本年2月1日に確認されたPWR燃料貯蔵プール北壁部西側ライニング部(ステンレス製内張り)からのプール水の漏えいに係る調査については、液体浸透探傷検査で有意な指示模様が確認された箇所についてヘリウムリーク検査を実施した結果、6月28日に漏えい場所を確認しました。
6月28日以降、未検査部分について液体浸透探傷検査を実施しておりましたが、7月2日に検査を終了し、漏えい箇所特定調査を全て終了しました。
今回、これまでの漏えい箇所特定調査結果及び今後の原因調査計画について以下のとおり報告します。
1.漏えい箇所特定調査結果について
漏えい場所を確認した6月28日以降、未検査部分について液体浸透探傷検査を実施しておりましたが、7月2日に終了しました。
検査の結果、指示模様が確認されなかったことから、漏えい場所は6月28日に判明したプール壁面の最下段横方向溶接部の一箇所であることを確認しました。
2.原因調査について
漏えい原因調査、及び茶褐色斑点模様の調査の計画について、専門家の指導を得て、以下のとおり策定しました。
また、調査を進めるにあたっては、引き続き専門家の指導(現地調査を含む)を得て、実施します。
2.1 漏えい原因調査について
(1)漏えい場所の現場調査
(1)外観観察
漏えい場所前面のプール水循環配管を取り外した後、再度、目視及びテレビカメラによる拡大観察を行い、傷、変色、付着物の有無等について調査します。
(2)レプリカの採取
樹脂等を用いて漏えい場所の表面を写し取ることにより、表面での溶接金属の溶け込み状況や亀裂等の損傷状態を調査します。
(2)漏えい場所の切り出し
上記の現場での調査が終了した後、漏えい場所を含めた範囲(たて約450mm×よこ約1450mm)を試験片として切り出し、社外研究施設へ搬出して、調査します。(添付−1参照)
(3)試験片の分析・調査
漏えい場所には、ほぼ一様に微細な穴状模様が確認されていることから、貫通欠陥部を特定した後、貫通欠陥部以外の微細な穴状模様部を先に調査し、それから得られる知見を貫通欠陥部の調査に反映させます。
社外研究施設における具体的な調査は、以下の手順で実施します。
実施にあたっては、各段階の調査結果及び次段階の詳細な調査方法について、専門家のレビューを受けて進めます。
(1)貫通欠陥部の特定調査
a.放射線透過検査及び超音波探傷検査により、漏えい場所における欠陥の広がり等の状況を調査します。
b.ヘリウムガスを用いた発泡検査等により、漏えいの確認された横方向溶接部表面での貫通欠陥部の位置を特定します。
(2)貫通欠陥部以外の微細な穴状模様部の調査
a.光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡により、漏えい場所で確認された貫通欠陥部以外の微細な穴状模様部の形態を調査します。
b.走査型電子顕微鏡及びエックス線分析装置により、元素分析を実施し、材質や不純物を調査します。
(3)貫通欠陥部の調査
a.光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡により、貫通欠陥部の形態を調査します。
b.走査型電子顕微鏡及びエックス線分析装置により、元素分析を実施し、材質及び不純物を調査します。
c.硬度計により、貫通欠陥部及びその近傍の硬さ分布を調査します。
d.ライニング材、下地材、溶接金属及びコンクリートの化学成分分析を実施し、材質及び不純物について調査します。
(4)微生物の分析・評価
微生物腐食の可能性も考慮して、微生物調査を専門とする社外研究施設等において、漏えい場所で採取した付着物及び近傍のプール水を培養したサンプルの分析を実施し、微生物の有無を調査します。
上記の調査結果に基づき、漏えいの原因を特定します。
2.2 茶褐色斑点模様の調査について
プールの水位低下作業が終了し、燃料貯蔵ラックの取り外し・移動が終了した6月19日にプール床面を目視で観察したところ、4月に実施したVT検査時とは異なり、茶褐色模様が散見されました。
茶褐色斑点模様が集中していたPWR燃料貯蔵プール床面の北西コーナー部は、調査のため漏えい箇所特定調査の対象となる床面と堰を設けて隔離し、プール水を残し現状保存していましたが、7月2日にプール水及び床面の付着物を採取し、培養等を実施しています。
今後、微生物調査を専門とする上記(4)の社外研究施設等において、付着物及びプール水を培養したサンプルの分析を行い、微生物の有無を調査するとともに、付着物の元素分析、重量の測定を行い、発生原因について調査します。
当該箇所については、残った水を排出し、付着物を除去した後、床面の状態観察を実施します。観察の結果、窪み等が発見された場合には、痕跡の形状や深さについて、調査を実施した後、液体浸透探傷検査を実施し、健全性を確認します。
3.実施体制
原因調査にあたっては、4月5日報告の実施体制と同様、社長を筆頭とした全社的な対応体制のもとに、専門家の指導を得て実施します。
社外研究施設での調査手順についても専門家の指導を受けて、調査を実施します。
また、当社が策定した調査計画に従い調査が行われていることを、当社社員を社外研究施設に駐在させて確認を行います。
4.安全確保
これまでの調査は、4月5日報告の安全確保対策と同様、施設の安全確保、作業に伴う放射線管理、作業安全管理を徹底して行っており、これまでの作業は支障なく実施されています。今後、実施する作業についても引き続き安全確保には万全を期して作業を進めます。
漏えい場所の切り出しには、防火シートを用いて切り出し時の火花による火災発生防止に努めるとともに、塵埃等の飛散による被ばく防護対策を施し、作業を進めます。
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