日本原燃
2007年10月30日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は「アクティブ試験の第4ステップの進捗状況」と、「アレバ社との原子燃料リサイクルの平和利用分野での提携強化」などについて、お話をいたします。

 まず「アクティブ試験の第4ステップの進捗状況」についてです。さる8月31日から第4ステップの試験を開始し、9月7日からはPWR燃料の連続的なせん断を始めました。そして、第4ステップで予定していたPWR燃料約110トンのうち、約70%にあたる76トンのせん断を今月1日までに終了しています。世界トップレベルのせん断性能を発揮できることが、第4ステップでも確認できたわけです。
 しかしながら10月1日に、前処理建屋において使用済燃料のせん断中に、エンドピ−ス酸洗浄槽内で、エンドピースを中に入れて洗浄するための籠状の容器であるバスケットの動作が停止しました。その後の調査で、エンドピースを同バスケットから次のプロセスである水洗浄槽へ移動し、落下させるための「バスケットの扉」の一部に変形があることを確認するとともに、酸洗浄槽の底部でエンドピースを発見しました。
 本件は安全に影響を及ぼすものではありませんが、アクティブ試験中でもあり、慎重な補修を行うために時間を要することから、念のため、法令報告の対象にあたる恐れがあると判断し、国への報告と、青森県・六ヶ所村への連絡を行いました。
 その後、徹底した原因の究明を行い、それを踏まえ所要の対策を講じました。例えば、エンドピースがバスケット内斜面に留まって引っかかった場合、バスケットの「扉」に変形が起きない圧力で操作することとし、もし復旧できない場合はカメラで点検した後に、遠隔治具で引っかかりを解除することを手順書に反映しました。同時に、バスケットの予備品への交換、洗浄槽底部で発見されたエンドピースの回収などを行いました。その上で、当該バスケットの機能確認を終了し、中断していたせん断を10月25日に再開しました。
 これからの試験作業としては、ガラス固化体の製造を開始する予定であり、開始次第、皆さまへ報告します。

 次に、第4ステップへの移行を開始するに先立ち、三村知事からいただいた4点の要請について、しっかりとお応えすべく努力しているところですが、その取り組み状況について昨日、県と村へ報告したことについて申し上げます。
 具体的には「耐震計算誤入力に係る再発防止策が確実にされていることに関する協力会社への監査」について、対策が良好であることの確認を行いました。次に、「コンプライアンスの徹底、風通しの良い企業風土と安全文化の醸成・向上」については、私を議長とし、関係役員で構成する「安全文化推進委員会」を設置し、諸活動を有機的に結びつけ、実効性を高めるための活動を体系的かつタイムリーに展開しています。また、「耐震データ誤入力の件に関する広聴広報活動」については、9月中旬以降、新聞広告、折込チラシ、広報誌などを通じて県民の皆さまのご理解が得られるよう、広くお知らせしています。最後に「日本原子力技術協会による評価」については、「協力会社との連携はどうあるべきか」として新しい視点でお願いしており、今月25〜26日に役割と責任の分担明確化や品質管理などについて、同協会の調査を受けました。今後もレビューをしていただき、改善を図ってまいります。
 皆さまの関心の高い試験工程については、若干の遅れがでているのは事実でありますが、今後も第4ステップと第5ステップを通じた工程管理を的確に行うとともに、安全を第一として、協力会社と一体となり、厳しい心構えと使命感を持って、来年2月のしゅん工を目指して取り組みます。

 次に「アレバ社との原子燃料リサイクルの平和利用分野での提携強化」についてです。
 先月下旬、フランスへ出向き、アレバ社のアンヌ・ローベルジョン会長と協議を重ねた上で、原子燃料リサイクルの平和利用分野における日本原燃とアレバ社との協力関係を拡大する包括的提携契約を締結しました。
 この契約を通じて取り決めた内容は次の二点です。一点目は、世界最新鋭のプラントである六ヶ所再処理工場と仏・ラア−グ再処理工場とを「姉妹プラント」として連携強化を図り、両工場の産業的な優位性をさらに高めていくこととし、そのために安全性や運転合理性などの多くの分野で両社が双方の総力を結集し協力する、ということです。
 具体的には、双方の経験豊富な専門家によって今後創設する「共同チ−ム」を中心とした活動を通じて、トラブルを含む運転面・保守面に係わる両姉妹プラントの最適化を進めるとともに、安全文化の醸成のための意見交換なども計画しています。
 二点目は、両社が協力し、米国のGNEPのような国際舞台での原子燃料リサイクルの平和利用活動の推進にあたることです。
 昨日、原油価格がバーレル当り93ドル台を記録しましたが、エネルギー資源問題が緊迫の度を高める一方、地球環境問題がさらに注目を集めている中で、GNEPなど原子燃料リサイクルの平和利用分野は国際的にますます期待を集めています。まさにその分野で、当社がアレバ社との協力関係を拡大することは大きな意義を持つと考えています。
 そして、両者の関係の将来を考えるときに忘れてならないことは、世界最新鋭のプラント建設・運転に携わってきた日仏両国の技術者の長年にわたる国際協力関係が礎であるということです。その歴史的な関係を基礎として、地道な国際貢献を重ね、そこで培った安全技術・安全文化を六ヶ所再処理工場に反映したいと考えています。

 なお、耐震安全性評価の結果については、現在、最終取りまとめを行っているところであり、その報告と公表は来月早々になる見通しです。
 一方、MOX燃料工場の着工時期については、先月も申し上げたとおり、安全審査の状況なども見極めた上で、具体化次第、お知らせします。

 
以上

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