平成14年6月27日

報道関係各位

 

日本原燃株式会社

 

使用済燃料受入れ・貯蔵施設のPWR燃料貯蔵プール水
漏えい調査の状況について

 

 当社使用済燃料受入れ・貯蔵施設のPWR燃料貯蔵プール北壁部西側ライニング部からの漏えいに関しましては、引き続き漏えい箇所の特定調査を行っておりますが、先般5月24日にお知らせした以降の調査状況につきまして、別添のとおり取りまとめましたのでお知らせします。
 なお、本報告書につきましては、本日、国、青森県並びに六ヶ所村に対しましても報告しております。

 

 


平成14年6月27日

再処理事業所 使用済燃料受入れ・貯蔵施設の
PWR燃料貯蔵プール水漏えい調査状況について

 PWR燃料貯蔵プール北壁部西側ライニング部(ステンレス製内張り)から確認された漏えいについて、引き続き漏えい箇所の特定調査を行っております。
 これまでのところ漏えい箇所は特定されておりません。
 前回報告日(5月24日)以降の調査状況については次のとおりです。

1.漏えい箇所特定調査の現状
(1)水中における漏えい箇所特定調査
 水位低下作業が6月13日に終了したことから、水中における漏えい箇所の特定調査を終了しました。
 以下にその状況についてとりまとめました。


プールの水位低下作業は2月14日から開始し、放射性物質の飛散防止等の観点から、プール水を床面より約10cm残し、6月13日に終了しました。なお、漏えい箇所特定調査の対象となる床面については、燃料貯蔵ラックの取り外し・移動後、堰を設けて他のエリアと隔離し、堰内部のプール水を6月22日に完全に排出しました。

[1] 水中テレビカメラによる目視検査(VT検査)
 2月4日から2月18日にかけ、プール水循環配管等により狭隘となっている箇所を除く溶接部についてVT検査を実施しました。
 また、狭隘部の溶接部については、4月4日から4月19日にかけVT検査を実施しました。
 これらの結果、打痕等明らかな欠陥は確認されませんでした。
(添付−1(1/2)その1参照)

[2] 漏えい区域の絞り込み調査(シール箱検査またはシール板検査)
 狭隘部を除く溶接部(縦方向溶接線:8本、横方向溶接線:1本)については、2月12日から4月3日にかけシール箱検査を実施した結果、漏えい水量の有意な減少又は停止はなく、漏えい箇所の絞り込みには至りませんでした。
 狭隘部の溶接部については、4月9日からシール板検査を実施していましたが、4月14日に2箇所同時にシール板検査を実施中に、漏えい検知管からの出水が停止したため、シール板検査を中断し、出水回復作業を実施してきました。
 出水は、プールの水位低下作業が終了した6月13日まで回復せず、出水停止までに全調査対象箇所の76%を調査しましたが、漏えい箇所の絞り込みには至りませんでした。 (添付−1(2/2)その2参照)

(2)気中における漏えい箇所特定調査
[1] 燃料貯蔵ラックより上面での調査
 気中での液体浸透探傷検査は、プールの水位低下作業により気中に出た北壁部西側ライニング部の溶接部及び母材部に対して4月10日から開始し、6月2日までに燃料貯蔵プール内に設置された燃料貯蔵ラック上端面より上の接近可能な壁面について終了しました。溶接部には指示模様は確認されず、母材部には一部指示模様が確認されましたが、真空箱検査注)で発泡がないこと及び詳細表面観察等の結果、漏えいに繋がるような有意な欠陥ではないことを確認しました。

注)真空箱検査:絞り込まれた漏えい箇所に対して箱を密着させ、箱の内部を負圧にし、塗布した石鹸水の発泡の有無を確認することにより、漏えい箇所を特定する検査。

[2] プール下部での調査
 プール水排出完了後の6月23日に、プール下部の床面から順次液体浸透探傷検査を開始したところ、4月14日に出水が停止した際のシール板検査実施箇所(2箇所)のうち1箇所について、6月24日に液体浸透探傷検査により指示模様が確認されました。引続き真空箱検査を実施したところ発泡が見られなかったことから、気中でデジタル顕微鏡により詳細観察した結果、微細な穴状模様が確認されました。
(添付−1(2/2)その3、添付−2、3参照)
 この微細な穴状模様が確認された箇所において、漏えい場所を確認するため、透過性の高いヘリウムガスを用いた漏えい確認検査(ヘリウムリーク検査)を実施準備中です。
 なお、現在のところ、液体浸透探傷検査による指示模様は、上記箇所以外は確認されていません。

