日本原燃
2008年3月28日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は、「アクティブ試験の第5ステップの進捗状況」と「電力中央研究所との研究協力協定の拡大」、そして「新たな小型消防車の配備」についてお話しをします。

 まず「アクティブ試験の第5ステップの進捗状況」についてです。去る2月14日に開催された国の核燃料サイクル安全小委員会において、ガラス固化設備に関し必要な安全機能は維持されていること、そして溶融ガラスの温度など、ガラス固化体の製造条件は満足しており、安定した運転が可能であることの確認をいただくとともに、ガラス固化の試験再開に必要な運転方法の具体化などの課題が示されました。また3月18日に開かれた同小委員会では、第4ステップとしてガラス固化設備に関することを除き、アクティブ試験計画書に定められた確認事項について満足する結果が得られたことが確認されました。
 残された大きな課題は、やはりガラス固化体の製造です。2月下旬から溶融炉の実証データや新たな知見を得るため、ガラス溶融炉内に観察カメラを入れ、内部の詳細点検を行いました。また今月初めから、立ち上げ後の溶融炉の運転に万全を期すため、炉内残留物の除去作業も行っておりましたが、このたび除去と点検の作業を終了しました。今後、炉内の補修作業の効果を確認した後に、溶融炉の復旧作業を開始します。
 一方、溶融炉内の残留物については分析試料として小片を取り出し、順次、白金族濃度などの分析を進めています。同時に、これまで得られた各種データの詳細評価や、廃液の濃度等が仮焼層形成にどういった影響を与えるか、を調べる試験などを進めています。
   それらを通じて得られた知見をフルに活かし、溶融炉内で起きた事象の確認・原因分析、さらにはガラス溶融炉試験再開のための「運転方法の具体化」に向け全力をあげています。特に運転方法については、過去のデータの評価や実験・解析などを精力的に行い、その結果をまとめています。その中では新たな知見が得られつつあり、それらを反映して改良、具体化を図ることにより、溶融炉の円滑な運転を更に長い期間実現できるものと考えています。
 いずれにしても、具体的な運転方法がまとまり次第、国の委員会の場で、しっかりと評価をいただき、溶融炉の試験を来月のできるだけ早い時期に開始したいと考えています。
 一方、使用済燃料のせん断開始は、来週早々となる見通しであり、その後1カ月程度の期間をかけて、所要のせん断・溶解を実施する予定です。
 今後も安全を第一に協力会社と一体となり、厳しい心構えと使命感を持ち、わが国のサイクル元年の扉を開くべく、5月しゅん工を目指して全力で取り組んでまいります。

 次は「電力中央研究所との研究協力協定の拡大」についてです。当社は、ウラン濃縮や再処理に用いる基本技術について日本原子力研究開発機構や海外の先行企業などから導入していますが、一方で廃棄物技術やヒューマンファクター研究などは、電力中央研究所からの技術協力を受けてきました。
 具体的には、電力中央研究所が長年にわたって培ってきた廃棄物の処理処分の環境技術や知見を活用するため、低レベル放射性廃棄物埋設センタ−の操業開始に先立ち、平成4年6月から技術協力を受けてきました。現在も、埋設ピットのセメント系材料の長期信頼性評価や地質・地下水の特性解析などで、着実にその成果が現れています。
 また、再処理工場で働く当直員の教育研修や運転業務の観察評価の一環として、平成18年以降、電力中央研究所の「ヒュ−マンファクター研究センタ−」の専門家から、運転員に関するヒュ−マンエラ−の分析経験に基づいた提言を受けています。
 このたび当社は、これまでの電力中央研究所との長年に亘る協力関係を礎とし、原子力とりわけサイクル分野における業務全般を視野にいれた、より広範囲で包括的な研究協力協定を締結することに合意しました。同時に埋設・再処理の2事業については、具体的な研究協力関係をスタートしました。
 さらに今回の協定の特長は毎年1回、両者の経営トップが一堂に会して「研究協力会議」を開催し、今後の研究開発の進め方や大きな方向性を協議するとともに、相互の人材交流を積極的に行うことを打ち出したことです。このことによって、私どものニーズや時代の要請に合った研究がより機動的、効率的に行われ、人材育成や当社組織の活性化などの面において幅広い成果がでてくると考えています。

 続いて「新たな小型消防車の配備」についてです。当社では、かねてより火災等の発生に備え、化学消防車1台を配備しているとともに、消火専門隊を有する自衛消防隊を組織し、地元消防機関との密な連携によって24時間体制を整備しておりますが、昨年7月の新潟県中越沖地震での教訓も踏まえ、この3月31日から新たに小型消防車1台を配備することとしました。
 新たな消防車は、震災時のような路面状態が悪い不整地でも、高い機動性を発揮できることが特長です。35cm程度の段差を苦にしない走破性と、約45度の斜面でも昇降できる登坂能力を装備しています。
 また、泡消火が可能な消火装置と、50メ−トルの放水ホ−スを備えた水噴霧消火装置を備え、小型の消防車とはいえ、十分な消火機能を有しています。
 新たな消防車は、今後1カ月程度をかけ、運転訓練や消防ポンプの操作訓練を行った後、4月下旬頃から本格運用を開始する予定です。
 これまでの化学消防車に加えタイプの異なる小型消防車を配備することで、当社の自衛消防機能はこれまで以上となります。今後も訓練の一層の充実に努めるとともに、地元消防機関と今まで以上に緊密な連携を図り、火災等の発生に備えます。

 最後になりましたが、来月12日〔土〕にフランスのフランソワ・フィヨン首相をはじめとするご一行が、六ヶ所再処理工場を視察されることになりました。具体的なスケジュールなどは現在調整中ですが、日仏国交樹立150周年という大きな節目に来日され、当社施設を視察いただけるということを極めて光栄に思います。心から歓迎を申し上げます。

 
以上

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