来、開先寸法不良のような品質管理上の不適合が発生した場合は、専門メーカは是正措置に関して元請会社の承認を得ることが品質保証計画書等で規定されています。しかし、開先寸法不良が発生した事実は、元請会社及び当社へ報告されることなく、現地作業所長のみの判断で継ぎ足し溶接を行う指示が出され、表層のみを溶接した不適切な溶接が行われることになったものと推測されます。

(3)ライニングプレート壁面寸法等の実測調査結果
 現地における実測結果からD4溶接部を有するライニングプレート範囲の床面埋込金物とコンクリート壁面間の実際の寸法が、ライニングプレートを切断・加工するための図面に記載された寸法(板取り寸法)より大きいことがわかりました。
 この寸法差は、当該範囲のコンクリート壁面が、約10mm(建築検査の公差の範囲内)プール外側方向にくぼんでおり、これが板取り寸法に反映されなかった結果、切断・加工したライニングプレートに寸法不足が発生したものと考えられます。

2.2 不適切な施工を行うに至った原因
 以上の調査結果から、今回のような表層のみの継ぎ足し溶接が行われていたことを当社が建設時に発見・是正し、あるいは未然に防止することができなかったのは、

(1)当社の品質保証監査は、不適切な施工を防止できるものではなかった。また、当社が実施した検査は、今回のような不適切な施工を発見あるいは牽制するものではなかった

(2)専門メーカにおいて、不適合が発生した場合の措置について決めている管理要領(品質保証計画書等)を守る意識の徹底が不足しており、開先寸法不良のような品質管理上の不適合が生じた際、本来は、専門メーカの現地作業所長は、元請会社に相談して当該ライニングプレートを再製作する等により処置すべきであったが、工程を気にしていたこともあり、個人の判断で、不適切な施工を行った

(3)専門メーカにおいて、不適合の発生を未然に防止するための品質管理上の要領が十分でなかった。
 また、当社は元請会社に、元請会社は専門メーカに対し、不適合発生未然防止についての要領の作成を指示していなかった。
 このため、現場寸法が工場でライニングプレートの切断・加工のための図面寸法に反映されなかった。
(添付−6参照)

 という要因が重なったためであり、これらに対し後述の6項に示す再発防止対策を早急に講じます。

2.3 その他の聞取り調査により得られた情報
 聞取り調査の過程で、D4溶接部を施工した同じ専門メーカで、燃料仮置き・取出しピット施工に責任を持つ当時の現場指導員から、D4溶接部における不適切な施工とは別に燃料仮置きピット(A)壁面ライニングプレートにおいて、当時工場で切断したライニングプレートを現場で切断加工・溶接し、据え付けたとの情報を得ました。
 現場指導員からの情報では、専門メーカの本社及び元請会社(三菱重工業(株))にも伝えられないまま、当人が指示した2名の作業員と当人の合わせて3人により、専門メーカの工場における溶接手法として認定された方法を用いて、現場で両面からライニングプレートの溶接(約30cm)を実施し、溶接した後両面から浸透探傷検査を、さらにその後、真空発泡検査を実施したとのことでした。
(添付−7参照)
 現在、燃料仮置きピット(A)からの漏えいは検知されておらず、かつ情報の内容から当該箇所が漏えいに至るものではないと判断できますが、早急に事実関係を調査・確認いたします。
 なお、聞取り調査の結果では、これ以外に計画外の溶接を行ったとの情報は得られませんでした。

 

3.同様の問題の可能性がある箇所に関する点検計画
 今回の一連の調査により、計画外の溶接施工が行われた上に、その品質に極めて重大な問題があったことが確認されたことへの対応として、設備の安全を確認するため、下記の点検を実施します。

3.1 点検の対象範囲
 ライニングプレートに不適切な計画外の溶接部が存在していたことから、使用済燃料受入れ・貯蔵施設において、ライニングプレート構造をもつ設備  (14基)のプール水等に接する全ての部位に対し、計画外の溶接部が存在していないか点検を実施します。

使用済燃料受入れ・貯蔵施設における点検対象
  ・PWR燃料貯蔵プール
  ・BWR燃料貯蔵プール
  ・BWR/PWR燃料貯蔵プール
  ・燃料仮置きピット(A及びB)
  ・燃料取出しピット(A及びB)
  ・燃料移送水路
  ・燃料送出しピット(斜路(A及びB)を含む)
  ・チャンネルボックス取扱いピット
  ・バーナブルポイズン取扱いピット
  ・チャンネルボックス・バーナブルポイズン取扱いピット
  ・補給水槽
  ・低レベル廃液収集槽

