平成14年4月5日

報道関係各位

日本原燃株式会社

使用済燃料受入れ・貯蔵施設のPWR燃料貯蔵プール水
漏えいに関する対応状況について

 当社使用済燃料受入れ・貯蔵施設のPWR燃料貯蔵プール北壁部(西側)ライニング部からの漏えいに関しましては、施設の安全性とともに、作業者の安全を確保しつつ、全社的な体制でその対応に取り組んでいるところであります。   
 今般、これまでの対応状況と今後の取り組みにつきまして、別添のとおり取りまとめましたのでお知らせいたします。
 なお、本報告書につきましては、本日、国、青森県並びに六ヶ所村に対しましても報告しております。


平成14年4月5日
日本原燃株式会社

 

再処理事業所使用済燃料受入れ・貯蔵施設の
PWR燃料貯蔵プール水漏えい調査状況と今後の対応について
(概要版)

1.はじめに
 PWR燃料貯蔵プール北壁部西側ライニング部(ステンレス製内張り)からの漏えい調査および漏えい検知装置に係る運用方法の改善について、以下のとおり報告します。

2.プール水漏えい箇所の特定と原因究明について

2.1 漏えい箇所の特定の進め方について
 漏えい箇所の早期発見・早期復旧のため、漏えいの起きている可能性の高い溶接部およびその周辺部の水中での調査を優先して進めています。
1)水中テレビカメラによる目視での欠陥の調査(VT検査)
2)漏えい区域の絞り込み調査(シール箱検査またはシール板検査)
3)漏えい箇所を特定する調査(真空箱検査)
 漏えい箇所を確実に発見するため、水中での調査と並行して水位低下の作業を進め、気中に出たライニング部全面に液体浸透探傷検査を実施し、有意な傷が認められた場合は、真空箱検査で貫通欠陥であるかの確認を行います。

2.2 漏えい箇所特定調査の現状について
 現在までに、水中における溶接部についての調査が、狭隘部を除き終了しました(全溶接線の74%)が、漏えい箇所の特定に至っていません。
 なお、漏えい箇所特定作業を開始してからも、漏えい検知管からの出水は断続的に続いていますが、4月4日時点での出水量は80cc/hr程度となっています。

2.3 漏えい箇所特定調査の今後の予定について
 今後は、残された狭隘部の溶接部を対象とした水中調査(VT検査、シール板検査)は5月中旬終了を目途に進め、気中に出たライニング部全面を対象とした調査(液体浸透探傷検査、真空箱検査)は8月上旬終了を目途に進めます。

2.4 漏えい原因究明について
 漏えい箇所特定後に実施する原因調査を効率的かつ確実に進めるため、あらかじめ網羅的に漏えい要因((1)材料欠陥、(2)溶接欠陥、(3)機械的損傷、(4)腐食)を抽出する検討を進めています。 
 漏えい箇所の特定後は、必要に応じ社外の研究施設において欠陥部の光学顕微鏡等による観察・分析により、徹底した原因の究明を行うことにしています。

2.5 実施体制について
 社長を筆頭とした全社的な対応体制のもとに、計画の立案および調査、対策にあたっては、学識経験者などからなる社外専門家の評価も受けつつ、施設および作業員の安全確保を最優先にして対応にあたっています 

2.6 安全確保対策について
 プール水の漏えい確認後、検知水の変動や新たな検知水の出水を速やかに把握するために、出水が確認されている検知管を24時間連続監視するとともに、全ての検知管に対する巡視頻度を増やす等、監視強化に努めています。
 また、漏えい箇所特定に係る作業に関し、保安規定に基づき施設の安全管理、作業者の被ばくの低減などの放射線管理を行うとともに、当社社員が毎日現場立会いを行うなど作業安全管理に万全を期しています。

3.漏えい検知装置に係る運用方法等の改善について
  平成13年7月10日より始まった漏えい検知装置からの出水に関し、例年発生していた結露水であると考えていたこと、および検知水の分析結果に対する評価方法が確立されていなかったことから、調査開始の公表までに長期間を要しました。このため、以下の2点に関し漏えい検知装置の運用方法等の改善を図ることとします。

3.1 結露水発生の抑止について
1)空気の流れを引き起こす燃料貯蔵プールエリア(地上1階)と漏えい検知装置設置エリア(地下3階)との空気差圧を解消するために換気系の調整を行っています。(平成14年4月終了目途)
2)建屋コンクリートとライニングとの隙間への空気の流れ込み防止のためにシール材で間隙をふさぐ恒久対策を行っています。(平成14年4月終了目途)

3.2 漏えい検知水出水時の判定方法について
 今後、漏えい検知装置での警報発報等により出水が確認された場合は、早期にプール水の漏えいであるか否かを判断するため、今回定める判定手順に従って対応します。その結果以下の条件が全て満たされた場合、漏えいの疑いありと判断し、関係箇所へ通報するとともに公表します。
1)検知水のサンプリング・分析の結果、放射能が検出されること。
2)検知水のサンプリング・分析の結果、ホウ素濃度がプール水に含まれるホウ素濃度と同等に検出されること。
3)真空ポンプによる強制吸引後も出水が継続していること。
 また、漏えいの疑いがありと判断すれば、速やかにトレーサ試験を行い、その結果についても関係箇所へ速やかに連絡するとともに公表します。

以 上

 

 

 


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