日本原燃
2007年7月27日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は「新潟県中越沖地震について」、次に「耐震計算の入力データ誤りとアクティブ試験の現状」、そして「地元発注拡大にむけた最近の動き」に関して、お話しします。

 最初に「新潟県中越沖地震について」です。
 まず、新潟県中越地方を中心に震度6強を記録した今回の地震により、被災された皆さまをはじめ、被災地域に関係のある皆さま方に対し、心よりお見舞い申し上げます。
 震源の約16キロ南に、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所があり、4基の原子炉が運転中あるいは起動中でしたが、いずれも地震発生と同時に、原子炉が自動停止しました。
 すなわち「万一の時に原子炉を即座に止めて、安全をしっかり守る」という、原子力発電所の一番大切な機能が、しっかり作動したということです。
 しかし、同発電所の建屋の外にある変圧器で火災が発生し、また、環境に影響のないレベルのものですが、極微量の放射能漏れが発生し、地域の方々などに心配と迷惑をおかけしたこと、原子力に携わる者の一人として大変残念に思います。
 また、同発電所で消防設備など一般設備を中心に被害が60件余り発生したことや、情報連絡の遅れ、ソフト面の課題などがみられたことについて、私どもとしても教訓として学ぶべきものはしっかりと学びたいと考えています。
 こうした中、さる7月20日に、経済産業大臣から原子力発電所を有する電力十社ならびに当社に対し、国民の安全・安心を確保する観点から、今回の地震を踏まえ、(1)自衛消防体制の強化、(2)迅速かつ厳格な事故報告体制の構築、(3)耐震 安全性評価の充実・早期実施、という三点について指示がありました。
 当社は早速、「自衛消防」と「事故報告」について取りまとめを行い、昨日、大臣へ報告を行いました。当社では、かねてより火災等の事故発生に備えて、水消防機能も有する化学消防車を配備するとともに、消火専門隊を有する自衛消防隊を組織し、六ヶ所消防との連携を密にしながら24時間体制で火災に備えています。更に今回の事例を踏まえ、既設の消防車に加えて、機動性が高い小型の水消防車を新たに配備することとしました。
 消火専門隊は1班5名による8班体制で構成されており、年間延べ160回の訓練を行い、日常的に消火技術の鍛錬などを重ねています。
 また、事故時の連絡・報告についても、県・村との安全協定に基づき、直ちに連絡する体制を整備しています。
 こうした現実の体制を踏まえ、自衛消防隊の体制、事故時の報告体制について改めて拡充・強化しますが、今後も訓練の充実などに力を注ぎます。
 「耐震安全性評価の充実・早期実施」に関しては、既に建屋関係を中心にほぼ半分について計画書に基づき評価を終了していますが、再処理工場のしゅん工までには全ての項目について、耐震安全性評価を終了するよう努めます。また、東京電力が今回の地震の影響などに関して鋭意、調査を進めており国においても検討がなされるものと考えますが、新しい知見が得られた場合は、対策の中に的確に織り込んでまいります。
 折角の機会ですので、六ヶ所再処理工場の耐震設計について一言申し上げます。
 六ヶ所再処理工場の安全上重要な設備の設計は、かねてより国の耐震指針に基づき基準地震動を求め、詳細な地震応答解析を実施し、安全余裕を持った設計となっています。
 その上で、昨年、耐震安全性の信頼性を一層向上するために新しい耐震指針が定められたことから、この新しい指針の下で、改めて耐震安全性評価を進めており、必要に応じて耐震性向上工事を実施してきました。
 特に活断層については、新しい指針に基づき改めて詳しい調査を行いました。具体的には、設計上考慮すべき活断層として「出戸西方断層」という、当社サイクル施設から北東に約6km離れている断層をはじめ、詳細な活断層調査を行うとともに、昨年8月から約半年間を掛けて、敷地近傍で人工地震を起こして活断層の有無を調べる「反射法」という、原子力施設では新しい手法を活用し、地盤の徹底調査を行いました。こうして六ヶ所再処理工場周辺の地域で考えられる最大級の地震を考慮していますので、これまでの知見を通じて耐震安全性は十分確保できるものと考えています。

 次に、「耐震計算の入力データ誤りとアクティブ試験の現状」についてです。
 耐震計算の入力デ−タ誤りがあった装置のうち、燃料取扱装置については、耐震強化工事を完了後、今月18日に使用前検査合格証を国から受領しました。
 第1チャンネルボックス切断装置に関しては、今月12日に耐震強化工事について国の認可をいただき、工事を鋭意進めています。引続き、安全を最優先に、所要の工事をしっかりと行ってから、国に安全性を確認していただきたいと考えています。
 一方、今月17日に開催された国の「核燃料サイクル安全小委員会」で、第3ステップの試験結果についてご審議をいただき、工場全体としての連続運転や連携プレーの実施などで目標が達成されていることが確認されました。また、今後のアクティブ試験は、工場での処理能力などの性能確認に必要な試験が完了したことを持って終了する、という方向についても確認されました。

 最後に「地元発注拡大に向けた最近の動き」についてです。
 ご案内の通り、私どもは「地元青森県の産業育成・地域振興に何がしかお役に立ちたい」という願いを込め、昨年9月以来「メンテナンス見本市」や「予備品倉庫見学会」を開催し、廃棄物用角型容器や収納容器など再処理工場の予備品について、地元企業の方々との間で相談や説明を重ねてきました。
 その結果、当社へのビジネス参画に意欲を燃やしていただいている地元企業は現在18社となっています。
 今後、来月から当社職員がこれらの地元企業の工場へ実際にお伺いし、設備・人員・技術力・品質管理などを現場で確認させていただいた後、秋口から、試作品製作についての契約を締結する予定です。その後、試作品の製作にトライしていただき、実際のビジネスに繋げることを目指してまいります。

 
以上

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