2013年12月19日


社長記者会見挨拶概要

 本日は、昨日施行された新規制基準に伴う当社施設の対応についてご説明させていただきます。(資料1資料2資料3
 このたび、新基準適合に向けた対策の検討が終了し、また、11月6日に原子力規制委員会から「新基準の適用の考え方」が示され、再処理施設につきましては、新基準への適合確認の完了がしゅん工の条件となることから、新しいしゅん工時期をこれまでの計画から1年延期して、「2014年10月」に変更することといたしました。
 しゅん工までの工程についてご説明いたしますと、「①新基準適合に係る審査」につきましては、原子力発電所の申請時に想定した審査期間と同程度の6ヶ月とさせていただきました。
 是非、効率的な審査をお願いするとともに、当社といたしましても、基準地震動や自然現象など、原子炉施設と共通する事項につきましては、極力その審査結果を反映するとともに、申請後の個別審査において求められるであろう説明資料などにつきましても事前に準備を進め、万全の体制で臨みたいと考えております。

 次に、「②新基準を踏まえた対策工事」につきましては、その全てについて、現在、工事の準備を進めており、一部の工事を除いて、審査期間中には完成できる見込みです。また、可搬式設備につきましても配備を完了できる見通しです。ただ、どうしても適合申請の認可後に実施せざるを得ない工事もあることから、全体の工事工程を申請後10ヶ月、認可後の工事工程を4ヶ月とさせていただきました。
 なお、③ガラス固化施設の使用前検査や、その後のアクティブ試験報告書の審査につきましては、申請認可後、速やかに実施いただけるものとして工程に織り込んでおります。
 新基準への対応とはいえ、結果として、しゅん工時期を再び延期することになり、残念ではありますが、安全を原点に戻って基本から再確認する大きな機会と捉え、全社をあげて取り組んでまいる所存です。

 次に、具体的な対応について、施設ごとにご説明させていただきます。まず、「再処理施設」について申し上げます。
 図に示しましたとおり、新基準では、従来の「自然現象」や「火災・爆発」、あるいは「地震」などについて基準が強化されるとともに、新たに「重大事故対策」や「溢水による損傷防止」などの対策が求められることになりました。

 「①の重大事故対策」につきましては、従来の設計で想定していた事故を超えて発生する事象、例えば「セル内の臨界事故」など、7つの事象を重大事故対策を講じる対象として、表にありますとおりの対応策をとることといたしました。なお、これらの可搬式設備については、既にすべて発注済であります。

 「③の溢水による損傷の防止」ですが、万一、施設内の機器や配管が破損したり、地震の揺れなどで使用済燃料プールの水が溢れた場合に備え、安全上重要な設備を保護するために、防水板や防水扉などを設置することとし、これらについても工事の手配を進めております。

 続きまして、「⑤外部からの衝撃による損傷の防止」ですが、その1つの事例として、六ヶ所地域で想定される最も大きな竜巻への対応として、例えば、安全冷却水系の設備のように屋外に設置している安全機能を有する設備については、鋼鉄製の防護ネットなどを設置することにいたしました。

 次に、「⑦地震による損傷の防止」についてご説明いたします。
 新基準では、最新の知見などを踏まえ、特定震源による地震と震源を特定せずに策定する地震に基づいて基準地震動Ssを策定することが求められておりますので、改めて敷地周辺における活断層を調査するとともに、最近の地震発生状況等を反映いたしました。
 具体的には、特定震源による地震動については、プレート間地震として「2011年東北地方太平洋沖地震」を踏まえ仮想的にマグニチュード9クラスの地震を想定、海洋プレート内地震としては、地震規模の大きい2011年宮城県沖の地震(マグニチュード7.2)と同様の地震が敷地周辺で発生することを想定して評価を行うとともに、震源を特定せず策定する地震動についても、新規制基準における「震源近傍の地震観測記録を収集し、敷地における地震動を設定する」という考え方に基づき評価を行いました。
 その結果、2006年耐震安全性評価時の基準地震動である、450Gal以内におさまる評価結果となりましたが、さらに安全上の裕度を考慮し、評価上の基準地震動Ssには600Galを用いることといたしました。
 なお、変更した基準地震動Ssをもとに既設設備の耐震性について詳細に影響評価を行った結果、従来の耐震設計で最も厳しい要求が求められるSクラスの機器については、耐震安全性を確認し、耐震補強は不要と考えております。また、新規制基準への適合のため、Sクラスに追加となる機器につきましては、一部、耐震補強を行う予定です。

 また、お手許の資料4資料5のとおり、当社はこれまで自主的に敷地周辺陸域や敷地内の断層調査を実施してまいりました。その結果、いずれの調査につきましても、これまでの評価結果を覆すような変更はありませんでした。

 次に、「廃棄物管理施設」、いわゆる海外からの返還ガラス固化体の貯蔵管理施設についてご説明いたします。
 図に示しましたとおり、新基準では、「核燃料物質の臨界防止」などが追加されましたが、ガラス固化体は、もともと含まれる核分裂性物質の量が少ないため臨界に至る恐れはないことから、新たな対策は不要と考えております。
 なお、基準地震動が600Galに変更されても、既設設備で対応が可能であることから、耐震補強は不要であります。

 「③外部からの衝撃による損傷の防止」につきましても、自然現象、例えば、竜巻に対しましても補強は不要と考えております。

 次に、「ウラン濃縮施設」についてご説明いたします。
 新基準では、「重大事故等の拡大防止」などが追加されたため、今後、六フッ化ウランの漏えいに対する対策として、既に整備している防護服や閉止処置用の治具などについて、一層の拡充を行うこととしております。
 なお、地震につきましては、耐震安全性を再評価した結果、新基準に適合できることから、耐震補強は不要であり、新基準に伴う対応工事もありません。

 次に、「MOX燃料加工施設」ですが、新基準の内容は再処理施設とほぼ同様であります。
 なお、「重大事故対策」が新たに盛り込まれましたが、「臨界」および「閉じ込め機能喪失」について評価した結果、重大事故に至る可能性はなく、対策は不要と考えております。
 MOX燃料加工施設は現在建設中でありますので、まずは適合のための変更許可申請の後、工事の進捗にあわせて、段階的に設計及び工事の方法の認可(設工認)の手続きを行ってまいります。

 最後に、「低レベル廃棄物埋設施設」についてご説明いたします。
 新基準では、「地下水の水位等の監視設備」が追加されることとなりましたが、いわゆるバックフィットの対象ではなく、既に許可を取得している設備への新基準の適合は求められておりません。
 なお、埋設規則の改正に伴い、「定期的な評価」が求められましたので、今後、保安規定の変更認可申請を行う予定です。

 以上が各施設における新規制基準への対応であります。
 なお、新基準に適合するための、国への事業変更許可等の申請にあたりましては、本日、安全協定に基づく事前了解願いを青森県と六ヶ所村に提出させていただき、ご了解をいただいた後に申請したいと考えております。

添付資料
資料1:新規制基準施行に伴う六ヶ所サイクル施設における対応について【概要】
資料2:新規制基準施行に伴う六ヶ所サイクル施設における対応について【詳細版】
資料3:新規制基準を踏まえた基準地震動Ssの変更について
資料4:敷地周辺陸域の地質・地質構造に関する調査結果について
資料5:敷地内におけるトレンチ調査等の結果について
以上