 なお、再処理施設本体については、同様のライニングプレート構造を持つ貯槽(25基)において、貯留する液体が接する全ての部位に対し、計画外の溶接部が存在していないか点検を実施します。

再処理施設本体における点検対象
  ・ハル・エンドピース貯蔵建屋           : 貯蔵プール
  ・低レベル廃液処理建屋              : 第一放出前貯槽等
  ・分離建屋                    : 回収水受槽
  ・チャンネルボックス・バーナブルポイズン処理建屋 : 切断ピット等

3.2 点検体制
 今後は、従来の漏えい原因調査を目的とした体制からプールの健全性確認を目的とした体制に見直し、徹底した点検を行います。
 具体的には、当社社員及び当社が委託する検査専門技術者からなる社長直結の専任チームをつくり、点検を行います。
 点検の結果、問題箇所が発見された場合は、その対策に関して、社外専門家の指導を受けるとともに、点検及び補修作業の妥当性に関しては、点検チームとは独立して設置する品質監査チーム(第三者監査機関を活用)による監査を通して点検内容に客観性を持たせます。
 また、点検内容は適宜公表し、内容の透明性確保に努めます。
(添付−8参照)

 再処理施設本体においても同様に非破壊検査に関する有資格者を含む点検チームにより点検を実施します。

3.3 点検方法
(1)直接的な点検
(1) 詳細表面点検
 今回のような不適切な施工を行った場合には、溶接の痕跡を残さないためグラインダによるライニングプレート表面の研磨が行われており、研磨した表面は他の研磨していない部位とは明らかに異なる光沢のある磨き跡(グラインダ痕*)が残ります。
(添付−9参照)

 このことから、今回の点検においては、使用済燃料受入れ・貯蔵施設における点検対象全ての溶接線(約14km)に沿ってテレビカメラで撮影した画像を記録し、グラインダ痕の有無の判定を容易にするための画像処理技術も活用し、ライニングプレート表面に、他の溶接部までつながっているようなグラインダ痕がないか、確認を行います。
 なお、このグラインダ痕の確認については、D4溶接部並びに再現試験用に製作した試験片において水中で実施できることを確認しています。

*:グラインダ痕 : ライニングプレート表面のグラインダ研磨跡及びグラインダによるテーパ加工部

(2) フェライト量測定
 詳細表面点検において、グラインダ痕が確認された箇所に対して、フェライトスコープ*を用いてフェライト量を測定し、計画外溶接部の有無を確認します。
*:フェライトスコープ
フェライト(磁性体)の量を測定する装置。溶接部にはライニングプレートに対し、より多くのフェライト(磁性体)が存在することから、グラインダ研磨により削り取られた溶接部の存在を確認することができます。

 グラインダ痕が確認された場合及び計画溶接部以外で有意なフェライト量が測定された場合には、元請会社、専門メーカ及び関係者への聞取り調査を行い、継ぎ足し部材の使用の有無を評価します。

(3) 超音波探傷検査
 上記観察及び測定の結果、計画外の溶接部があると判定された場合は、当該部に対して超音波探傷検査を行い、健全性を確認します。

 点検の結果、計画外の溶接部が発見された箇所については、技術的評価を行い、補修が必要な場合には、別途補修要領を定め適切な補修を実施します。
(添付−10参照)

 なお、再処理施設本体については、建設中であることから、気中での表面観察を行い、グラインダ痕の確認をします。疑義のある箇所については、フェライト量測定、超音波探傷検査を実施するとともに、写真、スケッチ等の記録を残します。

(2)燃料貯蔵ラック下部床面ライニングプレートの施工に係る品質管理記録の確認点検
 今回の不適切な施工が行われた壁・床コーナー部ライニングプレートについては、寸法に係る品質管理記録が残されていませんが、使用済燃料貯蔵プールの燃料貯蔵ラック下部の床ライニングプレートについては、臨界管理上埋込金物は極めて高い精度で据付られ、かつライニングプレートの寸法に係る品質管理記録が保管されています。
 これらの品質管理の記録に問題がないことを(1)の直接的な点検に加え、PWR燃料貯蔵プールの床ライニングプレートについて現地における抜取での寸法測定結果により検証します。

3.4 点検の進め方
(1)点検予定
 水路、ピット等を含む全てのプールの点検は、平成15年4月末終了を目途に実施します。
また、同様のライニングプレート構造をもつ貯槽の点検についても、平成 15年4月末終了を目途に実施します。

 さらに、再処理施設本体の点検についても、平成15年3月末終了を目途に実施します。
(添付−11参照)

