日本原燃
2009年6月29日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は、「ガラス溶融炉の復旧に向けた作業状況」と、「平成20年度の決算の概要」について申し上げます。

 まず、「ガラス溶融炉の復旧に向けた作業状況」について申し上げます。
 固化セル内にあって、廃液が付着した機器ならびに配管の洗浄作業等に使用するパワーマニピュレータにつきましては、動作不良がしばしば発生するようになったため、先月下旬から詳細な点検を進めてまいりました。その結果、同マニピュレータの上げ下げの時に用いる昇降用チェーンの一部に磨耗が確認されましたので、同チェーンの交換を行いました。また、その他の部品についても交換や修理等、必要な対応を実施した上で、同マニピュレータの動作確認等を行っております。
 セル内の全ての作業の手足となるパワ−マニピュレータが復旧した後、洗浄のための諸準備が整い次第、「保修作業実施計画書」に基づき、安全の事前確認をきちっと行った上で、廃液が付着している電源のブスバーならびにその付近について、洗浄作業を再開する予定であります。 
 そして、同作業終了後に絶縁抵抗値の回復等、効果が得られたことを確認する一方、廃液から蒸発した硝酸成分による影響が懸念されるところのうち、残りの2割程度の箇所の点検を鋭意進めてまいる所存であります。
 こうした全ての確認・点検を完了し、諸準備が整い次第、溶融炉を加熱し、ガラス溶融炉の底部に落下しているレンガの回収と、残留ガラスの流下を実施する予定であります。今は、それに向けて、レンガ回収用の新規開発の治具を使ったモックアップ試験ならびに訓練を実施しているところであります。
 一方、不溶解残渣を含む廃液を処理する場合の運転方法の更なる追求・検討につきましては、東海村の小型溶融炉を用い、何種類もの成分構成の模擬廃液を使った調査を進めてまいりましたが、その結果について分析を重ね、多くの知見を得ているところであります。また、ガラス溶融炉のレンガ落下の原因等についても、全力を挙げて究明に取り組んでいるところであります。
 そうした分析や検討の現状につきましては、明後日に当社六ヶ所再処理事業所で開かれる、国の「核燃料サイクル安全小委員会および再処理ワーキンググループ」でご説明させていただく予定であります。
 次に、皆さまご存知のとおり、今月17日には東京で「核燃料サイクル協議会」が開催され、私も陪席をさせていただきました。
 三村青森県知事は協議会の席上、河村官房長官をはじめ政府閣僚に対し、核燃料サイクル政策については政府一体となって中長期的にブレない、確固たる国家戦略として取り組むことや、プルサーマル計画を着実に推進すること、更には青森県を高レベル放射性廃棄物の最終処分地にはしないことについて確認をされました。
 これらに加え、六ヶ所再処理施設のアクティブ試験については、国内外の知見を総動員してじっくり腰を据えて取り組むこと等、4項目にわたる要請がありました。サイクル事業の経営を預かる者としては、まさに身の引き締まる思いがいたしました。同時に、三村青森県知事からのご要請を真摯に受け止め、速やかに社内への徹底を図るとともに、関係者を集めて対応について検討を始め、議論を重ねているところであります。
 今後、内容をしっかりと詰めた上で、来月には三村青森県知事へご報告をさせていただきたいと考えております。
 また、先月1日に三村青森県知事からご指示を頂戴した、第三者機関による評価・監査につきましては、「日本原子力技術協会」による第2回調査が今月10日〜11日の2日間にわたって行われました。「ロイド・レジスタ−・ジャパン」による監査についても、先週22日〜26日にかけて行われました。これらの評価・監査につきましても、結果がまとまり次第、三村青森県知事にご報告する予定であり、同時に皆さまにもお知らせしてまいる所存であります。
  このように、今はなすべきことを一つ一つ積み重ね、あせらず、しっかりと着実に進めてまいる所存であります。

 次に、「平成20年度の決算の概要」について申し上げます。
 まず、具体的な収支のご説明に入る前に、各事業の当期の状況について一言ずつ触れさせていただきます。
 再処理事業では、前期に続いて第2回目の電力各社への再処理製品の引渡しを行ったほか、391トンの使用済燃料の受入れを実施いたしました。
 また、廃棄物管理事業では、既に受け入れている累計1,310本の海外返還ガラス固化体について安定した管理を行うとともに、ウラン濃縮事業では、33トンの製品ウランの引渡しを行いました。そして、廃棄物埋設事業では、10,232本の廃棄体を受入れました。
 収支の状況については、「売上高」は3,054億円となり、前期に比べて150億円の「増収」となりました。その主な要因は、使用済燃料の受入量の増加や、濃縮事業での製品ウランの引渡量の増加、そして埋設事業での低レベル廃棄体の受入量の増加等であります。
 次に、「売上原価」については、2,674億円となり、前期に比べて261億円の増加となりました。売上原価増加の主な要因は、再処理工場の設備の定期点検費用が増加したことや、濃縮事業における製品ウランの引渡し量の増加に伴いまして、製造費用が増加したこと等であります。
 結果として、「売上総利益」は前期比110億円減の379億円、「販売費及び一般管理費」を差し引いた「営業利益」は前期比114億円減の186億円、更に「営業外損益」を反映した「経常利益」は44億円となり、前期に比べ38億円の減益となりました。
 一方、特別損益につきましては、新型遠心機へのリプレ−スに伴う濃縮バックエンド費用について、19年度に引当計上いたしましたが、更なる効率化が見込まれたことから、その一部について費用の見積りを見直し、17億円を取崩して「特別利益」に計上しました。また、設備更新に伴う除却費用等15億円を「特別損失」として計上しました。以上の結果、「当期純利益」は45億円となったものであります。
 今後も、「安全を全てに優先」した事業運営に取り組み、安全基盤そして経営基盤の更なる強化に努めてまいる所存であります。

 
以上

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