日本原燃
2009年12月24日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は、年末のお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 まず、「固化セル内の復旧に向けた作業状況」について申し上げます。
 既に皆さまにはご説明をさせていただきましたが、10月22日に確認されました高レベル廃液の漏えいの原因と再発防止対策を取りまとめた報告書を今月22日に国に提出し、青森県、六ヶ所村などにも報告をさせていただき、中断していた固化セル内の洗浄作業を昨日再開いたしました。
 現在は、ブスバーという電源設備の洗浄を慎重に進めておりますが、洗浄自体は年内に終了する予定であります。
 その後、残っている固化セル内の機器点検を実施するとともに、原料供給器の取り付けなどの諸準備を進めた後に溶融炉を熱上げし、炉内のレンガ回収、そして、炉内ガラスの抜き出しの作業を実施いたします。現時点では、レンガの回収時期は2月頃になるものと見込んでおります。

 また、これからやるべきことを確実に進めるために、先を見据えた取り組みを行っております。
 例えば、レンガ回収のための装置の改良と訓練であります。炉底部に落下したレンガの状態を様々な温度、位置や大きさで想定し、これまで、レンガ回収装置の改良を重ねてまいりました。現在、この装置による回収の習熟訓練を積み重ねているところであります。
 また、炉内残留物の除去装置の開発にも継続して取り組んでおり、かなりの作業効率向上が見込めるようになってきております。
 さらに、11月に熱上げを始めた東海村にあるKMOC(実規模試験施設)では、今月9日から「模擬廃液」を用いた試験を開始し、近々、年明けになると思いますが、白金族元素を含んだ「高模擬廃液」を用いた試験を開始する予定であり、概ね順調に進んでおります。アクティブ試験に万全を期すため、予め評価した運転パラメータをしっかりと確認してまいります。

 次に、今年一年を振り返らせていただきますと、まず、当社事業に関しましては、再処理事業では何と言っても、高レベル廃液の漏えいに伴う固化セル内の復旧作業に全力で取り組んだ一年でありました。
 そうした中、兒島前社長が病に倒れ、社長が交代となり、その直後に、しゅん工時期を来年10月へ変更しました。まさにこれから正念場を迎えることとなりますが、県民の皆さまのご期待にお応えできるよう、安全を最優先に一つひとつ着実かつ確実に取り組んでまいる所存であります。
 濃縮事業につきましては、新型遠心機の導入に向けた動きとして、新型遠心機と置き換える既設遠心機の内部に付着しているウランの回収作業に着手するとともに、新型遠心機の製造拠点となる「濃縮機器製造施設」の建屋が10月に完成するなどの進展がみられました。平成23年9月の新型遠心機の導入を目指してまいります。
 また、MOX燃料加工につきましても、来年5月の着工、そして、平成27年6月のしゅん工を目指し、諸準備を進めてまいります。

 次に、地元企業の皆さまとのかかわりについて申し上げますと、4年前(平成18年)と比較し、再処理工場の設備点検における地元企業の参入会社数は25社から60社へ約2.5倍に増え、作業従事者にしめる県内出身者の割合は当初の3割から4割強へと1割強増えております。
 これは、平成18年以降、「メンテナンス見本市」、「予備品倉庫見学会」、「原子力メンテナンス マッチングフェア」を開催してきた成果のあらわれと受け止めております。
 今年10月からは、新たに、当社の敷地内にある保修訓練施設を活用して青森県中小企業団体中央会等主催の実技研修が本格的に開始されており、これまでに合計12回開催され、参加者からは「メンテナンス業務の実技を体験し、今後に弾みがついた」などの意欲的な声が寄せられております。
 将来の設備点検においては、地元の方々に携わっていただく割合を徐々に8割程度まで高めてまいりたいと考えており、地元企業の皆さまのビジネスチャンスはますます拡がるものと考えております。
 私どもといたしましては、今後とも、地元発注の拡大、地元雇用の確保といった地域の一員としての使命をしっかりと受け止めて、取り組んでまいります。

 最後になりましたが、今年は、日米両国で新政権が誕生するなど、様々な変化がみられた大きな節目となる一年でありましたが、こうした転換期に、三村知事が原子力・科学技術を担当する5人の閣僚にお会いになり、原子燃料サイクル政策の堅持を確認していただいたことは、私どもといたしましても大変心強く、とても意義のあることと受け止めております。
 そして、このような中で、九州電力・玄海原子力発電所3号機において、プルサーマル発電が開始されたことは、エネルギ−の安定供給上大きな意義があるものであります。
 私どもといたしましても、原子燃料サイクルの中核をなす再処理工場の来年10月のしゅん工に向けて、全力で取り組んでまいる所存であります。
 今年1年間、本当にありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 
以上

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