日本原燃
2007年11月28日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は「アクティブ試験の第4ステップの進捗状況」と、「ウラン濃縮に関わる新型遠心機の開発状況」などについて、お話しをいたします。

 まず「アクティブ試験の第4ステップの進捗状況」についてです。さる8月31日から第4ステップを開始しましたが、当初計画していたPWR燃料のせん断作業は9月7日から開始して、11月8日に終了しました。
 そして『一つの大きな山場』 と考えていたガラス固化体製造については、容器への注入・充填を11月5日から開始しました。第4ステップで計画していた使用済燃料の再処理を行うことによって初めて、ガラス固化に必要な量の高レベル廃液が確保できたことから製造を開始したものです。
 現在、ガラス溶融炉の状況を見極めながら、1日あたり1〜2本程度のペースで慎重に注入・充填を行っています。完了後は、順次、溶接を行い、密閉した上で、閉じ込め検査等の安全確認を行ってから、ガラス固化体貯蔵設備への移送を行っています。こうしたガラス固化は、六ヶ所再処理工場の果たすべき大きな役割である「廃棄物の減量化と安定化、適切な管理」の前進につながるだけに、社会的な意義の大きさを改めて感じています。なお、ガラス固化設備についての国による使用前検査は第5ステップで受検する予定です。
 その前の第4ステップでは、同設備の性能試験を行うこととしており、安全性の確認はもとより、ガラス固化に重要な要素である温度条件などのデータを取りながら、操作手法について習熟をはかり、経験を身に着けるという視点からも慎重に確認を行っています。
 このような中で、先日、ガラス固化体容器に蓋をして密閉をする溶接機に不具合が発生しました。部品取替えなどの修理に1週間程度かかる見込みです。従って第4ステップの終了は、もう少しかかる見通しであり、終了次第、改めて報告させていただきます。
 第4ステップに入って以降、10月に前処理建屋のエンドピ−ス酸洗浄槽内におけるバスケットの動作停止によってせん断が一時中断したことに加えて、ガラス固化に係る確認を慎重に進めていることなどから、試験工程に若干の遅れが出ています。しかし今後も、第4ステップと第5ステップを通じた、工程の管理と検討を的確に行い、安全を第一として、来年2月のしゅん工を目指して取り組みます。
 平成5年の建設開始からやっとしゅん工がみえるところまできましたが『百里の道は九十九里をもって半ばとせよ』との先人の戒めもあります。残りの詰めの部分が非常に大事であって、決して気を緩めてはいけないと考えています。協力会社も含めて全員で力を合わせ、慎重に、かつチャレンジングに最後のゴールを目指してまいります。

 次に、「ウラン濃縮に関わる新型遠心機の開発状況」についてです。当社は、既設の遠心機の後継となる新型遠心機について、2000年度から国内の技術者を結集し、「国際的に見て遜色のない経済性と性能の実現」を目指し、既設に比べて4〜5倍程度の高い性能を持つ遠心機の開発に取り組んできました。
 そして今年4月からは、当社の六ヶ所サイト内、研究開発棟において、複数の新型遠心機を組み合わせた設備を用い、まずはウランを使用しない状態で、圧力の変化などを確認し、起動のための条件設定などを確認する試験を進めてきました。
 同試験は順調に進み、さる11月12日には、カスケ−ド試験設備で初めてウランを使用した試験を開始しました。この試験ではウランの使用量を徐々に増やし、ウランが一定の量に到達した状態で、カスケード試験設備全体での運転特性や分離性能などの確認を行う予定です。これによって新型遠心機が 「実用化」へ更に一歩近づくものと期待を寄せています。実用化については、2010年度頃に既設遠心機からのリプレースによる新型遠心機の導入を目指しており、その後10年程度をかけて1500トンSWU/年規模にする計画です。
 なお、当社の六ヶ所ウラン濃縮工場と、新型遠心機の開発を行っている研究開発棟は、平和利用に限定したものであります。IAEAとの協定に基づき、IAEAの査察を全面的に受入れており、定期的査察及び無通告査察など、合わせて年間二十数回実施されています。
 また、再処理工場についても、IAEA査察官の24時間常駐による査察が行われています。このように当社がIAEAに全面的に協力していることは、当社が国際社会の信頼を得る上で極めて大切なことです。今後とも、当社事業が高いレベルの透明性を維持し、世界の原子力平和利用のモデルとなるよう、全力を傾けてまいります。

 最後に、「新耐震指針に照らした耐震安全性の評価」についてです。さる11月2日に、耐震バックチェックの結果について報告しました。結果は、新耐震指針に基づき、基準地震動を策定、その地震が発生した場合でも、国に認可をいただいて設置した安全上重要な施設の耐震安全性がしっかりと確保されていることを、中越沖地震の知見も盛り込んだ上で、私どもとして確認したということです。
 また、このバックチェックとは別に、当社は念のため、六ヶ所の前面海域の海上音波探査を、11月1日から開始しています。主たる調査のマルチチャンネルは11月8日に終了しましたが、引き続き実施しているシングルチャンネルは悪天候続きのために遅れており、調査完了は12月にずれ込む可能性もあります。ただ、これまでの調査を通じ、探査船のブリッジにあるモニターで見る限りでは、新たな海底断層を示すデータは認められませんでした。
 今後、調査が終了し、その分析評価結果の速報が得られた時点で改めて、お知らせしたいと考えています。

 
以上

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