(2)点検の進め方
 今回実施する詳細表面点検、寸法測定、フェライト量測定及び超音波探傷検査は、水中においても実施できることを確認していることから、水中で実施可能な範囲については、水中治具や水中ロボット等を使用し、水中で点検します。
 なお、使用済燃料の貯蔵されない燃料移送水路及び燃料送出しピットについては、ダイバーも活用し実施します。
 燃料仮置きピット及び燃料取出しピットについては、内部構造物が据え付けられており水中での点検が困難であることから水を抜き、気中点検を行います。(水中点検が可能な壁面については、水抜きと並行して点検を実施)
 同様に、内部構造物が設置されており、水中での点検が困難なチャンネルボックス取扱いピット、バーナブルポイズン取扱いピット及びチャンネルボックス・バーナブルポイズン取扱いピットについても、その区画を隔離・水抜きし、気中にて点検を実施します。
(添付−12参照)

 

4.漏えい箇所の補修計画
 PWR燃料貯蔵プール漏えい原因調査のためにライニングプレートを切り出した箇所については、新しいライニングプレートに張り替え健全な状態に復旧します。
(添付−13参照)
 また、調査のために一時的に切断したプール水循環配管についても、同様に復旧します。
 なお、当該漏えい箇所の補修にあたっては、法令に基づく必要な手続きを行うとともに、適切な施工が実施されるよう、後述の6項に記述する再発防止策を適用するとともに、作業に当社の社員が立ち会う等の管理の下で補修を実施します。

(1)壁・床コーナ部ライニングプレート
 当該ライニングプレート1枚を既設溶接部に沿って切断・撤去します。その後、床面埋込金物を貫通させ試験片を切り出した部分については、モルタルを充填し乾燥の後、漏えい検知溝付きの復旧用プレートを設置し、新たに製作したライニングプレートを溶接します。

(2)壁面ライニングプレート
 新たに漏えい検知溝付きの下地材を設置し、下地材の寸法に合わせ新たに製作したライニングプレートを溶接します。

 

5.安全確保
 点検作業、補修作業にあたっては、これまでの調査同様、施設の安全確保、作業に伴う放射線管理、作業安全管理には万全を期して作業を進めます。
 ダイバーの活用に際しては、プール水中の線量当量率のモニタリング等を実施し、被ばく管理を徹底します。また、潜水服の脱衣場所には汚染拡大防止を図るため、専用のハウスを設置します。

 

6.再発防止対策
平成12年度以降、建設工事における不具合の是正のため、
  ・製作着手前の製作図に係るチェックの強化
  ・製作中の管理の強化
  ・出荷前の製品に係るチェックの強化

 等の品質保証の強化を図ってまいりましたが、ライニングプレート施工時の不適切な施工を行うに至った原因の調査結果に基づき、再発防止に万全を期すために、今後さらに以下の対策を講じます。
 なお、PWR燃料貯蔵プールのライニングプレート施工工事は品質保証の強化を図る前の平成7年度に実施していたものです。

(1)不適切な施工を牽制するための監査内容の充実
 当社は不適切な施工を牽制するため、元請会社が実施する工事期間中に、不適切な施工を発見できるフェライト量測定等の検査*を伴う抜き打ちの監査を実施します。

*:今回の聞取り調査の結果、フェライト量測定の検査が行われていたのであれば、不適切な施工を行なわなかったとの情報を得ており、フェライト量測定は不適切な溶接施工を牽制するのに有効であると考えます。

(2)不適切な施工が判明した場合の契約に基づく措置
 当社は不適切な施工が判明した場合には、被った損害に対して契約に基づき適切な措置を行います。

(3)不適合処理の適正化
 当社は元請会社に対して、不適合が発生した場合の措置について決めている管理要領を遵守し、適正な不適合処理を確実に実施するよう教育し、周知徹底することを指導します。
 また、当社は、同様の指導を下請会社に対して実施するよう元請会社に対して指導します。
 その実施状況を、当社は元請会社に、元請会社は下請会社に対して各々実施する品質保証活動(品質保証監査)において確認します。

(4)不適合の発生未然防止
 今後、同様の工事が行われる場合には、以下の不適合発生の未然防止対策を行います。
 当社は元請会社に対し、現地寸法がライニングプレート切断加工・寸法に確実に反映されるよう、事前確認・反映方法についてその要領を定め実施することを指導します。
 また、当社は、同様の指導を下請会社に対して実施するよう元請会社に対して指導します。
 その実施状況を、当社は元請会社に、元請会社は下請会社に対して各々実施する品質保証活動(品質保証監査)において確認します。


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以  上


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