日本原燃
2007年6月28日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は「平成18年度の決算の概要」と、「耐震計算の入力データ誤りとアクティブ試験の現状」、そして「GNEP構想への対応の最近の動き」について、お話しします。

 まず、「平成18年度の決算の概要」についてです。
 収支状況について「売上高」は3,180億円となり、前期に比べて2,120億円の増収となりました。増収の主な要因は、アクティブ試験を昨年3月31日から開始し、再処理事業の売上が大幅に伸びたことです。
 次に「売上原価」については、2,544億円となり、前期に比べて1,807億円の増加となりました。売上高に比べ原価の増え幅が小さかった要因は、再処理工場の安全・安定運転の基盤づくりに時間をかけて取り組んだ結果、アクティブ試験の工程にズレが生じ、18年度の再処理量が減ったため、化学薬品などの消耗品費をはじめとする操業費用が減少したことなど、によるものです。
 結果として「売上総利益」は636億円となり、「販売費及び一般管理費」を差し引いた「営業利益」は490億円、さらに「営業外損益」を加味した「経常利益」は279億円と、前期に比べて264億円の増益となりました。
 また、「特別損益」、「法人税等」を加味した「当期純利益」は190億円となりました。
 なお「累積損失」は今期決算により、「当期純利益」の分だけ減らせましたが、まだ380億円もある、というのが当社の現状です。
 今後も安全を最優先に、再処理工場でのアクティブ試験はもとより、事業全般に着実に取り組み、さらなる経営基盤の強化に努めてまいりたいと考えています。

 次は、「耐震計算の入力データ誤りとアクティブ試験の現状」についてです。
 私どもは今回のことを契機に、総点検を徹底するとともに所要の再発防止策を講じました。同時に、再処理プロジェクトに係る協力会社の皆さんと一体となり、かねてより取り組んできた品質保証活動や双方向コミュニケーション、安全文化の醸成について、一層の充実・強化を図るよう全力を傾けています。
 その内容と結果については、今月13日に開催された国の「六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会」で報告し、審議・確認をいただきました。
 また、入力データ誤りがあった各装置については、耐震強化工事について国から認可をいただき次第、工事に着手し、安全性について国に確認していただけるようにしっかりと工事を実施したいと考えています。
 また、再処理工場全体については、第3ステップ終了以降、引き続きシステムを負圧に、しかも一定温度以下に保つことや、排気からの放射性物質除去や放出監視など、工場全体を安全・安定した状態に保つ機能を維持しています。
 そのような中で、今年の秋以降予定していたボイラーなどの機器や温度・圧力を測る計装系の点検、高圧ガス関係の点検などを一部前倒しで行っています。今後も、一歩二歩先んじて、安全を確認し、しゅん工までの流れを円滑にするという心構えで取り組んでまいります。
 なお、さる18日に、第3ステップの経過報告書を国へ提出し、同時に県・村へもご報告しました。第3ステップにおいては、第1・第2ステップで行った「個々の設備」の機能確認、施設の基本的な安全性の確認を踏まえた上で、連続的に試験と運営を進めることによって各施設を通して性能を確認するとともに、連続運転への習熟を図りました。工場全体の連携プレーも順調に実施でき、概ね所期の目的を達成することができた、と考えています。

 最後は「GNEP構想への対応の最近の動き」についてです。
 当社は今年3月、GNEPという国際プロジェクトへの参画を通じて得られる貴重な知見を、再処理工場の安全安定運転・保守面に役立てたい、という考えから、アレバ社等と新たな連携を図り、日本原子力研究開発機構、国内メーカー各社との協力体制のもと、GNEP構想の中の「原子燃料リサイクルセンター」、すなわち、今の商業用の再処理・燃料製造の最新技術を主軸としたプロジェクトへ参画を目指すことにしました。
 その後5月に、米国エネルギー省がFOA〔Funding Opportunity Announcement〕という、GNEPに関する概念設計等の検討委託の公募を開始したことを踏まえ、このたび当社は三菱重工業(株)、アレバ社などと一緒に、国際・原子燃料リサイクル・アライアンスという名称のチームを合計6社によって結成し、FOAに応募しました。
 また、こうした活動において日本の技術を活用するにあたっては、その多くが日本原子力研究開発機構の開発したものであることから、このたびGNEPに関する技術協力協定を同機構との間で締結いたしました。
 今後、当社は日本側の代表として、混合脱硝など平和利用技術や環境技術に精通しているという特長を生かし、GNEP構想の中の「原子燃料リサイクルセンター」の概念設計などの検討に参画できればと考えているところであります。

 私からは以上でありますが、地域との共生を目指し、再処理を中核とするサイクル事業の経営を預かる私としましては、現在、耐震計算入力データ誤りへの対応に全力で取り組んでおります。その上で、引き続き安全を最優先にし、経営の最重要課題の一つであるアクティブ試験、具体的には、第4ステップ以降の試験に、一つひとつ着実かつ慎重に取り組んでまいります。

 
以上

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