日本原燃
2008年2月25日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は「アクティブ試験の第5ステップの開始」と「再処理施設の工事計画の変更」、そして「新型遠心機の導入」について、お話しをします。

 まず「アクティブ試験の第5ステップの開始」についてです。さる2月4日に当社は、ガラス固化設備のそれまでの試験状況についてとり纏め、国へ報告するとともに、県・村へお知らせしました。
 その要点の一つは、溶融ガラスの温度など、ガラス固化体の製造条件は満足しており、安全性維持の下で、安定した運転が可能であることが確認できたということです。
 もう一つは、溶接機の故障や流下ガラスの偏流などに伴ってガラス流下の長時間停止を余儀なくされたことや、試験初期の不安定な状況によって、白金族元素が炉底部へ沈降・堆積したとみられる状況が発生し、管理した運転を維持できるところまでは確認できなかった、ということです。このため、管理方法の改善策について第5ステップで確認を行うことにしました。
 この報告内容について14日に開かれた国の核燃料サイクル安全小委員会で審議をいただきました。安定した運転が可能であることは確認いただきましたが、委員の方から「対策に具体性が乏しい」等といった厳しい声が寄せられました。また、試験再開に必要な運転方法の具体化と、溶融炉運転再開後の試験結果の報告、という2つの課題をいただいた上で、次のステップへの移行について了承をいただきました。
 私どもは、こうした厳しい声や課題を厳粛に受け止め、第5ステップにおいて、しっかりとした対応を実践し、安全を最優先にしてゴールを目指すという方向で、決意を新たに取り組んでおります。
 具体的には、先月から進めているガラス溶融炉内の点検を一歩進め、先週半ばから炉内の奥まで観察カメラを入れ、内部の状態を詳細に調べています。炉内の詳細点検は、溶融炉に関する実証データや新たな知見を得る貴重な機会であるだけに、全力をあげているところです。今は、詳細点検の途中でありますが、これまでの1週間弱の点検を通じ、残留ガラスは化学試験での実績とほぼ同程度残っていることを確認しました。現在、溶融炉から炉内残留物の分析試料を取り出す準備作業を進めており、取り出し次第、分析を行う予定です。
 また同時に、立ち上げ後の溶融炉の運転に万全を期すため、炉内残留物を除去することが適切と判断し、可能な限り除去するという計画を立てました。この除去作業は、これまでの点検作業の実績等を踏まえると、3月下旬までかかる見通しです。
 なお、同除去作業が完了するまでの期間を活用して、その他の設備についても点検作業を実施します。
 一方、白金族の影響を考慮した、溶融炉運転方法の具体化の検討については、第4ステップ並びに第4ステップ終了以降で得られている知見をフルに生かして、全力で取り組んでいます。
 また、ガラス固化以外の試験項目も含めた第4ステップの総合報告が近日中にまとまる予定であり、こうした諸報告について、国の審議の場などを通じて全てをオープンにし、しっかりと評価いただいた上で、一歩一歩着実に前進したいと考えています。

 次に「再処理施設の工事計画の変更」についてです。先月末の懇談会で私は、今後の工程の見通しについて、炉内の点検結果を見た上で具体化し詰めていきたい、と申し上げましたが、貴重な実証データや新たな知見を得るための炉内点検を、今も継続中です。
 また、炉内残留物除去作業に3月下旬までかかると見込んでおり、溶融炉の試験再開は3月末になると考えています。
 一方、使用済燃料のせん断再開も、炉内残留物除去作業や各設備点検の終了とほぼ同時期となる見込みであり、その後1カ月程度の期間をかけて、所要のせん断・溶解を実施する予定です。以上のことに加え、ガラス固化の試験、報告書の提出、さらには国の評価などの手続きの期間を考慮して、本日開催の当社取締役会で、再処理施設のしゅん工時期を「平成20年2月」から「平成20年5月」へ変更することを決定しました。あわせて、その旨を経済産業大臣へ届け出た上で、青森県と六ヶ所村へ報告しました。
 なお、今回の工事計画の変更に伴う建設工事費への影響については、既に建物関係を中心に完成済みで確定しているものが多いので、効率化によって十分対応できる、と考えています。従って、今回の工程変更に伴う建設工事費に変更はありません。
 今後も安全を第一として、協力会社と一体となり、厳しい心構えと使命感を持って、しゅん工を目指して取り組み、わが国のサイクル元年の扉を開くための挑戦を着実に続けます。

 最後に「新型遠心機の導入」についてです。当社は、2000年度から国内の技術者を結集し「国際的に見て遜色のない経済性と性能の実現」を目指し、既設に比べて4〜5倍程度の高い性能を持つ遠心機の開発に取り組んできました。そして昨年4月からは、当社の六ヶ所サイト内の研究開発棟において、複数の新型遠心機を組み合わせたカスケード試験を開始し、11月からは実際にウランを使用した試験を始め、設備全体での運転特性や分離性能、定格状態での連続運転性能、カスケ−ドの制御性などの確認を進めてきました。
 そして、このたび所定の目標をほぼ満足できる見通しが得られました。これは、海外と比べても決して引けを取らない性能を持っていると評価しております。
   今後はこの結果を踏まえ、2010年度頃から新型遠心機を既設濃縮工場の遠心機と置き換えて稼動させることを目指した具体的検討に入ることとしました。当初は「2年間、年40トンずつ」という規模で導入し、その後、段階的に規模を拡大して、10年程度で1,500トンSWU/年規模の生産体制の実現を目指します。
 また、新型遠心機については、当社が部品を調達し、組立・製造を行う計画としており、それに向けて、当社社有地内に組立・製造工場を設置するための準備を開始したところであります。

 
以上

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