日本原燃
2009年1月30日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は、「ガラス溶融炉に関する調査・検討の状況、ならびに最近発生した事象への対応状況」と、「再処理施設の工事計画の変更」について申し上げます。

 まず、「ガラス溶融炉に関する調査・検討の状況、ならびに最近発生した事象への対応状況」について申し上げます。昨年判明した、炉内天井のレンガの一部損傷と、ガラス流下性の低下につきましては、現在、原因の究明に鋭意取り組んでいるところであります。そのためにはまず、炉内のガラスの抜き出しを行うことが必要です。そして、この抜き出し作業を円滑かつ確実に実施できるように、新開発のドリル装置を使って流下ノズル下部から炉底電極付近へと上部方向に穴を開けて流路を確保し、ガラスの流下性向上を図る作業を、1月18日に完了いたしました。
 その後、炉内ガラスの抜き出しに向けて、炉内熱上げの準備を進めておりましたところ、21日に構内のモニタリングポストの電源基盤の一部に焼損痕を発見しましたので公表いたしました。現在、その原因を調査中であります。
 また、同日、炉内点検のために取り外していた、高レベル廃液を溶融炉に供給する「配管」を閉止するためのフランジ部から廃液が漏れていることを発見いたしました。直ちに、フランジのボルトの増し締めを行い漏れが止まったことを確認するとともに、下の受け皿にたまっていた廃液を回収いたしました。
 そこで、廃液が漏れた原因究明と再発防止策の検討に全力で取り組み、とりまとめたものを本日国へ報告いたしました。内容は、圧縮空気を使って廃液を移送する配管への空気の流入量が何らかの理由によって大きくなり、結果として供給槽内の高レベル廃液が配管のフランジ部へ送られてそこから滴下した、という原因とその対策等をまとめたものであります。
 なお、セル内の漏えいとはいえ、漏れた廃液が高レベル廃液であることを厳粛に受け止め、今後このようなことがないよう、品質保証上の改善を継続して行うよう指示したところであります。
 今後の予定といたしましては、本報告について国の評価をいただいた後、諸準備が整いましたら炉内の熱上げと炉内のガラスの抜き出しを行い、溶融炉の底部についての詳細な点検と異物の除去、さらには除去した異物の分析などを実施する予定であります。
 また、天井レンガの損傷については、現在、レンガの損傷時期などを解明するために、運転データや流下映像、抵抗値の変動状況について確認を行うとともに、セル内での遠隔操作の作業実績などについて確認を進めております。
 今後は、運転状態における天井レンガの温度分布とそれを考慮したレンガへの応力の影響評価なども進め、できるだけ多くのデータ収集や分析・評価を行って、天井レンガが損傷した原因と再発防止策の具体化を行ってまいる所存であります。そして、ガラス溶融炉の損傷等に関する、国への法令報告を行い、国のご審議をいただきたいと考えております。
 一方、流下性が低下した要因につきましては、不溶解残渣溶液を混合した後に発生した「ガラス温度上昇」や「白金族堆積指標の変化」などの現象を踏まえ、徹底した分析・究明を実施しております。そして、今後得られる新しい知見を手順書に的確に反映するなど、運転方法の改善を図り、その上で、慎重に試験の再開を進めてまいる所存であります。
 次に、「再処理施設の工事計画の変更」について申し上げます。
 先程も申し上げましたとおり、今は、法令報告対象である天井レンガ損傷についていろいろな調査を鋭意進めているところであり、また、流下性の低下の要因についても、調査を全力で進め、原因を究明しております。
 今後、国へ法令報告を提出し、国のご審議をいただくとともに、溶融炉の復旧が完了し、試験の再開の準備が整うのは、これまでの実績を踏まえますと、今年の5月頃になるものと考えております。
 その上で、原因究明などを通じて得た新しい知見も踏まえ、溶融炉A系・B系、それぞれについて試験を行うとともに、その結果について国のご審議をいただくのには、これまでの経験を踏まえると3カ月程度を要するものと考えられ、結果として、しゅん工は、今年の8月頃になると考えております。
 原因究明が途中であるといった状況やこれまでの実績などの他、今後の試験項目などを可能な範囲で勘案した上で、再処理施設のしゅん工時期につきましては、今朝開催の当社取締役会において「今年2月から、今年8月へ変更」いたしました。そして、その旨を経済産業大臣へ届け出るとともに、青森県と六ヶ所村にご報告をいたしました。
 私どもは、今後も協力会社の方々と心を一つにし、緊張感を持って、安全確保を最優先に、しゅん工を目指して取り組んでまいります。

 
以上

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