日本原燃
2009年5月28日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は、「ガラス溶融炉の復旧に向けた作業状況」と、「より多くの白金族元素を含む高レベル廃液にも対応できるガラス固化技術の向上・開発に向けた取り組み」、そして、「安全基盤強化に向けた全社アクションプランの展開状況」について申し上げます。

 まず、「ガラス溶融炉の復旧に向けた作業状況」について申し上げます。
 固化セル内にある廃液が付着した機器、ならびに、配管等を洗浄する作業は、クレ−ン等に不具合が発生したために3月9日以降中断し、その復旧に取り組んでまいりました。
 その結果、一方のクレーンについては5月15日に復旧をいたしました。しかし、もう一方のクレーンでありますパワ−マニピュレ−タについては、動作不良が発生する間隔が短くなったため、先週から更に詳細な点検を実施し、原因を調査いたしております。 
 一方、今後の洗浄作業再開に向けて、固化セルの壁にある貫通プラグの隙間充填に使用しているシ−ル材を、念のため、より信頼性の高いチタニウムパテに塗り替えるという工事は、既に完了をいたしております。
 今後は、パワ−マニピュレ−タの点検が終了し、準備が整い次第、洗浄作業を再開いたします。そして、洗浄作業終了後にその効果が得られたことをしっかりと見極めてまいります。また、廃液から蒸発した硝酸成分による影響が懸念される箇所について、全て点検を完了いたします。その後に溶融炉を加熱し、ガラス溶融炉の底部に落下したレンガの回収とガラスの流下を実施する予定であります。
 また、現在、不溶解残渣を含む廃液の運転方法について検討を重ねておりますが、その一環として小型溶融炉試験等により、不溶解残渣の物性や溶融炉内での挙動について調査を進めております。加えて、廃液を貯蔵しているタンクから実際に採取した不溶解残渣の性状等について、日本原子力研究開発機構で更に詳しい分析をしていただいているところであります。
 私どもは、こうした分析・調査を通じ、最適な運転パラメータを見つけ出す作業を実施中であります。そして、得られた様々な知見を運転方法の更なる改善へ結び付けるとともに、攪拌棒の曲がりやレンガ落下等の原因究明を進めた上で、試験再開を図ってまいる所存であります。
 なお、この懇談会の終了後、固化セルの構造、ならびに、これからの洗浄作業とその洗浄水の処理等についてご説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。(参考資料はこちら)

 次に、「より多くの白金族元素を含む高レベル廃液にも対応できるガラス固化技術の向上・開発に向けた取り組み」について申し上げます。
 当社は、現在、ガラス固化試験でいくつかの課題に遭遇し、手間取っておりますが、このたび、技術評価や技術開発等へ適切な指導・助言を更に頂戴するために「ガラス固化技術研究評価委員会」を設置し、ガラス固化分野に明るく、学識経験も豊富な先生方に委員となっていただくこととしました。そして、初回の委員会を昨日、東京で開催いたしました。
 当社は、こうしてわが国の関係者の知見を総動員する形で取り組むこととし、六ヶ所の現場に役立つガラス固化技術の向上に全力を注いでまいる所存であります。
 一方、既に皆様ご案内のことと存じますが、今年度から国は、再処理施設で用いられるガラス固化技術について、より多くの白金族元素を含む高レベル廃液を溶かし込むことができる新しいガラスを開発するとともに、それに対応できるガラス溶融炉を開発する、という補助事業を行います。当社は、一昨日、この事業への参加を正式に申請いたしました。
 当社は、六ヶ所再処理工場での運転経験等を最大限に活用し、より多くの白金族元素を含む高レベル廃液にも対応できる次世代の溶融炉の開発を進めてまいりたいと考えております。同時に、その過程では、白金族の挙動等に関する基礎的なデータ・知見等が得られるものと考えておりますが、そうした最新の知見を可能なものから速やかに当社の現場へ反映してまいる所存であります。

 最後に、「安全基盤強化に向けた全社アクションプランの展開状況」について申し上げます。
 先月の定例記者懇談会において、高レベル廃液漏えいの組織要因分析、ならびに、保安規定違反に関する両報告書を公表するとともに、全社として今後どのようにして再発防止に取り組むかについて取りまとめた「安全基盤強化に向けた全社アクションプラン」をご説明させていただきました。
 その取り組みの第一歩として、まず私自身が全社員へ電子メールを配信し、「安全が全てに優先する」と訴えました。あわせて、5月7日に私が自ら中間管理職以上の合計約200数十名と顔を合わせ、改めて「安全が全てに優先する」ことについて、直接語りかけたわけであります。その上で、「安全基盤強化に向けた全社アクションプラン」を事業部毎、セクション毎に具体的に展開しております。
 特に、再処理事業部における新たなアクションについてご紹介いたしますと、現場指揮官である中間管理職を対象に、外部の専門講師を招聘して実施する「災害ゼロ、不良ゼロ、故障ゼロ」を目指したマネジメント力の向上活動を5月25日から開始いたしました。
 これは、工場長がトップとなり、ラインの部課長等60数名がメンバーとなって月1回の頻度で問題解決演習型の討議を実施するものであります。また同様に、現場指揮官の安全管理面の力量向上のために、(株)日本航空等から更なるご協力をいただき、この夏を目途に研修枠を中間管理職にまで拡大することとしました。
 今後は、こうした活動の進捗状況について、私が先頭に立ってチェック・アンド・レビュ−を実施するとともに、全社再発防止対策検討委員会で議論を重ねてまいります。
 また、5月1日に三村青森県知事からご指示を頂戴した再発防止策に関する第三者機関による評価・監査については、「日本原子力技術協会」による評価のための調査が今週の25〜26日の2日間にわたって六ヶ所の当社再処理事業所で行われました。また、「ロイド・レジスター・ジャパン」による監査については、例年7月末〜8月上旬にかけて実施を予定している監査を前倒しして行う予定であります。
 なお、6月1日〜19日にかけて、当社再処理工場に対する国の保安検査が行われる予定であります。先日、保安規定違反について国の指摘及び指示を頂戴して以来、初の保安検査ということになりますが、原因究明と再発防止対策の実施状況等について検査項目とされており、確認を受ける予定であります。
 「安全基盤強化に向けた全社アクションプラン」による再発防止につきましては、トップから現場第一線の社員に至るまで大きく意識を変える良い機会と捉えて、一歩一歩着実に取り組んでまいる所存であります。

 
以上

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