日本原燃
2008年1月28日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は「アクティブ試験の第4ステップの進捗状況」と「再処理工場の分析業務に携わる新会社の設立」について、お話しをします。

 最初に、「アクティブ試験の第4ステップの進捗状況」についてです。昨年8月31日に開始した第4ステップは、連続的な試験運転による工場全体の運営という流れの中で、さらに高いレベルの技術の修得を目指して取り組んでいます。
 そうした中、「最後の大きな山場」であるガラス固化体の製造は昨年11月5日に開始して以来、これまでに57体のガラス固化体ができました。これは、110万kW級の原子炉が1年余り運転してできる高レベル廃棄物に相当する量であり、再処理工場の全設備が稼動するという、「操業」に極めて近い状況を達成したことの一つの「証」であるとも考えています。
 同時に、これまでガラス溶融炉で1本ずつ慎重に注入・充填を行い、追加データの取得も行いながら、運転技術について一層の習熟・経験を積んだ結果、温度などの製造条件を「安定」させる勘所については概ね把握できたものと考えています。
 一方、残念ながら、昨年末に溶融炉内の溶融ガラスの粘性が高くなり、流下に時間を要する状況となったため、炉内にある溶融ガラスを一旦抜き出す作業を行いました。このように溶融炉内のガラスの粘性が高くなった理由は、アクティブ試験の初期に必ずしも安定した運転が出来なかったことや、2台ある溶接機が相次いで故障したことに伴い、溶融ガラスの流下が長期間停止した、といった特殊事情などが影響しているものと考えています。
 抜き出し作業は元旦に終了しましたが、その後、炉内の概略点検を行った結果、残留ガラスがまだ相当量残っていることがわかりましたので、ガラスの原料を投入して、溶融炉の中の残留ガラスをさらに抜き出す作業を実施しました。
 残留ガラスは化学試験での実績とほぼ同程度に抜き出せたものと考えていますが、アクティブ試験において溶融炉に関する知見を得る、初めての機会でもありますので、時間をかけて炉内の点検を詳細に実施しており、引き続き全力を傾注します。
   なお、今後の工程の見通しについては、炉内の点検結果を見た上で具体化し、詰めていきたいと考えています。若干の遅れがでているのは事実ですが、今後も安全を第一として、協力会社と一体となり、厳しい心構えと使命感を持って、しゅん工を目指して取り組みます。それを通じて、わが国のサイクル元年の扉を開くための挑戦を重ねてまいりたいと考えています。

 次に、「再処理工場の分析業務に携わる新会社の設立」です。
 当社はこれまで、再処理工場の運転において、放射性物質の試料を分析するという業務を、協力会社へも委託してきましたが、この分析業務を的確に、そして安全に行うことがいかに大切であるか、ということを、私どもはアクティブ試験の第1、第2ステップにおいて身をもって痛感し、貴重な経験として学びました。そこで、分析業務の安全性向上とレベルアップのために、ハードとソフトの両面にわたる改善策を導入したことは既にご案内の通りです。
 さらに、再処理工場を長期安定して操業するためには、将来に向け、この「分析」の技術を自らの責任と管理により、保有・継承する体制を構築していくことが欠かせないと考えています。
 そうした観点から、当社のグループ会社として、恒常的に、この分析の技術を保有・継承し、さらに技術の向上を図ることを目的として、本日の取締役会において、当社出資の分析業務専門会社を設立することを決定しました。
 なお、新会社は、現在、分析業務を請け負っている協力会社とともに、有限責任事業組合を設立し、共同して業務を遂行する中で、技術修得ならびに高度化を図るとともに、要員の拡充を図り、さらには所要の期間を経て、分析業務を新会社に集約していく予定です。
 社名は「日本原燃分析株式会社」。本店所在地は、青森県六ヶ所村、レイクタウン内に事務所を賃借する予定です。設立時の資本金は四千万円で、100%を当社が出資する、当社の子会社となります。事業目的は、「原子力施設に係る分析、計測および計量」等とし、当初の職員数は20名程度ですが、約10年後には180名程度の規模となる見通しです。
 この新会社の着実な発展などを通じて、当社グループの総合的な技術力の向上と、地域雇用の拡大などが図られ、地域との共生がますます進展することを心から願う次第です。

 
以上

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