 4月14日の出水停止以降、出水回復作業にも係わらず出水が回復しなかった原因として、シール板を密着させたことにより浮遊物等が強く付着し、出水を停止させた可能性が考えられます。
 このことから、真空箱検査で発泡が確認されない場合でも、液体浸透探傷検査で指示模様が確認され、表面の詳細観察の結果、有意な欠陥が確認された場合は、ヘリウムリーク検査を実施することとしました。

 6月26日現在の液体浸透探傷検査の進捗率は65%です。
(添付−1(2/2)その3参照)

[3] プール床面での茶褐色斑点模様について
 プールの水位低下作業が終了し、燃料貯蔵ラックの取り外し・移動が終了した6月19日にプール床面を目視で観察したところ、4月に実施したVT検査時とは異なり、茶褐色の斑点模様が散見されました。
(添付−4参照)

 茶褐色の斑点模様は、PWR燃料貯蔵プール床面の北西コーナー部に集中しています。北西コーナー部は、今後の調査のため漏えい箇所特定調査の対象となる床面と堰を設けて隔離し、プール水を残して現状保存しています。
 茶褐色の斑点模様の一部については、表面付着物を除去し観察した結果、母材部及び溶接部表面に付着物の痕跡や影は見られるものの、有意な欠陥は認められませんでした。
(添付−5参照)
また、当該箇所の液体浸透探傷検査においても指示模様は確認されませんでした。                     


2.今後の予定
(1)液体浸透探傷検査
 引き続き残りの未検査部分に対してプール下部から液体浸透探傷検査を実施します。

(2)漏えい箇所の絞り込み及び特定調査
 液体浸透探傷検査で指示模様が確認された箇所については真空箱検査を実施し、漏えい箇所の特定を行いますが、真空箱検査による発泡が確認されない箇所については、目視やデジタル顕微鏡等により詳細表面観察を実施します。
 詳細表面観察の結果、有意な欠陥と認められる場合は、ヘリウムリーク検査により漏えい場所の確認を行います。
 なお、これらの漏えい箇所特定調査が終了するのは7月上旬の予定です。


3.原因調査
 調査計画、調査状況の全般について専門家の指導を踏まえ、微生物腐食の可能性も考慮して5月下旬から6月中旬にかけてシール板検査で出水が停止した場所の溶接部の付着物や近傍の水等をサンプリングし、培養等をしています。
 また、微細な穴状模様及び茶褐色の斑点模様についても専門家の指導を得て、詳細な調査を実施します。
 漏えい箇所が特定された場合には、現場で外観観察による傷・欠陥等の確認をした後、当該部のレプリカ(表面の状態を樹脂等を用い写し取ること)により、溶接金属の溶け込み状況や損傷状態を調査します。
 その後、当該部を切り出し、社外研究施設において、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡による欠陥部の観察及び元素分析等を行い、欠陥の状態や不純物の有無等について調査・検討し、徹底した原因の究明を行います。


4.安全確保
 上記調査は、4月5日報告の安全確保対策と同様、施設の安全確保、作業に伴う放射線管理、作業安全管理を徹底して行っており、これまで作業は支障なく実施されています。引き続き安全確保には万全を期して作業を進めます。
 また、プール水の漏えい確認後、以下のとおり監視強化に努めています。
 (1)プールの安全確保に係る当直による24時間連続監視(制御室)
 (2)当直による全漏えい検知管パトロール(3回/日)
 出水が確認されている検知管の現場での24時間連続監視については、6月22日に漏えいに係わる部位のプール水の排出が終了したことから、6月23日に取り止めました。

以 上



 


 


添付−3



 

以 上

 

 

 


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