日本原燃
2008年7月30日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は、「アクティブ試験第5ステップの現状と再処理施設の工事計画の変更」、そして「新型遠心機の導入に向けた新増設等計画書の提出」、それから「原子力メンテナンス マッチングフェアの開催」について申し上げます。
 まず「アクティブ試験第5ステップの現状と再処理施設の工事計画の変更」について申し上げます。
 私どもは、アクティブ試験の最後の課題であるガラス溶融炉の運転方法について、国の核燃料サイクル安全小委員会で委員の方々にご理解をいただき、国の確認をいただいた上で、それに沿って、さる7月2日正午から試験を再開しました。
 同日21時11分に容器への流下を開始いたしましたが、流下は少量で、その後、流下の継続が確認できず、最終的に翌7月3日午前0時58分に流下操作を停止いたしました。そして、ガラス溶融炉は、手順書等に従って白金族対策を考慮した低温保持運転モ−ドへ移行しました。
 そして、今回の事象が法令報告にあたると同日正午に判断し、国へ報告するとともに青森県・六ヶ所村にお知らせしました。
 問題のガラス溶融炉本体の運転について申し上げると、短時間とはいえ、ほぼ予定した通りであったことがその後の調査でわかりました。例えば、ガラスの温度は、昨年11月の前回運転時と比べまして早めに上昇しており、その温度維持もできておりました。また、気相温度も前回に比べて今回はより早く低下しており、しかも安定をいたしておりました。
 このように、溶融炉の運転がほぼ予定した通り開始できただけに、その後の流下の不調で試験がストップしたことは非常に残念であります。
 さる11日には、ITVカメラを使って流下部の目視点検を実施した結果、結合装置のガイド管内にガラス堆積はありませんでしたが、流下ノズル近傍に付着ガラス等を確認したことを報告させていただきました。その後も、流下ノズルの下段部を加熱し、付着ガラス等の除去を図りながら目視点検を継続し、あわせて原因調査を進めてきております。
 今後は、流下ノズル下部の付着物を可能な限り除去してまいります。そうした作業は、放射線レベルの高い固化セルの中、遠隔操作で細心の注意を払いながら行わなければなりませんので、そのための装置の製作と機能確認を現在慎重に進めているところでございます。
 一方、原因につきましては、流下ノズルの温度上昇が十分得られず、ノズル内部のガラスの粘性が高まった可能性や、流下ノズルが結合装置内に流入する空気によって冷却され、ノズル内部のガラスの粘性が高まった可能性、あるいは、それらの組み合せという可能性も含めて調査を進めており、慎重に原因の絞込みを行っているところです。
 いずれにしても、私どもは復旧や原因究明に向け、安全を第一に慎重に全社を挙げて取り組んでいる次第であります。同時に、こうした貴重な経験を積むことにより、将来に向けての安全運転・安定運転に向けた知見や総合力が一層充実するものと確信いたしております。
 ただ、付着物の除去からガラス固化施設の性能試験終了までに、先に経験した炉内残留物除去の実績などからみて3カ月程度の期間が必要と考えております。
 更に、アクティブ試験結果について国にご評価をいただく期間等を考慮し、試験工程を総合的に検討した結果、今朝、開催いたしました当社取締役会において、再処理施設のしゅん工時期を本年11月に変更することを決定いたしました。あわせて、その旨を経済産業大臣に届け出た上で、青森県と六ヶ所村に報告をいたしました。
 続いて「新型遠心機の導入に向けた新増設等計画書の提出」について申し上げます。
 昨日、私どもは、安全協定に基づいて、既設の遠心機を新型遠心機に置き換えるための「新増設等計画書」を青森県と六ヶ所村に提出しました。
 新型遠心機については、既設の遠心機の後継機種として「国際的に見て遜色のない経済性と性能の実現」を目指し、2000年度から国内の技術者を結集して開発に取り組んでまいりました。
 昨年4月からはカスケード試験を開始し、この度、当初の目標である「既設の遠心機に比べて4〜5倍の性能」を有することが確認できたという次第であります。
 新型遠心機は、2010年度頃からウラン濃縮工場で稼動させることを目指しております。その後、10年程度をかけて段階的に導入を重ね、最終的に年1,500トン規模の生産体制の達成を目指してまいります。
 なお、新型遠心機は、国内メーカー30数社から部品を調達し、当社自らが製造・組立を行う計画としておりますが、来年度下期頃からの量産体制の確立に向け、今月から当社社有地内において製造工場の建設に着手いたしました。
 また、新型遠心機の部品メーカーのうち関東ならびに東北の2社には、この度、六ヶ所村の当社社有地内へ進出していただくこととなり、先程申し上げました製造工場での製造・組立に携わる準備を進めていただいております。
 従業員規模は、あわせて数十人になると思いますが、当社の協力企業が新たに地元地域の一員に加わることを心から歓迎したいと思います。
 最後に「原子力メンテナンス マッチングフェアの開催」について申し上げます。
 私どもは、「地元青森県の産業育成・地域振興に何がしかお役に立ちたい」という願いから、地元企業の皆さまに再処理工場のメンテナンス業務等に一層参入していただくことを目指して、一昨年の9月以来、「メンテナンス見本市」や「予備品倉庫見学会」を開催してまいりました。
 この度、こうした地域との共生の「輪」を更に拡げるための第3弾の企画として、来る9月3日、六ヶ所村「スワニ−」において、「原子力メンテナンス マッチングフェア」を開催することとしました。
 再処理工場の機械・電気・計装設備の点検業務を担う予定の原子力関連工事会社から点検業務の内容を地元企業の方々へ紹介していただくとともに、お互いが得意とする技術分野の領域で手を組む、いわゆるマッチングの促進を図ります。
 さる22日に公表して以来、早くも20数社からの参加希望が寄せられており、「新事業進出のために参加したい」という声をはじめ、「自社の力を試したい」、「機会提供はありがたい」などの積極的な反響が伝わってきております。

 私どもは、こうした活動を通じて、地元のできるだけ多くの企業にメンテナンス業務へ参入いただき、再処理工場が本格操業した後のメンテナンスの即応体制が一層整備され、地域との共生、地元企業とのwin−winの関係づくりにつながることを心から願っている次第です。

 
以上

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